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妄想のカケラ【悪夢】
#91 悪夢
何かから逃げるように
私はただただ必死に走っていた__
突然、見慣れた自室の天井が目に入る
夢?
目が覚めたのだ
いつもの朝が広がっている
夢だったのに何故かほっと胸を撫で下ろす
逃げ切れてよかったと
…
足が痛い
昨日歩きすぎたからかな...
身体が重い
きっとおかしな夢を見たからだろう…
気持ちを切り替えるように
伸びをして起き上がると
ラジオをつけ天気予報に耳を傾けながら
私は洗面所に向かった。
彼がいなくなったリビングで
今日の天気を陽気に伝えていたラジオに
ザザッっと雑音が入ってプツンと音が途絶えたかと思うとまた音が鳴り始めた。
ゆらゆらと煙のような影法師が
ひょろりとした手を伸ばし
ラジオを消したりつけたり
遊んでいるようだ
そして、彼はまだ気づいていない
逃げられた腹いせに何者かがつけた印
足首についている手の痕のような痣に__
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