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水木三甫の心葉♡♧詩集

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心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを… もっと読む
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2024年2月の記事一覧

雨が嫌い(詩)

雨が嫌い(詩)

雨が街灯の光を地面に叩きつける
カーテンに濡れた風が貼りつく
僕は窓ガラスを閉める
君はベッドで寝息を毛布の下に隠す
雨の匂いが僕の体温に触れて蒸発する
僕は君の横に潜り込む
しかし、耳元で囁く君の鼓動が僕を眠らせてくれない
不貞腐れたエアコンの電源が落ちる
天気予報が明日も雨だと伝えていた
僕は君の次に雨が嫌いだ

なぜ世の中は悪くなるのか(詩)

なぜ世の中は悪くなるのか(詩)

キレイなものとキタナイものが混ざるとキタナクなる
好きな食べ物と嫌いな食べ物を混ぜると嫌いな食べ物になる
信頼と不信が混ざると不信になる
安心と心配が混ざると心配になる
戦争と平和が混ざると戦争になる

つまりは
良いものと悪いものが混ざると悪いものになる
多様性の中に悪い種が混ざると多様性も悪くなる
世の中が悪くなるのも仕方ない

夜の扉(詩)

夜の扉(詩)

子どもたちが帰り支度を始める頃、鳩の群れが豆をつっつく、そのまわりを枯れ葉が流れ、公園の噴水が止まる。

影が空色になった頃、おばさんたちはおしゃべりの声を小さくし、カラスは薄の穂が揺れるように歌をハモる。

空が燃えるのをやめた頃、町中から猫はいなくなり、懐かしさを叫びながら豆腐屋が笛を吹く、まわりの静かさがその音を消し去る。

家の鍵は掛けられ、町は荒れ地となり、川は氾濫を起こし、草花は宇宙へ

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季節外れ(詩)

クリスマスツリーと門松と雛飾りが並べられた物置小屋の鍵が見当たらない。

命の重さ(詩)

命の重さ(詩)

昔、人命は地球より重いと言った日本の元総理大臣がいたが
人の命にも軽重があるみたいだ
自分の命が重いと思っている
ダリの口髭のように高慢な奴らは
他人の命を軽く見る
重い命を持っていると思い込んだ奴らは
軽い命しか持っていないと思っている人たちを戦場へと送り込む
ふかふかの椅子に座った奴らが
山下清の切り絵のような庶民を死の淵に追いやる
命の重さに平等などない

ホンモノ迷子(詩)

ホンモノ迷子(詩)

鏡の自分に向かって「ニセモノ」と呟く
鏡に映る私がニセモノなのか
鏡を見る私がニセモノなのか
私にはそれがわからない
それが辛くて
それが悲しくて
私はたまらず目を閉じる
そして私は祈る
目を開けたとき
ホンモノの私がそこにいますようにと

無償の愛なんて(詩)

無償の愛なんて(詩)

本当の愛とは無償の愛だと言うけれど
無償の愛という言葉があること自体
愛には無償の愛以外の愛がある証拠じゃない?

神様の愛は無償の愛だと言うけれど
献金を求めたり規律を押しつけたりするのだから
神様だって見返りを求めているんじゃない?

人間なんて欲望の固まりなんだから
人間の愛に無償の愛を求めるなんて
最初から無理なことだと思わない?

私があなたを愛してるのは
あなたを所有したいという欲望が

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ディープキス(詩)

ディープキス(詩)

欲望に理性を失った二人は
お互いをむさぼり合う
両手をむさぼり、両足をむさぼり、
胴体をむさぼり、頭をむさぼり、
気がつけば、二人は唇だけとなって
お互いに残った唇を重ね合う

歴史(詩)

歴史(詩)

願い叶わぬ者は神を信じ
身を捧げて神に尽くす

願いが叶う者は自らが神となり
願い叶わぬ者を支配する

北の丸公園にて(詩)

北の丸公園にて(詩)

枝たちに刺された空は
断片となり青を濃くする
マラソンしている小学生の吐く息は強く
ゴールでは先着した生徒たちが応援の声をあげる
武道館の屋根が見えるベンチで
四方から聞こえる
鳥の声をBGMに本を読む
季節外れの暖かさが
桜の花を開かせる
お掘りを渡り道路に出て
三十分の小旅行は終わる

忘却の薬(詩)

忘却の薬(詩)

僕は君を忘れていたし
君も僕を忘れているだろう
ふと君を思い出したのは
たぶん季節外れの風邪みたいなものだろう
季節外れの風邪は治りが遅いというけれど
僕はただ君を忘れたふりをしていただけで
忘却の薬は効き目が長続きしないのだろう
そういえばこの時季に風邪をひくことが多くなった
僕は一粒残っていた忘却の薬をビールと一緒に飲み干す

涙川(詩)

涙川(詩)

少女が橋の上で泣いている
夜も更けてまわりに誰もいないから
大きな声で泣いている
涙がひと雫、またひと雫と川に落ちる
そのたびに水面に小さな波紋が広がる
少女にとって初めての失恋だった

少女はふと思う
私のように橋の上から泣いている少女はたくさんいるんじゃないかと
何千、何万の少女たちの涙は
川に落ちて海に届く
海の水がしょっぱいのは涙のせいかしら
涙が乾いたあと、少女は家に帰る

幸せ泥棒(詩)

幸せ泥棒(詩)

幸せはカバンの中には隠せない
家に置いておくこともできない
幸せは顔に付いているから
私は通りすがりに幸せの笑顔を盗むだけ
気づいたときには手遅れ お気の毒さま
私くらいベテランになると幸せな人はすぐにわかる

あなたはいつも笑顔で話しているし、いつも笑顔で人の話を聞いている
みんなはあなたが幸せだと思うだろう
でも私にはわかっている
あなたの笑顔が仮面だということを
だから今日盗んだ幸せを
あな

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鈴の音と導火線(詩)

鈴の音と導火線(詩)

僕の後ろから鈴の音が聞こえる
左手人差し指に白い糸がつながっている
糸の先についている鈴が、歩くたびに音を鳴らす
僕は糸を人差し指に絡ませて巻き取っていく
鈴の音はだんだん大きくなっていく
鈴の気配が近づいてくる
僕は歩き続け、僕は糸を巻き続ける
振り向くと、とうとう鈴が姿を現した
鈴は今や僕を捉えようとしている

僕の体は爆弾だ
鈴が僕の人差し指に触れた途端、僕は爆発するだろう
鈴が宙に浮いた

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