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ふとーこ−エッセイ【1】その日は、突然おとずれる

「お母さん…胸のあたりがキリキリする…」

その日は、中学2年の2学期、ちょうど中間テスト、初日の朝。
なかなか起きてこないので、声をかけに行くと、
息子は布団の中から不安そうな表情で、そううったえた。
胸が痛いって…肺?心臓? 
え、何か大きな病気?? それはないか…
病院行ったほうがいいかな… 
でも、今日から中間テストなんだよなぁ、
定期テストって、欠席したらどうなるの? わかんないー!
熱はないから…風邪じゃなさそう。
ストレス? だとすれば心身症的なことかも?

いろんな想像が、頭をよぎる。

「激痛なら絶対無理だし、救急車だけど、
ほらいまもこうして話せてるし、
試験受けるだけなら何とかなるんじゃない?
試験が終わったら、夕方いっしょに病院へ行こうよ」

そのときに、最良と思った案を提案してみたが、ダメだった。
息子は、布団の中からいっこうに出てこない。
細かく何度も首を横に振った。

うん、そうだ、学校は休ませよう。
一日目は受けられないけど、学校はどうにか対応してくれるだろう。
次の日に、まとめて受けるとか?そんなことできるのかなぁ…。
とにかく先のことより、いまは目の前の息子の不安に寄り添わなきゃ。

学校に連絡を入れ、近所のクリニックへかかることにした。
我が家では勝手に「ゴッド」というあだ名で呼んでる、お医者さん。
いつ行っても待合室はいっぱい、
家族の誰がかかっても、その対応に心を奪われる。
しっかりと症状を聞き、その辛さに共感してくれる。
薬の説明もていねいだ。
処方の理由、これを飲むと何に効くのか、
ときには、絵を書いて説明してくれる。
ここに来ると治りが早い気さえしてくる。
まさに「病は気から」、「安心」は一番の薬なのかもしれない。

広い待合室は、いつもより空いていた。
平日の午前中、朝一番のりにやってくる、
ご年配の波が去っていたのかもしれない。
とはいえ、30分ほどの待ち時間。
息子と椅子に並んで座り、ポツリポツリの会話。

「痛みはどう?」「…朝よりは…少し いいかな…」
「今日、教科なんだっけ?」「確か…英語と…」

待合室に入り込む太陽の日差しは、気持ちが良かった。
天気いいなぁ…、ふと息子の方に目がいく。
この子は今、何を思っているんだろう。。
気がついたら、目に涙がたまっていた。
朝からそう時間はたっていない、
けれど、実際より長い時が過ぎた感覚があった。



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