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短編小説

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5000文字前後で完結する短編小説
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記事一覧

引きこもり 

引きこもり 

3000文字小説

もう何日だろう…わたしが部屋から外に一歩も出なくなってから。いちいち数えたりもしないし、数えたこともない。
だから今日が何曜日で何月何日なのかも把握していない。
ま、いいか。わたしに時間など関係ない。
だから時を刻むものは置かない。
ある日、家族を不慮の事故で亡くしてからというもの、部屋に引きこもってしまった。
もうなんにもヤル気も起きない。ただ、本を読んでみたり映画を鑑賞して

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change

change

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また、本作の内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します。
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カボチャのスープは苦い

カボチャのスープは苦い

カボチャのスープは苦い
著:星野彩美

第1章 カボチャのスープは苦い

わたしは雨の中、店の看板を外す作業をしていた。生温かい蒸気がコンクリートのアスファルトから立ち込めて湿気が高い梅雨どきのことだ。街には紫陽花の花が色づき始めていた。
葉についているカタツムリはわたしを見つめていたが、気にも止めない。羽織っていた薄手の上着を脱ぐと、外に並べられたテーブルの上に乗せられた椅子にかけるとインナーの

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好きになってはいけない彼女

好きになってはいけない彼女

著者 星野彩美

まえがき
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わたし…出ました。

わたし…出ました。

著者 星野彩美

※この物語は、「サイコパス」につながります
ご了承ください。

白か黒か…灰色か
「わたし…出ました。」
まだ寒の戻りで寒いニ月の末日。こんな投稿が、SNSに投稿された。
 何の変哲もないひとことだったが、このひとことが、このあと、再び世間を恐怖におとしめることになるとは、このとき誰も予想もしなかった。
『決してひとりにしてはいけない。わたしの育て方がいけなかった…。申し訳ありま

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奇特なゲーム

奇特なゲーム
著者 星野彩美

彼らは夜な夜な集まりだした。
昼間のうちに打ち合わせをしていたからだ。
今からここで繰り広げる残虐で悍ましいゲーム。
その世界へ興味本位で足を踏み入れてしまった。
奇特な者たち。ようこそ…奇特なゲームの世界へ。

遥香、道也、真璃子、修の4人に加えて新たに急きょ加わったのが春生だ。
春生は、先日彼らの話しを立ち聞きして、そのゲームに興味をそそられていた。昨晩は眠れな

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もうひとりのわたし

もうひとりのわたし

世界のどこかに存在するわたしの分身。人間には必ず自分以外に二人の自分自身が存在する。
それは良い自分と悪い自分。とりわけ、天使と悪魔と言ったところか。
良い自分は良い行ないをする。悪い自分は悪い行ないをする。
わたしは自分探しの旅に出る。自分を見失ってしまったときに、取り戻すためにいくのだ。
散らばってしまった自分を取り返しにいく。それは時として荒波を越えて別世界の場合もあり、意外と近くに存在する

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liar and doubt

liar and doubt

梨沙は部屋でsnsをチェックしていた。先ほどまで駅からの長くもない帰り道を足早に帰宅したばかりだった。
なんだか、最近つけられているような気配がしたからである。
…うん。そうなの、何だか最近人に見られているような気がしてさぁ。アンタもそんなことない?
ああ、あるある。確かにわたしって美人じゃない?だから男からの視線が痛いくらいなのよね。スタイルもいーしね。
…バカ。いっぺん鏡を見直したほうがいいわ

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輝かしい世界

輝かしい世界

【輝かしい世界】
う…うう…まさか。まさかでしょ。
あああ!わたしは今、夢を見ているのか?
わたしの目の前に立っていたのは、先日亡くなったはずの彼氏だった。
あのときは、つまらないことでケンカした。
言い合いになり、言ってはいけない言葉を無意識のうちに発していた。
今ではとても自分自身のなかでは後悔していた。
ごめんなさい…と謝ろうにも謝れない状況下になっていた。
やり直せるものならやり直したい。

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えせ勇者の「戯言」と「秘事」

えせ勇者の「戯言」と「秘事」

街の外れにある古びた教会の裏手に、それはある。
夜な夜な酒盛りをしている10人ほどの初老たちは話し合いのために会合を開いていた。
初老と言えども、まだ歳のころ40過ぎじゃろうか。
暇な初老たちのいつもの憩いのひととき。
枝にかけた松明を頼りに大きな切り株をテーブル代わりにしてそれぞれが自宅から持ち寄ってきた食べ物やら飲み物を並べている。
切り株の直径は人1人ほどの身の丈ほどもある巨きさであり、長き

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江戸無法者記帳処 潜入編

江戸無法者記帳処 潜入編

江戸語 / 星野彩美
官能文体/ Lime

官能ミステリー小説

【江戸無法者記帳処】18歳未満禁止のガイドライン

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逝く…

逝く…

逝く、逝きからず、逝かねば、逝きけり…
ネットの言葉図鑑に目を通す慎介
気になる言葉を調べていたのはまだ30代半ばくらいの
青年。青年というには歳はいってるが。
死に場所…死に方…いけない。
俺は何を検索してるんだろうか。
こんなことをして半年になるだろうか。
眠ろうにも寝れず、寝付けずにいた。
こんなことなど今まで考えたことすらない。
俺はいったい何のために生きているのだろうか。
人がこの世に生

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矛盾がなす双璧〜書き下ろし作品

矛盾がなす双璧〜書き下ろし作品

⚪️矛盾がなす双璧⚪️

おまえはなぜ獄門に立っている?
そこで何をしてるのか?と男は尋ねた。
おまえこそ、ここに何しにきた?
図体のデカい大柄な男は尋ね返した。
男は答えた
俺は来たのではない。いつのまにかいたのだ。
それなら俺はおまえをそこへ行かさないために
ここに立ってると言った。
男は再び尋ねた。
それは答えになってないぞ。
俺がここを通ることをなぜ予想できた?
おまえが悪人だからだ。

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