健忘録【スクイージング・吸引】

人工呼吸器装着中、実は痰排泄ができず苦しいことも沢山あった。


そんな中、看護師が両手で振動を与えながら、肺を押して呼吸動作をしてくれるスクイージングというやつをやってくれたことがある。それも、数回とかではなく、何度も何度も、結構な時間やってくれた。


時間をかけて、タイミングを合わせた振動と胸部圧迫により、気管に開けた穴(気切)から入れた吸引(サクション)チューブが届くところまで痰の移動を促し、それを清潔操作でサクションチューブで掃除機のように吸い取る。このサクションも、実はチューブの入れ方や引き方一つで、楽になる魔法の手技に化けるか、様々な苦痛を伴う魔の手技になるかが変わる。(吸引(サクション)は辛いことで有名だが、実は辛くない場合も多々ある。)

【余談・TIPS】
吸引(サクション)について

人工呼吸器の呼吸タイミング、チューブを入れる深さ、挿入時も陰圧を加えるか、ただ真っすぐ引き出すかクルクル回しながら陰圧をかけながら引くか、引くスピード、全員が若干違い、皆が私の表情を見ながら微調整をしてくれようとした。(これは、私の個人的な感覚で教科書的なやり方とは少し違う。教科書的には、指でサクションチューブを折り、陰圧を止めて気管の奥までサクションチューブを挿入する。奥まで入ったところで、折れ目を離して陰圧をかけながら、真っすぐサクションチューブを引き抜くはず。これは、セデーションや筋弛緩が強く(麻痺があり)、呼吸動作も咳も様々な痰排泄メカニズムが破綻している急性期には出せない奥深くに停滞している痰を吸い出せて、助かる。しかし、意識があり、筋弛緩やセデーションが深くなく、咳反射や嘔吐反射がある状態では、サクションチューブ挿入時も間欠的に陰圧をかけながらゆっくりサクションチューブを回しながら気道に若干浅めに挿入し、フルに陰圧をかけながら、クルクル回しながらゆっくりサクションチューブを引き出すやり方が最も楽だった。あと、チューブ挿入時、急いでサクションチューブを入れると、たまーに気管に直角にコツンと当たることがある。これはある程度痛い。逆に、これ以外の痛みは吸引(サクション)では記憶にない。なので、サクションチューブ挿入時に数秒間急がずに、挿入角度を意識するだけで、痛みはおそらくかなり緩和・回避できると思う。また、嘔吐反射の強弱でも、動作の速度やサクションチューブの挿入深さや角度は調整してもらえると、サクションがむしろ楽になる手技となる。この時、真心を持って、上手くやってくれたスタッフさんに感謝しかない。)

私個人の意見です


スクイージングやサクション自体で、背景疾患がいきなり根治するわけではない。しかし、痰排泄を促し、体感的な苦しさは大分改善した。


しかも、一回これをやっても、背景疾患が存在し、人工呼吸器も乗り続けているので、時間差で再び同じ理由から苦しくなってくる。


数名の看護師らが、何度も何度もこのスクイージングをしてくれた。


特にその中でも上手だった人は10年以上経った今でも、この場面をハッキリ思い出せるほど記憶に鮮明に刻まれている。


再会した際には、昔お世話になった時のことのお礼は言ったが、具体的にはあの時もこの時も〜、とは言えなかった。


接触時間の短さもあるが、このスクイージング以外にも沢山、たっくさんお世話になっている。


とにかく、レスピ装着中のこのスクイージングで手動去痰を促して、サクションで痰を掃除機のように吸い取ってくれたことで、体感的に苦しさが大分マシになったのはよく覚えている。


こういうのって、どこにも記録されていないことなのかな? そして、このようなことを施してくれた方からしたら、他にもっと記憶に残るエピソードも多いのかもしれない。(けど、結構な運動になるし、一所懸命やってくれてるよね。伝授していて欲しい☺️。)


けど、スクイージングという、投薬や挿管、胸骨圧迫と比較したら地味に感じるかもしれない処置でも、患者としては非常にありがたいこともある。


そして、寝たきりで寝返りも打てず、痰も排泄できない状態は、肺炎の原因でもある。人工呼吸器装着中の肺炎は、少なからず命取りのことがある。


すると、このような手技は、肺炎の原因を排除し、何もしなかったら起きて命を脅かしたかもしれない肺炎を予防し、未病のうちに治療してくれている。(呼吸リハビリみたいに効果的?)


こういうことが、患者のQOLを大いに改善し、命も救うこともあろう。


あの時は(も)ありがとう。


今を大切に生きよう!


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