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「初恋リアルタイム」第3話
[第3話]玉のように、美しく砕け散る
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どうして、そんなに、他人のことで傷つき、涙を流せるのだろう。
彼女の混じり気のない透明な涙を見ていると、彼女に対する素直な慈しみの気持ちの中に、劣等感のような感情がうっすらと混じっていることに気づく。僕が、人に対してイライラしたり、傷ついたりしないのは、自分の感情を赤の他人にまで回す余裕がないからで、僕は、森下さんのように、人間ができてないのだろ
「初恋リアルタイム」第2話
[第2話]空っぽの箱に、あなたと眺めた景色を詰める
「まいのリップ、デアールの新作じゃない?いいなあ~」
「先月のバイト代で買ってえ~」
語尾をけのびさせながら、今日はめずらしく三人とも午前の講義に参加している。
この手の話題に疎い私は、こっそり、デアールのリップを検索する。
リップ一本5000円?!漫画10冊買えるじゃん…
大学生になり、エチケットとして化粧をするようになったけど、
「初恋リアルタイム」第1話
人物紹介
〇森下美岬/もりしたみさき
・18歳 女性 大学一年生
・SSOY(SUNスマイル外交オタク気質なイエスマン)※MBTI風性格タイプ
・頼みを断れない性格で、自分に自信がなく他人の目を気にしてしまう
〇佐久間彩都/さくまあやと
・18歳 男性 大学一年生
・MKZI(MOON個人主義な残念イケメン)
・人は人、自分は自分と割り切り、物事ははっきりと発言するタイプ
〇橋場歩/はしばあ
ハイライトハンガー①
※プロモーションを含みます。
仕事から帰宅し、僕は、おもいスーツを脱ぐ。
くたびれたジャケットをハンガーにかけながら、「はぁ」とため息が漏れる。
今日は、散々な1日だった。
部下の発注ミスが発覚し、
炎天下の中、取引先へ頭を下げに回った。
誰だって、ミスはある。
彼も深く反省しているようで、
やみくもには怒れない。
疲れた。
ただただ、疲れた、そんな1日だった。
かけたジャケットを、
クロー
あつくない、愛
ピコン、スマホが泣く。
画面には、「嫌い」と一言だけ。
毎日彼から、送られてくるそれに、
私は、一言「好き」と返す。
私の返事に対する、彼からの返信は一度も来ない。
ピコン、今日もスマホが泣く。
「消えろ」
私は、それに「ありがとう」と返す。
初めて、彼から返信が来た。
初めて、触れた彼女の頬は、
緊張からかこわばり、白く冷たかった。
「美しい、好きだ」
ピコン、また、スマホが泣いた。