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否定するしかないこと
実際の誰かの人生をフィクションにしてしまうことには、いつも抵抗があった。私自身の経験や、見てきたものをもとに小説を書くことは抵抗がなかったが、実際に存在した誰かの日記をもとに、その人の人生を一から別の物語にするのは、思いつくことすらないほどに、私自身の中で「やってはいけないこと」のひとつだった。
私は何度も「あの人のことは別にそんな大切に思っていなかった」と言った。実際そう思っていた。今だっ
弱い者イジメの正当性②(頓挫)
本編2 誰かをイジメるうえで忘れてはならないのは「イジメられそうな子」や「悪目立ちしている子」に狙いをつけてはいけない、ということだ。「気持ち悪い子」や「性格の悪い子」もダメだ。教師たちは、そういう子たちに対して「イジメられそうな子」という偏見を持っているから、もしそういうことがあったらすぐにバレるのだ。なぜそんなことが分かるのかと問われれば、色んな本を読んでそうなんじゃないかと思ったのもそうだし
もっとみる欲望を満たすだけでは
久々に会った友達が、彼氏の自慢話をしてきた。お金持ちで、欲しいものはなんでも買ってもらえるし、時間さえあえば、行きたいところにどこでも連れて行ってもらえるらしい。冬期休暇には台湾旅行をすることを約束しているとのこと。
一瞬「冬休みまで交際が続けば、ね」という皮肉が頭に浮かんで、嫌な気持ちになった。まるで嫉妬しているみたいじゃないか、それじゃ。冷静に考えると、どちらかと言えば、久々に会った友人に
泣きながら食べたコンビニの焼き鳥
私は普段買い食いをしない人間だった。高校に入ってから、このままじゃ進級できないと言われて、意味もなく落ち込んでいた時、帰り道のコンビニによって、何か食べようと思った。何か食べて、元気を出そうと思った。このまま高校に通い続けることなんてできるはずないのだから、いっそのこと諦めてしまえ。今の私ならそんな彼女にそうアドバイスするが、当時の私は「もしかしたら急に元気が出てきて、自分の気持ちも変わって、ま
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