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妄想のカケラたち

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書く習慣アプリのお題 シロクマ文芸部のお題 ....などから妄想したもの
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2023年5月の記事一覧

妄想のカケラ【悪夢】

妄想のカケラ【悪夢】

#91 悪夢

何かから逃げるように
私はただただ必死に走っていた__

突然、見慣れた自室の天井が目に入る
夢?
目が覚めたのだ
いつもの朝が広がっている

夢だったのに何故かほっと胸を撫で下ろす
逃げ切れてよかったと



足が痛い
昨日歩きすぎたからかな...

身体が重い
きっとおかしな夢を見たからだろう…

気持ちを切り替えるように
伸びをして起き上がると
ラジオをつけ天気予報に耳を傾

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妄想のカケラ【私は悪くない】

妄想のカケラ【私は悪くない】

#90 私は悪くない

「ごめんね」と言われても、
この傷が消えることはなく
もう元には戻らない

おまけに、
謝ってるのにに許せない自分が
ちっぽけに見えてしまって苦しくて
何だか悪者になった気分になる

だけど、私は悪くない
言い聞かせながら自分を抱きしめた。

書く習慣アプリのお題「ごめんね」から #詩

短歌【半袖】

短歌【半袖】

#89 半袖

夏服の
袖からのぞく
二の腕を
恥じらいながら
夏を始める

書く習慣アプリのお題「半袖」から #短歌

星月祭 (シロクマ文芸部)

星月祭 (シロクマ文芸部)

月の耳飾りの少女が舞う祭りの夜
星の聲を借りた少年が歌うのは星屑の歌

星になってしまった人たちを
地上から皆で
懐かしむ夜

振る舞い酒が効いたのか
涙がとても溢れてきた

思わず上を向くと月も揺れていた
#シロクマ文芸部
お題
「月の耳」から始まる小説・詩歌 #詩 で参加しました

小牧さん今回も素敵なお題ありがとうございます。

前回参加した作品はこちらから↓

妄想のカケラ【月に願いを】

妄想のカケラ【月に願いを】

#88 月に願いを

自分の力だけで
何でも叶えてきたけれど

今夜は特別

お月さま
どうかあの人を助けてください

冷たい月が涙に揺れる私を白く照らした

書く習慣アプリのお題「月に願いを」から #詩

妄想のカケラ【溶け出す世界で。】

妄想のカケラ【溶け出す世界で。】

#87 溶け出す世界で。

いつまでも降り止まない、
雨に私たちは溶かされている

先週はついに隣街が溶けて消えた

降り止まない雨は世界中のヒトとヒトが作ったものだけを少しずつ溶かし続けている

初めは、この降り続ける雨に
このままでは世界が沈むかもしれない
という心配があったけれど
溶かされるなんて予想外の展開だ

何かの自然現象なのか
神様の気まぐれなのか
理由は未だ不明

そして、この現象

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妄想のカケラ【みんな寂しがりや】

妄想のカケラ【みんな寂しがりや】

#86 みんな寂しがりや

日の暮れかかる公園のブランコに
ポツンとひとり、少女が座っています。

お母さんと二人暮らしの少女は
真っ暗な家にただいまをして
ひとりで明かりをつけて
お母さんを待っている間が寂しくて
少しでも家でのひとりぼっちが少なくなるように
お友達が帰ってしまった後もこうして一人でブランコに座っているのです。

ひとりは寂しいとか怖いとか
だから公園で時間をつぶしているとか

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妄想のカケラ【名水のプライド】

妄想のカケラ【名水のプライド】

#85 名水のプライド

今シーズン初めてのアイスコーヒーを淹れる

お湯を沸かしながら
豆を弾いたら
マグカップに氷

〇〇の名水で作った透明な氷です。
...と書かれたコンビニで買った氷の袋

(名水)ホンマか~?と疑いながら
大きなカケラをひとつふたつみっつ....

名水で作られたとあって美しい透明度
....なんだろうか?(疑

ドリッパーに湯を注ぎ
カップの中の氷がとけて
いい塩梅の闇

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妄想のカケラ【理想のあなた】

妄想のカケラ【理想のあなた】

#84 理想のあなた

もういない
あなたに似せた
AIは
あなた以上に
理想のあなた

書く習慣アプリのお題「理想のあなた」から #短歌

妄想のカケラ【初夏に始める恋物語】

妄想のカケラ【初夏に始める恋物語】

#87 初夏に始める恋物語

初夏を聴く
新緑の下
芝生に腰を下ろして
僕は耳を澄ませた

木漏れ日が地面に描く幾何学模様が風に揺れている

夏色に染まり始めたばかりのまだ淡い
未熟な空色のイマソラに白線を引きながら
遠のく飛行機を見送った

空に向かってスマホを斜めに構える彼女の
耳元のイヤリングはすっかり夏色で
はしゃぐ度にきらりと揺れて眩しくて...
そして、なんだか、ドキドキする

...

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妄想のカケラ【深夜のラーメン】

妄想のカケラ【深夜のラーメン】

#86 深夜のラーメン

終電逃して千鳥足
どうやって帰ろうか?
悩みながら店をでて
とりあえず、入った屋台で
食べた〆のラーメンは
なぜ、あんなにもウマかったのか?

書く習慣アプリのお題「真夜中」から #詩のようなもの

妄想のカケラ【捨てられない者】

妄想のカケラ【捨てられない者】

#85 捨てられない者

いつの間にか部屋に住み着いた「後悔」を
アパートのゴミ置き場に人目につかぬよう夜中にそっと捨てた

やれやれと部屋に戻ると
ヤツ(後悔)はゆらゆらと部屋に立っていた。

むむぅ
ならばもっと遠くに捨てにいくか…?

それから僕は何度も場所を変えて
何度もヤツを捨てた

けれど、ヤツは必ず先に戻ってゆらゆらと無表情に立っている

....

何回捨てたのかよくわからなくなっ

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苺の戦略 #シロクマ文芸部

苺の戦略 #シロクマ文芸部

舞うイチゴを追いかけてゆくと
イチゴ水の湖<うみ>にでた

持っていた虫取り網は長いストローに変わり、伸ばして吸うと、湖<うみ>の水は爽やかで甘くて病みつきになる味がした。

やがて、日が暮れ
もう帰らなければならないのに、帰りたくない

イチゴ水の味に溺れ続ける私

徐々に変容している
自分の姿に気を留めることなく...

そして、うみのイチゴ水に満たされつくした私は
いつの間にか湖畔のイチゴ畑

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妄想のカケラ【大人になって...】

妄想のカケラ【大人になって...】

#84 大人になって...

子供のままでいられたら
と思っていたこともあったけど

どこからどう見ても「大人」になって思うのは
子供の頃に思っていた「大人」は
実はさほど「大人」ではない。

ある意味みんなずっと子供のまま。

書く習慣アプリのお題「子供のままで」から #詩のようなひとりごと