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えせ勇者の「戯言」と「秘事」

街の外れにある古びた教会の裏手に、それはある。
夜な夜な酒盛りをしている10人ほどの初老たちは話し合いのために会合を開いていた。
初老と言えども、まだ歳のころ40過ぎじゃろうか。
暇な初老たちのいつもの憩いのひととき。
枝にかけた松明を頼りに大きな切り株をテーブル代わりにしてそれぞれが自宅から持ち寄ってきた食べ物やら飲み物を並べている。
切り株の直径は人1人ほどの身の丈ほどもある巨きさであり、長きに亘りこの集落を守ってきた守り神でもある。
その切り株は1000年も昔から天にも届くような大きな大木であったが、今では切り株になっていた。
それは魔邪の爪痕という。この地方に古くからの言い伝えがあり、その昔この地で魔邪軍との争いの跡だという。
そのときの争いの惨たらしさをそれは物語っていた。
1000年杉には、古くからこの地を創造したと言われていた妖精ビールスさまの魂が今でも宿っていると言われ続けてきた。
その杉のそばに神聖な泉が湧く小さな池がある。
いまでは枯れてしまったその泉は濁り、妖精の涙と言われたその泉も今では薄汚れている。
今回は誰にするんじゃ…初老の1人が身をぶるぶると震わせながら泉にお小水をしながら語りかける。
そうじゃのぉ…おお!そうじゃ、トロにしようじゃないか。
トロいからのぉ…やつはな。
ちょうどいいじゃろて。適任じゃよ。
この時代では15になると成人として登城し、王様に成人としての抱負を宣言しなければならない。
ここ、ダラムートはいい加減な街だった。
一応王都であったがの。
トロは山奥に住む木こりの倅だった…

〜えせ勇者の戯言と秘事〜  

(ここで壮大な伴奏が流れる…ター、タララッタララー…)

カァーン…カツーン…山奥から木を切る音がコダマしていた。
おっとうも朝も早から精が出るなぁ。
トロは家の裏手の川屋で便所を済ませると身震いしていた。
おお…おッ…おお…
おめえは朝っぱら、元気でねえか。ロウラ
むぐぅ!むちゅ!ぶちゅ!んん…
何してんだよ。もっと…もっと早よせぇよ。
ヌルい。ヌルいんだよ。おめえは。
袋もだぞ…ええな。袋の裏側もな。
持ち上げて…。そのあたり…そう。
そうそう…そうだよ。そこだよ、そこ!
素早くッ!丁寧にな…そうそう…うめえな。
ツボを心得てるな。おめぇ。
隅々まで綺麗にすんだぞ。「川屋の掃除」をな。
何をしてると思ってるんですか?
いけませんね。卑猥な想像をしたら…笑
戸袋や壁にかかっている道具入れの袋やその裏なども磨きあげられて綺麗になっていた。
おめぇ、掃除がうめぇな。
それにしてもよぉ…ロウラ。
この国は、どこからともなく流れるくる音の調べはなんなんだろうな。村や城に入るたびに聞こえてくるんだす。
トロは掃除道具を納戸に片付けながら、くっちゃべっている。
ああ、あれですか。あれは一説によりますと、この国にいらっしゃる妖精ビールス様の鼻歌だと聞いたことがあります。
ふ〜ん。ビールスさまってどんなお人なんじゃろな。
どなたもお会いしたことがないようなので分かりませんが、言い伝えによりますと背が人並みでスラっとしなやかなカラダつきをなさっていて、純白なドレスにシースルーのケープを羽織っていて、それが足元まであり長くて引きづるように歩くようなものを着てらして、そのお姿がまるで女神さまのような見た目を…。
その話しまだ続くんか?ロウラよ。
え…っ。ああごめんなさい。
おめぇやけに詳しいじゃねえかよ。それほんとに言い伝えなのか?まるで見てきたような言い草じゃな。
わたくしも存じ上げないので、母の見た目を言ったまでです。ほほほ…笑
ほほほ、じゃねえよ。おめえはよ。
それにしても、よくシャブるやつだな。
…あ、違ったしゃべるやつだな。おめえ。まるで言葉の魔術師だな。魔法使いに向いているかもしんね。
ロウラはトロの家に通っている古くからの友人のような存在だった。トロの父親が帰宅するまえには、逃げるように帰っていく。なんなんだろね。アイツは。意味分かんねえし。
トロは外に出てみると、ロウラの姿はなかった…
もう居ねえ。遠距離移動魔法でも使ってんのか?
いっけねぇ!おっとう帰ってくるまでに朝メシ作らねばなんね。
トロよ…おまえも今日は登城せなならん。王様に謁見して成人としてのこれからの抱負を宣言するのだ。いいな。
はい…なんだがよくわからなけんども。わかりもした。
さぁ!ゆけ!トロよ。

適当に更新予定です〜🤭
何にも考えていません。適当です。
思い浮かんだままを執筆します。

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