なぜ「常識人」は啓蒙を軽視するか
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なぜ「常識人」は啓蒙を軽視するか

書評:松尾貴史『なぜ宇宙人は地球に来ない?』(PHP新書)

本書の感想として『ただ常識的なことを書いた本。』という否定的評価をなさっているレビュアーがいらっしゃる。
そういう評価は、半分正しいけれど、半分は間違いだ。

著者がわざわざこのような「(科学的に)常識的な考え方」を示した本を書いたのは、こうした考えは、必ずしも「常識的」ではないからで、そこを読み取らないことには、本書を理解したことにはならないからだ。

例えて言えば、本書を理解できない人というのは「私は絶対にオレオレ詐欺になんか引っかからないと自慢げに語る高齢者」のようなもので、要は「自分を過信している(信じたいものを盲信しているだけの)粗忽者」だということになるからである。

本書は、扱っているのが、UFOやらお化けやらオカルトやらといった、わかりやすい「B級」カルチャーが中心なので、そこでまず軽視されがちだし、著者もそれらB級カルチャーへの愛情から、ユーモアを交えながらも、あえて警鐘を鳴らしているので、決して一般読書家がタイトルを見て感心してくれるような本の作りにはなっていない。
しかし、本書は間違いなく、現代にもまだまだ必要な、真っ当な啓蒙書である。

「俺はそんな幼稚なもの、興味ないよ」なんて思ってる貴方。
そういう貴方が、いちばん危ないんですよ。

初出:2018年10月14日「Amazonレビュー」

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ありがとうございます。お返しもできない不器用な奴ですみません。
その名のとおり、読書が趣味で、守備範囲はかなり広範ですが、主に「文学(全般)」「宗教」「社会問題」に関連するところ。昔から論争家で、書く文章は、いまどき流行らない、忌憚のない批評文が多い。要は、本音主義でおべんちゃらが大嫌い。ただし論理的です。だからタチが悪いとも言われる。