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#239「ビジネス頭の体操」 今週後半のケーススタディ(3月11日〜3月12日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


3月11日(木) 最もBCP策定意向が高いのは○○県!?

インターネットテレビやFMラジオ局を運営し、東京・渋谷の「今」と「これから」を世界へ発信する株式会社渋谷クロスFM(Shibuya Cross-FM)が制定した「防災意識を育てる日」です。

防災の日は1923(大正12)年に発生した関東大震災に由来する9月1日ですが、どの世代にも記憶の新しい東日本大震災が発生した3月11日に防災について考えてもらうことを目的としているそうです。


防災。
今回は、企業のBCPという観点で見ていきます。

まず、「令和2年版防災白書(内閣府)」によると、民間企業の事業継続計画、いわゆるBCPを策定している企業は、令和元年度の調査では、大企業で68.4%、中堅企業で34.4%となっています(下図:防災白書より

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ところが調査によって数値は大きく異なります。

帝国データバンクが行った「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2020年)」によると、BCPを策定している企業は大企業で30.8%、中小企業で13.6%、小規模企業で7.9%となっており、先程の防災白書の半数程度に留まる結果になっています(下図:BCPに対する企業の意識調査より)。

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こちらの調査では、業種別のデータもあり、金融が42.1%と高く、不動産が10.4%と最も低くなっています(下図:同)。

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また、県別のデータもあり、高知県が79.2%で最も多くなっています(下図:同)。

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昨年の調査で特徴的なのが、想定するリスクのうち、「感染症」が24.9%から69.2%と急増していることです(下図:同)。

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一方で、BCPを策定していない理由ですが、策定に必要なスキル・ノウハウがないが41.9%で最も多くなっています。

特に中小企業からは、以下のような策定の難しさを示す声が出ています。

☑️ 重要性は理解できるが、日々の稼働が大切で策定する余裕がない
☑️ あれば良いと思うが、様々な場合を想定し予め策定する余力がなく、発生後状況に合わせて可能な対応をせざるを得ない


最後にこのBCPが役に立つか、ですが、東日本大震災に被災した企業に聞いたところ、「とても役に立った」及び「少しは役に立った」は大企業が62.8%、中堅企業が66.7%と一定の有効性を実感していることが分かります(下図:防災白書)。やはり、備えあれば、というのはBCPにも言えそうです。

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→BCPを実効性に実効性を持たせるのであれば、単に策定するだけでなく、定期的に見直したり、従業員への周知や訓練を行う必要があるが、中小企業では人的にも難しい面もあるだろう。一方で、災害はいつどのように発生するか分からず、何も供えがないことで事業継続が困難になる企業も出るだろう。何か有効な手法、アイディアはないだろうか?


3月12日(金) キャッシュレスと財布の関係は?

東京都墨田区両国に本社を置き、レディースやメンズのバッグ、サイフなどのライセンスブランド商品の企画・販売を手がけるスタイル株式会社が制定した「サイフの日」です。

語呂合わせ、と、買い替え需要が多い時期であることに由来。

サイフ。
キャッシュレス時代になりつつありますが、売れ行きに変化はあるのでしょうか?

財布の市場規模のデータが見つけられなかったのですが、ECに限った月次の売上推移のデータがありましたのでご紹介します。

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(出典:ECデータラボ

2019年1月から2020年6月までのデータとなりますが、年間で約330億円程度の市場規模が(ECのみで)あることが分かります。

高額なブランドもの、輸入物は他の小売チャネルのシェアが大きいと考えられること等も考えると、全体では1,000〜1,300億円程度の市場規模はあると推測されます。

また、2019年と2020年のみの対比ですが、キャッシュレス化の影響は見られないようです。

一方、中国では、ECの淘宝(タオバオ)のみのデータとなりますが、明らかに市場が縮小傾向にあることが分かります(出典:)。

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これがキャッシュレス化の進展によると言えるかは、不明ですが、需要に一定の影響を与えていると考えられます。

日本では、今のところキャッシュレス化による財布の売上変化は見られませんが、「財布の形」には変化があったようです。

フィナンシャルアカデミーによる「キャッシュレスと財布に関する意識調査」によると、37%がキャッシュレス化によって財布の形に変化があった、と答えています。

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この調査によると、キャッシュレス派の1割は財布を持たない「ウォレットレス派」というデータもありますので、中長期的には財布の売上もしくは、デザイン等になんらかの影響はあるの絵はないでしょうか。

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最後に、財布にどれくらい現金を入れているか?というデータをご紹介します。

朝日新聞世論調査部の調査によると、「ふだん、現金が財布の中にいくらあれば安心できますか」という質問に対する回答は以下の通りです。

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約20年前の1998年のデータと比較すると、1万円未満が顕著に増えていることが分かります。


別の調査では、お財布に入っている現金の平均は1万3,569円となっています(楽天インサイト株式会社「キャッシュレス決済に関する調査」より)。

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平均は1万円を超えていますが、分布でみると、1万円未満が半数近くを占めています。5千円未満に限っても、21.9%となっています。

どちらの調査でも以前よりも持ち歩く現金が減っていることが分かります。

→キャッシュレスと財布。現金だけの問題ではなく、一昔前までは会員証やメンバーズカードが財布に入れてもらえるか、という競争があったことを考えると、そういったものもアプリ化されていることも財布と関係があるのだろう。今後、財布はどのようなものになっていくだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

一つでも頭の体操になるものがあれば嬉しいです。

毎回、月曜日から金曜日までの5日分を一度に投稿していたのですが、今回から月曜日から水曜日の3日分を日曜日に、木曜日と金曜日の2日分を水曜日に投稿しようと思います。ちょっと5日分を一気に作るのが難しくなってきました…

昨年7月から同様の投稿をしています。かなり溜まってきました。

へぇ〜というものが必ずあると思いますのでご興味とお時間があれば過去分もご覧ください。




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