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「母さんの色」ー詩ー

「母さんの色」ー詩ー

タンポポ色の 野原
菜の花色の 川の道
子犬が駆け回る レンゲ畑

蝶々が 舞い踊る コスモス花畑
綿菓子色の 雲
コバルト色の 空

夕陽が 燃える あかね空
涙色の 小川
さよなら色の 小道
瑠璃色の カワセミ

どの色にも
母さんが いるんです

「ちゃんと してるのよ!
人様(ひとさま)に 迷惑かけないのよ」

母さんの 口癖が
どの色からも 染み出して
私を 悲しくさせるんです

最後ま

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(詩)菜の花の辛し和え

菜の花の
名前の訳を知らなかった
菜の花の辛し和えを
食べるまで

菜の花の辛し和えを
菜の花だと知らずに
食べていた頃

ある日、これ、
菜の花なんだと教えられた時
ああ、だから
菜の花は
菜の花なんだね、と気付いた

菜の花は春の花
見ているだけで充分なのに
おーい、どうして
そんなに
美味しく咲いたの

あんまり
美味しく咲くから
食べられちゃったじゃない
あんまり
美味しく咲いたから、ねえ

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【詩】よかった

【詩】よかった

よかった
ことばがあってよかった
うつむくとき
とほうにくれるとき
あしたがみえないとき
きのうがみえすぎるとき
いまをみたくないとき
ひとをせめるとき
じぶんをゆるせないとき
まえをむかせてくれる
ことばがあって
よかった

【詩】ホワイトアウト

【詩】ホワイトアウト

憂鬱のさざ波でサーフィンをする犬
星の形のサングラスが痛々しいよ
時代の風に反逆する少女たち
不衛生なクーラーの下
レコード盤を撫でる指の静けさ
モヒカン刈りの少年たち
中指に金色の指輪を嵌めている
いつでも神様に突き立てられるように
尻ポケットにはブコウスキーの詩集
でも一行も読んだことはない
熱帯夜を泳いでいる金魚
祭りの騒がしさを思い出して
港町のブルースマンが自殺して
ココナッツくらいのサ

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【詩】朝をあつめて

【詩】朝をあつめて

朝を聚めて
晴れの日も
雨の日も
曇りの日も
嵐の日も
朝を聚めて
渚で貝殻を拾うように
昆虫の標本を並べるように
針箱を整頓するように
腕を伸ばして
ひかりに翳して
たかく空にかかげる