マガジンのカバー画像

本・漫画との幸せな時間

11
小説・漫画・絵本などの自身の感想記事をまとめています📚
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

言葉の意味を知りたい、その根底にある想い  (舟を編む/三浦しをん)

言葉の意味を知りたい、その根底にある想い (舟を編む/三浦しをん)

松田龍平さん主演で映画化もされた名作「舟を編む」。
私はあらすじを全く知らないまま読み始めたのですが、読み終わって、辞書作りに必要な膨大な労力とその熱意に圧倒されると共に、”言葉”を使うことについて改めて考えさせられました。

自分が作品を通じて考えたことを、印象に残った言葉たちと共にごしょうかい。

言葉を自分のものにする自分のものになっていない言葉を、正しくは解釈できない。
(文庫 舟を編む 

もっとみる
その目の奥に秘めたものに 思いを馳せる(スラムダンク/井上雄彦)

その目の奥に秘めたものに 思いを馳せる(スラムダンク/井上雄彦)

オリンピック漬けの日々を送っています。

朝起きたら今日の競技を確認し、特に見たい競技や選手を選定。基本はテレビで、見たいのが重なっている時はiPadやパソコンも活用しながら、選手の活躍を応援する。画面の数に対して目が足りない。頭からスターウォーズのジャー・ジャー・ビンクスのような目を生やしたい。

しかも私は感受性が強めなので、試合の度にすごく感動したり悔しくなったり、涙をぼろぼろ流しながら見て

もっとみる
イヤなきぶんをやっつける! (ころべばいいのに/ヨシタケシンスケ)

イヤなきぶんをやっつける! (ころべばいいのに/ヨシタケシンスケ)

慣れない在宅勤務に苦しんでいる時、母から一冊の絵本が届いた。

「たまたま本屋さんで見つけて、面白そうだなって思って買って読んでみたら面白かったの。所々にあなたがいるってクスってなるのよ。よかったら読んでみてね。」

そうLINEが来て、届いたのはヨシタケシンスケさんの「ころべばいいのに」。
私は失敗を極力避ける完璧主義のため、あぁ、母は私にもっと失敗していいんだよと伝えたくてこの本を送ってくれた

もっとみる
君といると 僕は僕の形がわかる(メタモルフォーゼの縁側/鶴谷香央理)

君といると 僕は僕の形がわかる(メタモルフォーゼの縁側/鶴谷香央理)

小さい頃から、おばあちゃんっこです。

両親が共働きの我が家では、家に帰るとおじいちゃんとおばあちゃんが私の帰りを待ってくれている。
小学生の頃は、4時頃に帰って、そこからすぐ宿題。
だって5時からおじいちゃんと水戸黄門を見たいから。
水戸黄門は、悪いことをした人は助さんと格さんが必ずやっつけてくれる。
お銀はいつもお風呂のシーン。
6時からは晩ご飯のお手伝い。
お手伝いは毎日やるわけじゃないけど

もっとみる

お家からすっと、物語の旅へ (ミナトホテルの裏庭には/寺地はるな)

「水を縫う」で有名な寺地はるなさんの作品。

寺地さんの作品は、現実と物語の境界線が曖昧で、だからこそ心だけが少し旅に出ているような感覚になる。
自分の生活からすっと抜けて、気付いたら物語の世界へ運んでくれる。
強烈な感動や面白さで読み終わった後にもぬけの殻になってしまうような作品も魅力的だけど、生活の一部になってくれるような本は、あったかい紅茶を飲んでいる時のような安心感がある。

物語の舞台で

もっとみる
ゼロはやっぱりプラスだった(夜明けのすべて/瀬尾まいこ)

ゼロはやっぱりプラスだった(夜明けのすべて/瀬尾まいこ)

「そして、バトンは渡された」で有名な瀬尾まいこさんの作品。
素直に面白い、と感じた一冊。久しぶりに読み始めから終わりまで一気に読み切り、読み終わると生きるのが少し楽になる。
自己肯定力が低くなっててモヤモヤしてる時に読んだので、少し救われた気持ちになった。

自分に勇気をくれる人との出会い

自分に合いそうな相手に出会った時は、感覚的になんとなく分かる。
この人、笑いのツボが一緒だ、とか、たぶん私

もっとみる
紡がれた言葉の、自分だけの意味を知る(3年の星占い2021〜2023/石井ゆかり)

紡がれた言葉の、自分だけの意味を知る(3年の星占い2021〜2023/石井ゆかり)

初めて買った占いの本です。
普段、基本占いは読まないようにしています。占いだけでなくTVなどのニュースもですが、何かと影響を受けやすい性格なので、自分の行動が制限されそうな情報はなるべく避けるようにしています。

石井ゆかりさんは、私の憧れであり大好きな女優さんである石田ゆり子さんと雑誌で対談されているのをキッカケに知りました。ゆり子さんが書く文章は本当にいつも愛らしく、率直で素晴らしいのですが、

もっとみる
負けたくないもの、貫きたい正義(逆ソクラテス/伊坂幸太郎)

負けたくないもの、貫きたい正義(逆ソクラテス/伊坂幸太郎)

大好きな作家さんである伊坂幸太郎さんの最新作。
伊坂さんは大学生の頃に強烈に好きになって、デビュー作からほどんど読み漁り、抑えきれない気持ちをA4の白紙に書き連ねてファンレターを送ろうとしたけど、あまりにまとまりのない未熟なラブレターだったため、結局出せず、そのまま捨ててしまった淡い記憶があります。

久しぶりに読んだ伊坂さんの作品は相変わらず愛おしく、私が信じたいと思っている正義をストレートな言

もっとみる