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#恋愛小説
読切小説「ファーストキス」
序章伊藤正樹は、迷いに迷った挙句、結婚式の招待状には「欠席」で返事をすることにした。
「それでいいの?本当は出席したいんじゃないの?」
伊藤の妻、咲江は言った。
「ううん、いいんだ。あの人のことは、思い出の中で綺麗なままで保存しておきたいんだ。結婚披露宴に出て、あの人のウェディングドレス姿とか、相手の男性を見ちゃったら、俺、ジッとしていられないと思うから…」
「うふっ、そんなところ、昔から
短編小説「バレンタインデー」後編
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5「大学祭前」夏合宿が終わり、そのまま軽音楽部は大学後期が始まるまで、開店休業となった。
大学の後期が始まるのは10月だが、その前の9月を目一杯使っての、前期期末試験が行われるので、この時期だけは勉強に専念せねばならない。
更に伊藤は試験後、アパートに引っ越さねばならないのもあって、落ち着かない日々を過ごしていた。
最も野球等のスポーツ推薦で特待生扱いの極一部の学生は、試験
【読切小説】ガラスのPALM TREE
「もう…あたし達はダメなのかな…」
知子が助手席でそう呟いた。
「俺は…知子次第だと思ってる」
「もうっ、正志君のバカッ…」
夜の首都高の大黒パーキングエリアに停めた車の中で、俺達は最後かもしれない話し合いをしていた。
2人の中がギクシャクし出したのはいつだろう。
夏に海で出会った頃には、互いが互いを必要としていた。
必然的に俺達は惹かれ合い、どちらからともなく告白し合い、付き合うよ