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【映画評詩】「宇宙に行きたい」
宇宙に飛び立つ
宇宙に飛び立て
誰もできないことである
いや
既に各国には宇宙飛行士がおり
過去何十年に何百 スペアも含めればその何倍もの
宇宙飛行士は存在しているのだが
普通の人にはできないこと
まだまだ できないこと
夢物語を描くのが映画
これは 55年前の夏にあった
人類初の月面着陸の「舞台裏」を描いた
ラブロマンス まったくのフィクションである
期待に胸膨らませ映画館に足を向けた
【映画評詩】「人だもの涙くらい」
命を守る 助けてやる
そう絶叫したところで
大きな力
定められた運命には逆らえない
多くの人はあきらめる
現実を受容する
だがしかし
それに抗う人がいる
手を差し出し
本気で助けようとする人がいる
実在する人に材を得た作品
涙という感動をもたらす
これはあくまでフィクションだ
事実を基にしたドラマだ
事実だけを並べたところで
感動させるドラマにはなりにくい
現実もひとつのフィクショ
【映画評詩】「ママがやさしいとは限らない」
坊はずっと探していた
やさしい 甘いママ
自分を 百パーセント受け入れてくれる女性
おかあさんと坊
ずっとずっと甘い夢をみていたいのに
この世は 現実は
冷たく厳しいのだ
坊は年をとり 母も年をとり
大人になった坊は
母に背を向けたことに後悔する
あとは夢の中で遊ぶだけ
ベッドに入り
夢の中を漂う
そこだけは百パーセント
坊の ぼくの心は自由なのだ
年をとったぼくは
小さな
あなたに手を引
【映画評詩】「生きるための選択」
すがりつく奴らは追い払え
生きるために
持っている奴らから奪うのだ
生きるために
争いには勝て 手段を選ばず
生きるために
生きるためなら
普通の人だって 何でもやる
人殺しもいとわない
大災害の後
無力になった人びとはどう生きるのか
生々しく描かれたその姿を 見た
キラー・スマイルで鳴らした
国際的俳優イ・ビョンホン
ニヤつくこともなく
黒いものを抱えた男を演じる
予想外の事態が起きたと
【映画評詩】「そこには僕も…」
平山という男が自転車をこぎ 橋をわたる
平山という男が古い狭い地下街で一杯やる
平山という男がコインランドリーを使う
ああ そこも ここも
僕の生活圏なんですよ
ヴェンダースの「PERFECT DAYS」は
僕の日常生活の中にある景色を映す
泣けた 泣けた 泣けた
僕は映画を見て 涙を流した
僕にも
あなたにも
今ここにあり
今生きていること
今だけじゃない
過去に生きたこと
過去にそこに