表現する 誰のためでもなく 自分のために 完璧じゃない 納得しない 満足もしない でも表現し続ける そうして いつかかならず あの日のわたしを 迎えにゆく 打ちひしがれた あの日のわたしに 手を 差しのべにゆく
わたしはもう 何者になることも ないのです 目を瞑って 遠凪に潮騒を聞いても 森の騒めきに 息を潜めても 草生きれに いのちの呼吸を嗅いでも 夜空の神秘に インスピレーションの 明滅をみても もうなにも 感じなくなって しまいました わたしはちっぽけで 哀れで 虚しきもの でも もしも ひとつだけ 願いが叶うなら あの頃の あの日に返って もう一度だけ あの笑顔の あなたの頬に 触れたい
風誘う 水平線に 流謫する 冬の名残りを いかにとやせん
失せ物を 支払いという 旅びとの 裸のからだに 落とし物なし
涙とも なぐさめともみゆ 夕暮れと 夜のあいだに 積もる雪かな
こころなき 季節の風に 定められ 水面の月は 撃ち墜とされる
こやみなく降る 白い雪が 長く暗い夜に ひかりを与える きみにいのちを 与えつづける
もうすぐ 水平線の向こうに 大切な何かが いってしまう あの夕焼けに どうしても 伝えたいことが あったんだ どうしても 渡したいものが あったんだ あの水平線の向こうに わたしの 大切な何かが いってしまう
人は夜空を仰ぐ時、初めて深く永遠を思うものです。同時に永遠を思うとき、人は翻ってゆかり深き人々の上を思うものであります。 森信三 修身教授録一日一言
地平に真実を求める 夜空に極星があるように
最期だと思えば 空は青くて 雲は白くて 波は静かで 君はいつも 綺麗だった
夜空が語りかける ひとよりも 夜空が耳を傾けて くれるようなひとに なりたいと 思ったのです つつましい ちいさな願いを 夜空が 静かにして 息を止め 動くこともやめて 否定もせず 拒みもせず ただ頷いて 聞いてくれるようなひとに
わたしはもう 何者になることも ないでしょう 目を瞑って 遠くの潮騒を聞いても 夏の森の いのちの息吹に 耳をそば立てても 夜空の神秘に インスピレーションの 明滅をみても もうなにも 感じなくなって しまいました わたしは哀れで ちっぽけで 虚しきもの でももしもひとつだけ 願いが叶うなら あの頃の あの時に戻って もう一度だけ あの笑顔の あなたの頬に 触れたい
枝葉落ち 檜皮あらわし 雪まとい 風に吹かれて 春を待つ木々
貴を嫌い 貧に安んじ 降り落ちる 雪の白さに 生を讃美す
一人称は迷宮 二人称は地平線 三人称は蜃気楼 きみは謎解き ぼくらは白昼夢