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エッセイ

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特別で大切な日常はいつも輝いています
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#エッセイ

おいしいって素晴らしい

おいしいって素晴らしい

戻った、味がする、よかったー。

しょっぱい、あまい、にがい、すっぱい。

7日間、予期せぬ味覚の消失にへこみまくった私。家族と夕飯なに食べる?と話してても、あれが食べたいなと考えてても心底虚しかった。

美味しいって感じられること、それを共有できることは生きるうえで本当に大事なことだ。

そして何より素晴らしいと食いしん坊な私は実感したのだった。

お出かけにちょうどいい気候になった10月下旬の

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適当がちょうどいい、子育て

適当がちょうどいい、子育て

適当っていうのは適度にほどよくやるってことなんだよ

もう何年も前に言われたことを子育てを始めてからよく思い出している。ついあれもこれもと全てを完璧にやろうとしてしまう私にとってハッとする言葉だ。

煮詰まりそうになったら、そうだ適当にやればいいんだと思い出すようにして。

テキトー。テキトー。

そう繰り返し自分に言い聞かせて。

子育ては効率よくいかないことばかりだから、まあいいかで済ませるこ

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母の卵焼き

母の卵焼き

母の作る卵焼きは下手だった。

形は悪く味は何も付けていないし、よく混ぜられていない上に火加減も壊滅的だから謎の焼きムラが出来ていて。よくこんなにも下手に焼けるもんだと感心すらしていた。

料理が下手で惣菜も多くよく言う母の味とは無縁だと思って生きてきた。

でも最近、母が作っていたものに似た卵焼きが私の弁当に入っている。図らずも1番楽しみにしているおかずだったりするのだ。

秋の始まりに職場の休

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夏と嫉妬

夏と嫉妬

若さとはなんと素晴らしく尊いものだろう。

日々の生活で忘れかけていたものや諦めかけていたもの全てを思い出させてくれたと言っても過言ではない。

女性である自分を楽しむこと。

見た目のことだけでなく自由に生き生きと人生を謳歌すること。

そんな思いが姪との再会でブワッと湧き上がった。

いい歳した大人が12歳の小学6年生に嫉妬したのだ。

キラキラ輝く彼女に羨望の眼差しを向けた私はそれを顔に出さ

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古い温度計

古い温度計

船舶用の浮き輪をかたどった形に陽にあせたブラウン。数字に温度の目盛り、サーモメーターという文字だけのシンプルなデザイン。

小さい頃から目にしてきたこの古い温度計が今、私の自宅にあること。

この夏イチ、感傷的になった出来事だ。
若者の間でこういうのをエモいって言うのであれば正にドンピシャな気分。

ちょっと涙が出そうなくらいにエモい送り盆の昼下がり。

針はちょうど28度をさしていた。

温度計

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子離れへ、一歩

子離れへ、一歩

先日、息子が初めてお友達のお家へ1人で遊びに行った。

話の流れでよかったら息子くんだけ遊びに来てねと言われて本人も行きたいとのことだったのでお邪魔することになったのだ。

2年生の春休み。

息子にとっても母親である私にとっても今までと違う一歩を踏み出す日になった気がする。

それは子離れへの1歩だと感じた。

幼児期の息子はとても大人しくてどこへ行っても私にベッタリな子だった。

心配になって

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ダメと言われて育った小さな私と向き合って

ダメと言われて育った小さな私と向き合って

ダメと言われたことはなぜこんなにも記憶に残るのだろう。

それはダメ
間違えてはダメ
ダメなものはダメ

頭の中の普段は見えないところにこびりついていて時折思い出してしまう。すると今言われたかのように情景がよみがえって虚無感に支配され焦燥感に煽られる。

ダメな私…
いつからかそう思うようになってしまった。

でも、小さな私と向き合い癒してあげたことでダメなわけがない、自分は自分だからそのままでい

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いちご畑へのお誘い

いちご畑へのお誘い

太陽を浴びて赤く色づいた実を探していたら自然と前向きになっていく私がいた。

さっきまで何にモヤモヤとしていたんだったけ。

人なんてそれぞれだから100%理解し合うなんて不可能なんだ。

だから、もう、いっか。

合わない人との距離感に疲れていた私はいちご畑に来てよかったと心から思う。

本当に豊かな生活とは便利になるだけじゃなくて自然と共にあること。

触れていると癒されるのは私たち自身がもと

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