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【エッセイ】こんなん思ったりも

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自分の中で上っては消えるよくわからないものって誰にもありますよね。取り出せば否応でもその姿形があらわになる。それが自分自身の足場になるやもです。
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google検索1位になった僕のnote投稿記事は❤️スキが最も少ない記事だったという異変。

google検索1位になった僕のnote投稿記事は❤️スキが最も少ない記事だったという異変。

 誰の何の役に立とうとかいうつもりはこれっぽっちもない、文字通り note な僕の note 投稿。なが〜い独り言=ツイートみたいなもの。
 
 しかしそんなものに、誰ともしれぬ方からいただく突然の「❤️スキ」リアクションやコメントというのは、書かれたそのものへのプレゼント。だからうれしさはトテツもありません。

 全40記事のなかでPV数と❤️スキ数トップを続けてきたのが「小川洋子さん・ストーリ

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小川洋子の創作法「ストーリーより描写」。ストーリーは人間の欲望。描写は神の認識への道だから。世界のヨーコはどこまでも謙虚なのだ。

小川洋子の創作法「ストーリーより描写」。ストーリーは人間の欲望。描写は神の認識への道だから。世界のヨーコはどこまでも謙虚なのだ。

「私、ストーリーは重視しません」 

 世界のハルキとヨーコ。
村上春樹さんと小川洋子さん。三島や川端以来、現代の日本文学で今「世界の」と冠することのできるのはこの二人だけ。

 その小川洋子さん。
 小説を書く作業の上で最も重視しないのは「ストーリー」だといいます。   
 念のため繰り返すと、「ストーリーは重視しない」。 

 小説って物語のことなのに?
 さすが世界のヨーコ。言うこと

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無垢を武器に、閉じた世界を開く。ナイーブだが真っすぐなロッカー、デビッド・ボウイ。

無垢を武器に、閉じた世界を開く。ナイーブだが真っすぐなロッカー、デビッド・ボウイ。

「他人のために働こうとするあまり、自分の中で始まっていたはずのものを忘れたら、君はかえって社会と共存できない」(デビッド・ボウイ)

 生放送中も構わず、黒人アーティスト差別に正面切って怒り、「朝目が覚めたとき、そこが京都の禅寺だったら」と思いつめるほど京都を愛する。

 そんなすこぶるナイーブで真っすぐなロッカー、デビッド・ボウイ。

 若いアーチストに向けたボウイのこの短いインタビュー(0:5

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いつか、ハッキリさせねばなるまい。村上春樹の正体。

いつか、ハッキリさせねばなるまい。村上春樹の正体。

 いつかはハッキリさせねばなるまいな、と思っていることが2つあって。

 この山越えの県道にある活きのいい看板。
 以前は「西宮甲山乗馬クラブ」と矢印だけのフツーの看板だったのに、10年前に、このケンカ腰看板に変わった。

「一生、ウマに乗らないつもり?」って、 なにこの挑戦的な物言い。

 そのときは一目見て「知らんわ!」とつぶやいて通り過ぎたが、以来、通るたびにうるさく目に入ってきやが

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小川洋子さん講演「小説の生まれる場所」 オスが孤独を愛するワケと、心がさらわれる「芸術」の起源の話。

小川洋子さん講演「小説の生まれる場所」 オスが孤独を愛するワケと、心がさらわれる「芸術」の起源の話。

 作家の小川洋子さんの「小説の生まれる場所」と題した講演で印象的な話一つ目。
 生物学者・岡ノ谷一夫さんの『「つながり」の進化生物学』をとりあげた話の中で。

 実験ケージで飼われたジュウシマツの話に心をさらわれる。

****

 ジュウシマツのオス鳥のさえずりはメスをひきつけるためのものだけど、本能的に自然に鳴けるようになるのではありません。
 親や仲間のさえずりを耳にせずに成長したジュウシマ

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ハルキが犯した2つの大罪。

ハルキが犯した2つの大罪。

 先日の読書会コミュニティで、思わずイヤなことを思い出してしまい、頭から離れない。

 ハルキのこと。

 世界の村上春樹さん。

 だいたい、純文学小説1作品だけでですよ、数百万部出るなんて。数は「人間失格」に匹敵、それを数ヶ月で達成したりする。

 それも、ハルキはガチの1強。もしかすると、他の全日本人の現代純文学作家の、全作品を集めても届かないんじゃないか?

 そんなことない、と、誰か言っ

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生き残り。

生き残り。

 小学二年の終わりに引っ越してしまうまで、近所の友だちとの遊び場といえば自宅アパート前の道路とその角にある資材置き場の砂山でした。

 ある月曜日の早朝のこと、ぼくは前日にやっと買ってもらったばかりのブリキの消防ハシゴ車を抱えて、砂山に向かいました。
 昨夜も家でさんざん遊んだのですが飽き足らず、自分たちの苦心の作が様々残されている人気の砂山で試したくなったのです。

 消防車は全身赤色のなか、ハ

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スメタナの交響詩「我が祖国」 弱くても自分たる誇りだけは失わない。そのための不利益なら喜んで引き受ける。その心洗われる気高さ。

スメタナの交響詩「我が祖国」 弱くても自分たる誇りだけは失わない。そのための不利益なら喜んで引き受ける。その心洗われる気高さ。

交響詩「我が祖国」ヴルタヴァ に泣く。 有名な知っている曲、聴いたことのある曲なのに、思わずこみ上げるものを感じて涙までしてしまう。
 それが、チェコの作曲家スメタナの「わが祖国」ヴルタヴァでした。

 中学校の音楽授業で必ず取り上げられる曲。
 なぜ聴き知っている曲に今さら感動したのか。
スメタナという人が何を思ってこの曲を書いたか、チェコという国がどういう歴史を背負っているのかをあらた

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東京ヤクザ vs 関西ヤクザ。ヤクザライター東西対決の巻。

東京ヤクザ vs 関西ヤクザ。ヤクザライター東西対決の巻。

 3か月前から始めた50本の記事執筆がようやく終わりに近づいた。   
 chatworkで担当のM女史にいつもの記事納品の報告をした際にちょっと営業しようと、「他に案件あれば、今回のテーマに限らずどしどし書きまっせ云々」と追伸。
 うまく『じゃ急ぎのこの数本とりあえず』と来たらしめたもの。

 女性らしい心遣いで、心優しくも乗せるのが上手いMさん。彼女のおかげでここまでこれた。
 ネタが枯渇して

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「紺ブレ」に学ぶ日本再生。大人ぶらずに子どもになりきれば、思いもよらない世界が広がる。

「紺ブレ」に学ぶ日本再生。大人ぶらずに子どもになりきれば、思いもよらない世界が広がる。

 アメカジ界隈にも紺ブレが席巻中だ。
 30年前、アイビー野郎御用達のキレイめエレガント範疇のブレザーに、正反対のカジュアル3K職場代表のジーンズを組み合わせたヤツが出た時は、さすがにみな横目でそいつとまわりの反応をかわるがわる見回していただけだった。
 英国源流に、ジーパンはやりすぎだろ。
 しかしそこは何でもありの子どもの国・アメリカ。旧宗主国に失礼などという野暮なことを口に出すヤツは一人もい

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ピンポン怖い。小2の夏。

ピンポン怖い。小2の夏。

 子どもにとってはコーフンの夏休み突入も、十日も過ぎれば満喫ぐあいも冷めてきて、ヒマを持て余しだします。

 あれはぼくが小2の頃、セミも鳴き疲れるそんな夏の午後のことでした。

 毎日のように通った小学校プール開放もその日は休み。
 昼にそうめんをすすり、「スイカは後で」とクギを刺されなどしながら、畳に後ろ手をついてひとり扇風機にあたっていました。
 それでもこめかみで汗のしずくが次々とこそばゆ

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「これで問題ないですか?」 彼はなおも無言でこちらを見つめるばかり。

「これで問題ないですか?」 彼はなおも無言でこちらを見つめるばかり。

 その家は石段を三十段ばかり登ったところにあったので、荷物が多い日は気合がいります。
その日も、両手に積み上げて抱えてきた荷物をひとまず足元に置いて、いつものように門柱の呼び鈴を押しました。
 門柱は古い石垣作り。隙間に積もったわずかな土から小輪が一つ覗いています。先週にはなかったのにと、はずんだ息をついでに吹きかけたりしていると、ふと視線を感じ、顔を上げました。

 踏み石が続いた先の

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ちゃぶ台返しの、その後は。

ちゃぶ台返しの、その後は。

 ある日の夕飯時のこと。

いつもより大きなため息を伴った母の足音がお勉強終了の合図。
 ぼくはちゃぶ台上に広げていた算数の宿題をバタバタと片付けて、代わりに平皿をさっと胸の前に引き寄せます。
そこにすかさず、母の手になる焼きあがったばかりのお好み焼きがフライパンから手荒く放り込まれました。
 一瞬跳ねあがった皿からお好み焼きが飛び出しそうになったけれど、だいじょうぶ。皿にすっぽり

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ピュアな出来損ない。偉大なるネーミング「ゆるキャラ」に宿る体温の正体。

ピュアな出来損ない。偉大なるネーミング「ゆるキャラ」に宿る体温の正体。

ダサくうっとおしい。でも捨ておけない。

 物産展などで、所在投げに突っ立っている。
 遠慮がちに手など振ったりしている。
 小さな子どもが時おり興味を示す以外、遠くからチラと見るぐらいで、近づく人はいない。
 
 なんかへんなものがいたな。
 その程度の印象で、みな忘れてしまう。

 それが地方の町おこしのために作られていた、かつての着ぐるみキャラクター。
 
 いや、地方のお役所さんたちのやろ

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