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京都 / 文学研究M1 / 近代文学が好き

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2024年は

・研究会やセミナーに積極的に参加する ・納得のいく論文・レポートを書く ・語学の勉強を続ける ・趣味だった写真を再開する ・友達に詩を贈る ・創作したものを形に…

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4か月前
7

地元である京都

次に書いたものは、最近私が思ったことだが、ひょっとすると考えが変わることもあるかもしれない。流動的なものである。 ―――――――――――――――――― 京都に帰…

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2週間前
5

行き交う人々

時と場所を選ばず、しょっちゅう考えてしまうことがある。 「今ここにいる人たちは何を考えているんだろう」 「これからどこに行くんだろう」 「何を大事にして生きている…

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3週間前
28

詩:水温

澄んだ湖沼に立つ つめたくはない 三月の淡い陽差しにあらわれた私の影をみる 腕から指先にかけて それは曖昧になり 臍から下は、ほどけ拡がっている しかし消えてしま…

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1か月前
7

文学部で学ぶということ

少し前にX(旧Twitter)で、「大学で文学部に入る意味」や「文学部を出て得すること」などの話題を目にした。私自身も文学部卒だし、4月からは大学院で文学研究をする身…

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1か月前
24

こたえあわせ

3年付き合った恋人と別れて、1年とちょっとが過ぎた。 あれだけ毎日連絡を取り合ったり、色んなところに行ったりしていたのに、 別れてからはお互いスッパリと連絡を絶っ…

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2か月前
12

(大体)3年ぶりの自己紹介

初めての投稿をしてから、大体3年経った。 今読み返してみると、こそばゆい部分もあるし、「この時自分はこんな状況だったのか」と懐かしく思うところもある。 色々あった…

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2か月前
10

遠藤周作『沈黙』⑷

(⑷まで来てしまった。多分これで最後。) Ⅸ。ロドリゴ、改め岡田三右衛門は、長崎の で二度目(もしかしたらそれ以上)の盆を迎える。 自分が踏絵を踏んだことを、「…

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2か月前
4

遠藤周作『沈黙』⑶

Ⅵ。ロドリゴは遂に、数々の宣教師を背教させてきたという、老獪な井上筑後守と対面する。胸中の全く見通せない、隙のない人物像から、まるで読者である自分が取調べを受け…

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2か月前
3

遠藤周作『沈黙』⑵

モキチとイチゾウは殉教を果たし、二度と苦痛を感じない世界へと昇天して行った。 踏絵を踏めなかった二人により、トモギ村は役人によるキリシタン一掃、山狩りを免れなく…

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2か月前
2

遠藤周作『沈黙』⑴

鎖国の只中にある日本で、ポルトガルから志を抱いてやってきた司祭、セバスチャン・ロドリゴを主人公とした、背教への葛藤の物語。「神の沈黙」という、キリスト教信者にと…

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2か月前
6

詩:灯

何もない。 ただ白い壁だけが目の前にあった。 蛍光灯の光が上から差し、 人の眼にはとらえきれないストロボが網膜を焼く。 君は不甲斐なさに灯を消した。 右手で紐を引っ…

徒歩
2か月前
4

お母さん。私を受け止め、励まし、寄り添ってくれてありがとう。

お父さん。一緒にくだらないことでバカ笑いしたり、時には本気で怒ってくれたりしてありがとう。

両親よ。私の味方でいてくれてありがとう。世界中の誰よりも、私は貴方達ふたりを尊敬しています。

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2か月前
1

詩:触媒

彼女の手は記憶を溶かす 地質年代を飛びこえ かき混ぜ 新たな現在を生み出す そこに”あった”ものは 浮遊し 揺蕩い 別な姿へと羽化し始める

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3か月前

詩:〇

セレンディピティのような絵だ、それは。 暖色のあわい、 そこにかすかに 誰かのかたち。 ああ、そして まさかこんなところに まろくてちいさな天使がいるとは。 わた…

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3か月前
2

詩:捨象

目には見えない水が流れ 色のない風が吹き 君や 私の足元の草花が揺れる 遠く横一線に引かれた 水平線におそらくは 小さな船 もしくは 島が浮かんでいる 景色は時々深…

徒歩
3か月前
10
2024年は

2024年は

・研究会やセミナーに積極的に参加する

・納得のいく論文・レポートを書く

・語学の勉強を続ける

・趣味だった写真を再開する

・友達に詩を贈る

・創作したものを形にする(ZINEとかフリーペーパーとか)

・国内外問わず名作映画・小説を知る、鑑賞する

・薬の量が今より減りますように…(願望)

・両親にたくさん感謝する

・自分の中の”理想の24歳”像に近づけるようにする

これをちょこち

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地元である京都

地元である京都

次に書いたものは、最近私が思ったことだが、ひょっとすると考えが変わることもあるかもしれない。流動的なものである。

――――――――――――――――――

京都に帰って来て、”ああ、ここが私の地元だ”と思った。

山形にいる間、静かで落ち着いていて、自然を身近に感じられたのに、私はここに帰って来てうれしかった。

人が、ボコボコとまるで沸騰する鍋の中みたく、次から次へと沸き出してくるような
消費社

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行き交う人々

行き交う人々

時と場所を選ばず、しょっちゅう考えてしまうことがある。

「今ここにいる人たちは何を考えているんだろう」
「これからどこに行くんだろう」
「何を大事にして生きているんだろう」

例えば、バスが来るのを待っている誰か。馴染みの喫茶店に居合わせた誰か。ただ道ですれ違った誰か。
他人から見られるのは気分が良くないだろうと思いながら、気取られないように、周りの人の服装や視線、姿勢などを見てしまう。

――

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詩:水温

詩:水温

澄んだ湖沼に立つ
つめたくはない

三月の淡い陽差しにあらわれた私の影をみる

腕から指先にかけて
それは曖昧になり
臍から下は、ほどけ拡がっている

しかし消えてしまうことはないだろう
私という存在を刹那ごとに
焼き写し、証明してくれる

あなたの瞳が
春に連れさらわれてしまわぬ限り

文学部で学ぶということ

文学部で学ぶということ

少し前にX(旧Twitter)で、「大学で文学部に入る意味」や「文学部を出て得すること」などの話題を目にした。私自身も文学部卒だし、4月からは大学院で文学研究をする身でもあるから、これらの話題にはとても敏感になった。

文学部は就職に不利だ。こういうことを言う人を学部生の時も卒業した今もたまに目にする。
就職で不利になるかなんて、それは当人の力量次第だし、大学は学びの場であって就職準備のためにある

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こたえあわせ

こたえあわせ

3年付き合った恋人と別れて、1年とちょっとが過ぎた。
あれだけ毎日連絡を取り合ったり、色んなところに行ったりしていたのに、
別れてからはお互いスッパリと連絡を絶った。とても清々しい別れ方だったと思う。

元恋人と付き合っていた頃の私は、依存体質で、彼が友人(特に女性の)と連絡を取っていると、あからさまに不機嫌になったりするような幼稚な人間だった。そして、その不機嫌を察してもらいたがる、この上なく面

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(大体)3年ぶりの自己紹介

(大体)3年ぶりの自己紹介

初めての投稿をしてから、大体3年経った。
今読み返してみると、こそばゆい部分もあるし、「この時自分はこんな状況だったのか」と懐かしく思うところもある。
色々あったな、嬉しいことも悲しいことも。
変化したところもあるので、改めて自己紹介をしてみる。

北上徒歩はペンネーム。まだしたことはないけど、本名じゃない名前で応募可能な公募の時は、この名前を使いたい。

好きな物は、もっぱら近代文学。あまり現代

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遠藤周作『沈黙』⑷

(⑷まで来てしまった。多分これで最後。)

Ⅸ。ロドリゴ、改め岡田三右衛門は、長崎の で二度目(もしかしたらそれ以上)の盆を迎える。
自分が踏絵を踏んだことを、「穴吊りを受けている百姓たちの呻き声」を聞くのに耐えられなかったからなのか、己の背教により百姓たちを助けられると考えたからなのかと自問する。

ロドリゴは踏絵を踏むその時に、キリスト教の主が自分に情けをかけてくれているのだと思った。己がずっ

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遠藤周作『沈黙』⑶

Ⅵ。ロドリゴは遂に、数々の宣教師を背教させてきたという、老獪な井上筑後守と対面する。胸中の全く見通せない、隙のない人物像から、まるで読者である自分が取調べを受けているような、言い様のない緊張を感じた。
しかしながら、井上筑後守はロドリゴに即刻絵を踏ませるわけではなかった。もっと恐ろしいことがロドリゴを待っていた。

ロドリゴと井上筑後守の改まった対面ののち、私が泣きに泣いた場面の一つである、次のや

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遠藤周作『沈黙』⑵

モキチとイチゾウは殉教を果たし、二度と苦痛を感じない世界へと昇天して行った。
踏絵を踏めなかった二人により、トモギ村は役人によるキリシタン一掃、山狩りを免れなくなった。ロドリゴとガルペはそこを立ち退かざるを得ない。しかし、布教自体を諦めたわけではなかった。二手に分かれ、司祭としての義務を果たすために、彼らは別々の場所へと身を移すことにしたのである。

ロドリゴがガルペと分かれてからが、本作のテーマ

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遠藤周作『沈黙』⑴

遠藤周作『沈黙』⑴

鎖国の只中にある日本で、ポルトガルから志を抱いてやってきた司祭、セバスチャン・ロドリゴを主人公とした、背教への葛藤の物語。「神の沈黙」という、キリスト教信者にとっては核心にふれるテーマである。

物語は、”報告”というかたちの「まえがき」で幕を開ける。舞台となる時代の背景を描写し、読者をまず引込むはたらきがある。報告の体をとってはいるが、キリスト教信者や宣教師らに対する拷問の様子は、かわいた文面な

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詩:灯

詩:灯

何もない。
ただ白い壁だけが目の前にあった。
蛍光灯の光が上から差し、
人の眼にはとらえきれないストロボが網膜を焼く。

君は不甲斐なさに灯を消した。
右手で紐を引っ張って。
数度の明滅。
白い部屋は西日に染まり、赤くなった。

床には君と、脱いだばかりの靴の影が落ちている。

お母さん。私を受け止め、励まし、寄り添ってくれてありがとう。

お父さん。一緒にくだらないことでバカ笑いしたり、時には本気で怒ってくれたりしてありがとう。

両親よ。私の味方でいてくれてありがとう。世界中の誰よりも、私は貴方達ふたりを尊敬しています。

詩:触媒

詩:触媒

彼女の手は記憶を溶かす
地質年代を飛びこえ かき混ぜ
新たな現在を生み出す

そこに”あった”ものは
浮遊し 揺蕩い

別な姿へと羽化し始める

詩:〇

詩:〇

セレンディピティのような絵だ、それは。

暖色のあわい、
そこにかすかに 誰かのかたち。

ああ、そして
まさかこんなところに
まろくてちいさな天使がいるとは。

わたしを呼んだのは きみだったのか?

詩:捨象

詩:捨象

目には見えない水が流れ
色のない風が吹き
君や 私の足元の草花が揺れる

遠く横一線に引かれた
水平線におそらくは
小さな船 もしくは 島が浮かんでいる

景色は時々深呼吸をして、
海を呼び止めたり 森を送り出したりする

透明な弧の集まり
絶え間なく、生成は続けられていく