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#233 「あなたのチームは、機能してますか?」を読んで

2003年に出た、古い本の話で恐縮ですが、たまたま図書館で目について借りた本を読んで思ったことをメモ。


1、本の概要。

著者はパトリック・レンシオーニ氏という方で、コンサルティング会社テーブル・グループの社長だそうで、オラクルやサイベースがクライアントであると書かれています。

内容は簡単に言うと、あるベンチャー企業の経営陣のチームビルディングをストーリー仕立てで紹介することで、チームが有効に機能するための5つのステップを理解できるようになっている、というものです。
そして最後に解説がある構成になっています。


2、本書で取り上げられているモデルについて。

物語の中では、5つのステップを順に踏んでいく形で最高の経営チームが形成される過程を書いています。

筆者は、その5つを「チームの5つの機能不全」と呼んでいます。

①信頼の欠如(による機能不全)
②衝突への恐怖(による機能不全)
③責任感の不足(による機能不全)
④説明責任の回避(による機能不全)
⑤結果への無関心(による機能不全)

筆者がこの「チームの5つの機能不全」に気づいた経緯を以下に引用します。

CEOやそのチームと働いた経験のなかで、筆者は2つの重要な事実に気づいた。第一に、たいていの企業において本物のチームワークはいつになっても実現しにくいものであること。第二に、組織がチームワークの実現に失敗するのは、自然だが危険な5つの落とし穴に気づかぬうちに陥ってしまうせいである。
(中略)
これらの機能不全は、5つの全く異なる問題で、個別に対処できるかのように誤解されるかもしれない。しかし、実際には、これらは相互に関係しており、5つのうちの1つでももろい部分があれば、チームの成功は絶望的になる可能性さえある。


それでは、1つ1つみていきましょう。

①信頼の欠如:チーム内で弱みを見せようとしないことからくる。互いに自分の間違いや弱みを隠そうとすると、信頼の基盤を作ることはできない。
②衝突への恐怖:①の信頼の欠如は、衝突への恐怖を招き、腹を割って激しく意見を戦わせることができず、曖昧な議論や慎重な発言が多くなる。
③責任感の不足:②の衝突への恐怖が招く曖昧な議論は、お互い本音を避け、会議は表面的な同意で終わっても、本当にその決定を支持し、責任感を持つことはない。
④説明責任の回避:③の責任感の不足は、自身の説明責任の回避に留まらず、他のメンバーに進捗の確認や、説明を求めることも躊躇することにつながる。
⑤結果への無関心:④の説明責任の回避は、仮に会議で(表面的な)同意があっても、その後にその進捗、結果について説明をすることも求めることもない、結果への無関心を招き、チーム全体の目標より個人のニーズや自部門のニーズを優先する。

このように、5つの機能不全は互いに影響していて、どれか1つでも蔓延すればチームワークは悪化します。


このモデルを逆から(機能しているという観点から)見ると、

❶ 互いを信頼する。
❷ アイディアをめぐって遠慮なく衝突する。
❸ 決定や行動計画に責任感をもって取り組む。
❹ 計画を守らなかった場合、互いの責任を追求する。
❺ チーム全体の結果を達成することを重視する。

ということになります。

本書では、この5つの機能不全についてさらに詳しく解説され、克服方法もいくつか提案されています。また、自分のチームを評価し、組織のどこに改善の余地があるかのチェックリストがついています。

割愛しますが、ご興味がありましたらご一読を。


3、まとめ

いかがでしたでしょうか?

「当たり前だな」「単純だな」と思われた方も多いかと思います。

実際、著者も、以下のように述べています。

これらのことを単純に思えるとしたら、事実、単純だからである。


なんでもそうですが、真理は単純なものなのだ、と個人的には考えています。
単純に説明できないものは、おそらく核心を掴みきれていないのだと。


一方で、複雑だったり、難しかったり、カタカナだったり、したほうが、「ありがたい」し「もっともらしく」感じるのも事実だったりします。

でも、それは「お勉強」としてはいいのですが、「実際の問題解決」としてはあまり役に立たないのです。

仕事上、研修講師としてのべ数千人の方々と接してきた経験からも、つくづく感じます。


先ほど引用した「単純だ」とする筆者は、以下のように続けています。

これらのことを単純に思えるとしたら、事実、単純だからである。
ただし、それは理論上の話であり、実際にはきわめて難しい。たいていのチームでは実現できないほど高いレベルの自制心と根気が必要とされるからである。

ラクして、お手軽に得られる効果は、やはり、それに見合ったもの、なのです。



最後までお読みいただきありがとうございました。

そして、昨日の皆さんを置き去りにする投稿をお読みいただいた、にも関わらず、再度ご覧いただいている方(いらっしゃれば)本当にありがとうございます。

なんのこと?と思われてみなさま、以下が置いてきぼり投稿(すいません)です。


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