「花火フリーク」－詩ー

2022年8月14日 20:08

彩ちゃんは　花火フリーク
夏が来ると
“いつ花火するの？”が　口癖

駄菓子屋さんで　買ってもらった
花火セットを　枕元に置いて寝る

花火日和の　日となると
「早く　暗くならないかな」と
30分置きに　つぶやく

神社の公園に　仲良しが集まる
レモン色の月も　仲間入り
涼しい川風も　立ち止まり見学
アオマツムシは　息を凝らす

スパーク花火は
パチパチと　歌いながら
花が開くように　広がり
雪の結晶のように　七色吹雪を
まき散らす
火花は　暗闇を　朱鷺色に染めあげる

彩ちゃんの　頬は　
星の粉を　つけたように
キラリピッカピッカと輝く

溢れる笑顔は　煙といっしょに
空に　のぼってダンスする

影法師は　遠慮しながら　
皆の影を　長くしたり　短くしたりして
場を盛り上げる

花火の命は　ほんの束の間で
哀れな美しさを　見せる

この　はかない饗宴は
彩ちゃんの　夏絵日記に　
艶やかな　思い出として
しっかり　描かれる

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