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2021年8月の記事一覧
第52話 13歳の暴走
診察とリハビリの会計を済ませ、建物を出て駐車場に向かう。あーあ、やっぱり今日も、ツインレイらしき男の人はいなかった。
いっそスサナル先生がツインレイならどれほど嬉しいだろうと思ってみても、彼はこの時間はまだ部活の指導をしているはずで、間違ってもリハビリルームに現れたりすることはあり得ない。そんな奇跡が望めないことは、自分でも嫌でもわかっていた。
車内に戻ると、機内モードを解除したあきらがい
第48話 巡り合わせの必至
トリガーは、あきらの筆箱が登校直前になって壊れたこと。縫製が破けて派手に穴が空いてしまったらしい。
鉛筆、マーカー、ミリペン各種、消しゴムと練り消しとその他諸々。絵描きの筆箱はどうしたって、画材でかなりかさばってしまう。
取り急ぎ用意できるものとして、私の切り絵の道具を入れている大きめのポーチを貸してあげることにしたが、それだって一瞬でパンパンになった。
「今日は文化祭だけなんだからもう
第40話 スサナル先生という人
自分がもっと美人だったら、どれほどよかっただろう。もっとどれだけ自信を持って、スサナル先生と喋れただろう。
ツインレイを検索するとたくさん出てくる「美人説」。残念ながら、そこに限って私に当てはまることはない。
統計として、ツインレイは恋愛経験の多い美男美女が多いとされるけど、なんの学びのためなのか、そこは私に該当しない。多くのツインレイによく聞かれる“恋愛遍歴”などという言葉は、私にとって
第39話 舞台装置は裏で整う
私がこの地に引っ越してきた約十五年前、家の近くの公立中学校には、良くない噂が立っていた。
以前は可もなく不可もなく、どこにでもある中学校だったのが、引っ越しの数年前あたりから理由もわからず荒れてきたのだという。
近所で中学生の子を持つ人の話だと、授業が始まるチャイムが鳴ってから、廊下に溜まっている生徒を教室に入れるまでにまず相当時間が掛かるのだという。ペットボトルやタバコの吸い殻などのゴミ