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財政破綻したスリランカが日本を頼った理由について

まずざっくばらんに状況を述べてから少し掘り下げてみたいと思います。

なんでスリランカ財政破綻したん?

スリランカは中国にお金を借りたけれどコロナとか色々あって返すメドが立たず、中国に「ちょっと待ってもらえませんかね?」と言ったところ中国は「待つわけないだろ。借りたのそっちだろ。はよ返せ。金利払え。」と取り付く島もなく見下されました。

そしてデフォルト(債務不履行)することになってしまいました。

デフォルトになるとどうなるのか。
IMFなど国際的なお金を管理する組織による舵取りに変更されることになりスリランカのトップによる統治でなくなってしまうことになります。
何より一番のマイナスは他国からの信用を失ってしまうことです。
スリランカの通貨の価値は下がり、インフラ整備や補修が急速に低下します。
物価が急上昇して犯罪発生率も上がり、貧民が増え難民も世界に拡散します。

IMFなどが助けるのはその国を助ける為というよりも、デフォルトの結果により世界情勢や治安悪化がはびこるのを防ぐ為という意味合いが強いのかもしれません。
落とし穴に落ちたスリランカに足を掴まれ引きずり降ろされる国が増えていくと世界恐慌となってしまいますからね。

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なぜ日本に助けを?


スリランカと日本はまぁまぁ離れています。


日本は世界各地と貿易をしていて、スリランカとの貿易もあるしスリランカへの貸し(資金を貸し出す側)でもあります。

ですが中国もそうですが、スリランカの近くにはインドなどの大国もあり、もっと先に助力を得るべき対象があるのではないかとも考えられます。
というよりもスリランカの主な債権国は中国 インド 日本の3国です。

ですが態度のキツイ中国が無理ならインドに…とはならなかったようです。

インドと中国は元々仲が悪いです。
国境線では度々衝突を繰り返してきました。
そして今回の国力が低迷したスリランカを巡っても両国間でのいざこざが出てきています。

その地政学的リスクもあったからか、スリランカは債務再編を日本に依頼することにしたようです。
日本が了承するかはまだ不明です。
9月にはスリランカ大統領は日本に訪問して岸田総理と対談する予定との事。

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日本がスリランカと手を組むメリットあるの?


スリランカ大変そうだなぁ…じゃあ日本は助けるべきだ…なんてことを言い始めてしまったら終わりです。
世界のあちこちから日本への擦り寄りが始まってしまい日本という国が食いつぶされて日本自体が国家破綻してしまうでしょう。

じゃあスリランカの要望を袖にすれば良いのかというとそうとも限りません。

なぜならスリランカには資源があるからです。
しかもロシアや中国に対抗できる良い資源です。

スリランカの強み…それは紅茶や観光…そして何より石油や天然ガスがあることです。

日本がスリランカを助ける代わりにこれらの資源の関税や安価での提供を受けることで双方win-winとなる大きなメリットを得ることができます。
スリランカ側が日本のメリットの理解と正しい外交をしてくれたなら実現可能な範囲だと思います。

これは結構大きな話です。
日本はエネルギー関連のロシアとの断絶の代わりを得ることができます。

さらには地政学的にも大きなメリットがあります。
スリランカと密になりこれまで以上に仲良くなるということは中国に対する牽制にも繋がることになるからです。

アメリカとしても中国を取り囲む力を追加できるのでメリットがあります。
つまり上手く立ち回れば日本は恩恵を得られるということです。

ただ机上の空論ではあります。
スリランカが対中戦略に有利だからそれだけでも日本がスリランカを助けるメリットがある…といったようなアメリカの対中戦略に協調している日本はスリランカを普通に助けることだけでもプラスになるでしょう…と、日本に対する資源の優遇は限定的にして日本の旨味が少ない状態で交渉されたら日本としては微妙なところと言わざるを得ません。

どこまで日本として有利に交渉を進められるか、スリランカの資源交渉をしっかりできるか…日本政府の外交部の手腕が問われます。

日本に負担がかかっているのにその見返りが乏しい状態での債権債権という重量のあるお仕事がアメリカの圧力(スリランカを中国から引き離せと命令)で押し付けられたら日本経済としてはマイナスになってしまう可能性すらあります。

さて、人の意見を聞く総理である岸田さんがアメリカの意見だけ聞いて安易な決断と決定を下さなければいいのですが…。

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中国は怒っている


もちろん上記のようなやり取りが自分と無関係に進んでいる状況なので、メンツに拘る中国は怒ります。

今後「早く金利を払え。」「借金のカタにこの資源を徴収する。」「この品物の輸出入を制限する。」など何かしらの圧力を掛けてくることも想定されます。

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まだ来月のスリランカ大統領の訪日が決まったくらいで具体的な情報はあまり出てきていませんが、こうしてニュースになったからには、対談前に水面下での大体の取り引きの流れは出来上がってくるかと思います。

日本政府が下手打たないことを望みます。

では今回はこんなところでノシ

メルカ

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