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#日記
ウーマンリブとプロセッコと友情と
仕事の帰り道、ふと、正面から歩いてくる女性が視界に入る。
その女性は、長くサラサラの茶髪を野球帽の下に纏め、グレーのジャージ姿でポメラニアン犬の散歩をしていた。バービー人形のように非現実的に完璧な容姿と体型を擁する方であった。年の頃は20歳代後半、30歳代初頭であろうか、少なくともそのように見える。
彼女は私の視線に気が付くと、立ち止まり、私に親しい声を掛けた。
「ねえ、私のこと憶えて
隣の芝生は青い、とは限らない
「例えばだよ、東京に二十年住んでいて、一度も外に出たことがない人がこの景観を眺めたらどう感じるんだろうね」
橋を渡っていた時、スウェーデン人男性の声が明瞭に響いて来た。中高年の二人組の一人の声であった。
私は一瞬歩きを止めた。通常、赤の他人の会話には注意を払わないが、やはり自国に関する名称は聴覚を過敏にする。
日本人である私の姿が彼らの視界に入り込んだのか、おそらく違う。
この場所
市庁舎の鐘の鳴る島 私の街角
市庁舎の鐘塔は、あたかも錯乱したかのように、キンコンカーンコーンと鐘を鳴らし始める。この瞬間のみ、時代は中世に遡る。
鐘の音は、私にとっては一様に、哀調を帯びているように響く。鳴っている最中も、その後も。
そのような感を抱きながら市庁舎の足元に佇んでいると、自身が、除夜の鐘の国を去って欧州に根を下ろして来たことを改めて認識する。
先週の金曜日は、近くにて用事があったため、数年ぶり