記事一覧
猫のお告げは樹の下で
半径3メートル以内にヒントがある。
映画監督・宮崎駿が自身の企画のタネを問われた際に答えた言葉だ。灯台下暗し。身近な場所にこそヒントがある。そこに気づけば、私たちの日常はまた違った彩りを見せるのかもしれない。
小説『猫のお告げは樹の下で』は、自分自身の中に隠れている未来へのキーワードを1匹の猫が指し示す、ほっこり心温まる作品だ。町で悩み事を抱えたり行き場を見失った人たちが、毎回神社で1匹の猫と
君の嘘と、やさしい死神
「末裔の中で一番落ちぶれたやつを助けてやろう。」
突然現れた死神に術をかけられた主人公。先祖の功徳の恩恵を受け、死神の姿を見ることができるようになる。勧められるままに医者の看板を出して一儲けするお調子者を描いた古典落語『死神』に登場する一節だ。元々はサゲ(オチ)で主人公が命を落とす。ただ、元旦などのめでたい席での演目に向かないことを理由に、ハッピーエンドで終わるものなど数パターンの派生した物語が
マンチェスター・バイ・ザ・シー
つないだ手に込めた思いが届きますように。悲しみの向こう側へ、進め。
お台場が騒動で揺れた2011年の夏に放送されたテレビドラマ『それでも、生きてゆく』。ある殺人事件の被害者家族と加害者家族を描いた名作だ。ラストシーンで妹を殺された被害者の兄・深見洋貴と、殺人を犯した兄を持つ加害者の妹・遠山双葉がこのセリフとともに手紙を送りあう。両方の家族が越えられない過去を抱えながらも互いに生きていかねばならぬ