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【2023年】読んだアート系の本14選

【約2,900文字、写真約15枚】
2023年に読んだ本131冊のうち、アートに関連する本を14冊紹介します。

結論:経営に関する図書からバレエ、演劇など、幅広い選出となりました。読書を通して、広い意味でアートの知識を底上げすることで、展覧会に行った時、それに限らず生活全般でも、役に立つことや、新しい発見が連鎖的に起こることがあります。今後も、定期的にアート系の本を読みたいです。


▶︎2023年に読んだアート関連の本

私が2023年にnoteに投稿するうち、78%が展覧会に関する内容でした。この投稿を見ている方でアートに興味が多い方も多いと思います。そのため、2023年に私が読んだ本131冊のうち、アートに関連する本は14冊をランキング形式、150文字以内で紹介します。

一部、以前の投稿と被っている図書がありますがご容赦ください😀

■1位/『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』/山口 周

(★4/p257/2017年/760円)

経営はアート(真善美を判断するための美意識)が重要。私がミニマルアートを好きな理由は「選択と捨象」の局地だからです。その考え方はビジネスにも通じます。また、美意識に基づき、答えのない問いに答えられる子育てをしたいと思いました。

■2位/『超<集客力>革命 人気美術館が知っているお客の呼び方』/蓑 豊

(★4/p220/2012年/781円)

蓑豊氏の「美術館とは、そこにいけばいつも新しい出会いが待っている、ワクワクするような場」という考えに共感しました。日本人は正い「答え」を求めがちですが、絵に答えはありません。美術館は、心を揺さぶられればそれで良く、難しい顔をして勉強するところではありません。

■3位/『美のジャポニスム』/三井 秀樹

(★3.9/p253/1999年/710円)

ヨーロッパと日本の感性の違い、宗教観によるアートへ表出の違いがよく分かりました。ヨーロッパはキリスト教的思考の影響が大きいため、人間中心主義、幾何学的、科学的。一方、日本は非定型で、自然の造形が原点です。北澤美術館でガレの作品を見た時の驚きを、理論的に理解できました。

■4位/『演劇入門』/平田 オリザ

(★3.6/p208/1998年/640円)

製作者の意図を知ることで、映画などを新しい視点で見ることができました。本書の目的は「演劇におけるリアル(=いま、同じ世界に生きている感覚)の探究を通じて、私たちがリアルと感じる、その意識のメカニズムのようなもの」を知ること。劇は世界観をいかにリアルに表現するかが重要。

■5位/『オペラと歌舞伎』/永竹 由幸

(★3.5/p214/1993年/621円)

「オペラは音符付きの芝居、歌舞伎は旋律のついた歌」など、著者はオペラも歌舞伎も精通しているからこそ、地に足がついた比較ができているため参考になります。日本人は形あるものは壊しますが、無形を大切にして他文化を積極的に取り入れます。一方、イタリアは全てその真逆とは新鮮でした。

■6位/『アートは資本主義の行方を予言する』/山本 豊津

(★3.5/p218/2015年/840円)

画廊の立場で「アーティストは売れる作品を作らないといけない」という美術感は新鮮です。「閉塞した時代だからこそアートの持つ価値の転換や飛躍が大きなヒントになりうる」と述べる著者が、現代アートに興味を持ったきっかけはルーチョ・フォンタナであることは私と同じで嬉しかったです。

■7位/『芸術とは何か 千住博が答える147の質問』/千住 博

(★3.5/p276/2014年/820円)

質問が多岐に亘ることに加え、解答が簡潔なため、想像以上に参考になりました。千住博曰く「素晴らしい美術館とは、素晴らしいコレクションを持ち、作品が見やすく、置かれている空間が整理され片付いている」。千住博の選ぶ素晴らしい美術館リストも参考になります。

■8位/『日本の美意識』/宮元 健次

(★3.4/p230/2008年/780円)

日本人は、侘び・寂びなど、欧米にはない美意識をもっています。それは神道、仏教の考え方が根底にあります。アール・ヌーヴォーや、日本画の余白然り、仏教に帰依しなくとも日本人全員に流れている美意識に、私が誇りを感じていることが再認識できました。

■9位/『ルノワールは無邪気に微笑む―芸術的発想のすすめ』/千住 博

(★3.3/p247/2006年/740円)

「日本画の天然岩絵の具を目にしてその魅力に1秒で完全にノックアウトされ」たという千住博の回顧は、私の日本画鑑賞の見方を変えました。また、ルノワール絵画は「笑顔のための笑顔」らしい。メッセージの不在がメッセージというルノワールの考えは、現代アートの魁だったのかもしれません。

■10位/『バレエの世界史-美を追求する舞踊の600年』/海野 敏

(★3.2/p320/2023年/940円)

バレエの魅力は、生身のダンサーが今ここで、言葉を用いず、肉体のみで表現していることに根差し…他のダンスにはない不思議な力」があることらしい。ドガなどの絵画にあるようにバレリーナが娼婦化するなど、バレエが歌舞伎に比べ軽薄であることは国柄・文化の違いかな、と思いました。

■11位/『ルーヴル・美と権力の物語』/小島 英煕

(★3.2/p193/1994年/602円)

ルーヴル美術館は様々な歴史の上に成立していると理解できました。浪費王と言われるルイ15世の年間の”小遣い”は270万リーヴル(数百億円)で毎週毎日遊び呆けていたことに驚きました。

■12位/『小澤征爾―日本人と西洋音楽』/遠藤 浩一

(★3.2/p246/2004年/740円)

西洋音楽=西洋のものという考えが強いため、日本人が指揮する際、常にその問題が付きまとうらしいです。また、小澤氏は客観的にオーケストラを分析できる点が上手かったことが分かりました。

■13位/『美貌のひと 歴史に名を刻んだ顔』/中野 京子

(★3.2/p208/2018年/920円)

中野氏は「元々の意味や物語のある絵画作品は、その意味や物語を知った上で鑑賞するのが作品や画家に対するリスペクト」という立場です。無宗教の日本人からすると、それはハードルが高いため、私は多面的に示唆をもらえる現代アートが好きです。

■14位/『水玉の履歴書』/草間 彌生

(★3/p176/2013年/940円)

草間彌生について知りたければ『無限の網―草間彌生自伝』を読んだ方がいいです。水玉やソフト・スカルプチュアは、ただkawaiiだけでなく、彼女のパラノイヤ的な畏怖、女性蔑視に対するアンチテーゼからきていることが端的に理解できるのは良かったです。

▶︎まとめ

2023年に読んだアート系の本 ベスト1位→10位

いかがだったでしょうか?「アート系」と言っても経営に関するものから演劇、バレエなど幅広い選出となりました。私は展覧会に行く際、何も調べずに行きます。それは初めて作品に対峙した時の感動などを大切にしたいからです。しかし、読書などを通して、広い意味でアートの知識を底上げすることも大切だと思います。今後も、この好循環は続けていこうと思います。

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