水瀬神奈

見つけて頂き感謝申し上げます。多くの共感より「誰か」の心に刺さればいいなと強い想いを込…

水瀬神奈

見つけて頂き感謝申し上げます。多くの共感より「誰か」の心に刺さればいいなと強い想いを込めて書いています。思考や感情のフィルターを通して見た独自の世界を表現しています。 〜完結作品〜 絶望缶と希望缶 不倫治療外来 墓垢 judgement 特攻~傾く太陽~ 短編集

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記事一覧

正常な骨

幸せな家庭に育った。 裕福とまではいかないが何不自由なく暮らせた。 生まれてきたのがわたしで父も母もとても喜んでくれた。とくに父は男の子が良かったが、女の子も可愛…

水瀬神奈
8日前
17

歪な骨

子供の頃に父が語っていた芥川龍之介の「地獄変」

300
水瀬神奈
9日前
10

禁断の毒苺

200
水瀬神奈
11日前
17

レアルモアナ(魂解放屋古物商)

とある町の不思議な古物商の物語です 静かな田舎町に、レアルモアナ•ラキシスという不思議な名の小さな店があった。店主の老人は、毎日決まった時間にだけ店を開けるが、…

300
水瀬神奈
12日前
12

尾行

今年はまだ蝉の声を聴かない。もう八月も半ばだ。田舎よりは煩くないが、昨年はもっと鳴いていた記憶がある。 あの生命力が強そうな蝉が地中から出てくる元気すら湧かない…

水瀬神奈
13日前
21

永遠のループ説

僕の連れが死んだ。 染まりゆく薄紫の朝焼けの中路上で死んだ。 それを知った時刻は夜7時。見覚えのない電話番号が鳴り、出ると連れの母親からだった。 北海道の冬は凍死で…

300
水瀬神奈
1年前
24

MrALDH

「お電話ありがとうございます。かぐら亭でございます。」 「すいません。二週間先の月初一日(げっしょいっぴ)に4名で予約を取りたいんですけど。」 「申し訳ございませ…

水瀬神奈
1年前
25

スマホ葬儀

長年連れ添った相棒を亡くした。7年も一緒にいたのに。

100
水瀬神奈
1年前
51

スペアヘッド

1.乾いた音の正体 真夜中に電話が鳴った。友達がいない自分の電話の向こう側はだいたい把握している。我空だ。面倒だが出た。 「俺だよ。今何してんの。」 「何してんの…

500
水瀬神奈
1年前
54

ラーメンと静寂

静寂に飢えた俺は街に飛び出した。自宅に篭りっきりで洗面台の水滴の音と冷蔵庫のモーターの音を聴きながら長編の小説なんかを書いていると発狂していつか虎になりそうな気…

水瀬神奈
1年前
58

廃屋敷と歩く椅子

同じ夢を繰り返し見る。古びた洋館の中に俺はいた。声だけが部屋に響く。いない。いない。いない。そう呟くのは人ではなく椅子だった。 椅子が四本足で歩きながら廃墟で帰…

1,000
水瀬神奈
1年前
146

絶望缶と希望缶(絶望編)

1.不思議な自動販売機 ホットコーヒーを買おうと100円で買える自販機を探す。最近はコンビニの缶コーヒーも高いからな。そう思いながら俺は寒空のもとを歩いて100円自販機…

500
水瀬神奈
1年前
54

judgement

俺。名前は宇宙人(そらと) 年齢はわからない。 性別は多分男であるだろうと思っているので俺という一人称を使って語っている。誰に?って言われても特定はできない。とい…

300
水瀬神奈
1年前
101

夢の中の女学生

100
水瀬神奈
1年前
77

砥石

玲於奈の毎朝は痛みで始まる。眠る時以外は全身、特に頭の中心部が切られるように痛む。1日に一回は号泣して、それが1時間に一回になり、今はもう10分ごとになって床には池…

100
水瀬神奈
1年前
50

無か宥か

500
水瀬神奈
1年前
57
正常な骨

正常な骨

幸せな家庭に育った。
裕福とまではいかないが何不自由なく暮らせた。
生まれてきたのがわたしで父も母もとても喜んでくれた。とくに父は男の子が良かったが、女の子も可愛いものだなあ、とデレデレになりながら職場や近所や親戚に自慢して回ったそうだ。父は教師をしていたが自分の子供には超絶に甘々だった。両親、とくに父の溺愛ぶりは半端なかった。小さい頃からおもちゃや絵本をたくさん与えて絵を描かせたら天才だと褒めた

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レアルモアナ(魂解放屋古物商)

レアルモアナ(魂解放屋古物商)

とある町の不思議な古物商の物語です

静かな田舎町に、レアルモアナ•ラキシスという不思議な名の小さな店があった。店主の老人は、毎日決まった時間にだけ店を開けるが、その時間は誰も知らない。

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尾行

尾行

今年はまだ蝉の声を聴かない。もう八月も半ばだ。田舎よりは煩くないが、昨年はもっと鳴いていた記憶がある。
あの生命力が強そうな蝉が地中から出てくる元気すら湧かないほどの暑さなのだろうか。
それなら僕の異常なくらいの体調の悪さにも言い訳ができそうだ。
仕事を在宅ワークに切り替えてから思いもかけない病気になったので勤務時間を大幅に短縮して自宅療養をしながら短時間労働をしている。幸い病気といっても命に別状

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永遠のループ説

永遠のループ説

僕の連れが死んだ。
染まりゆく薄紫の朝焼けの中路上で死んだ。
それを知った時刻は夜7時。見覚えのない電話番号が鳴り、出ると連れの母親からだった。
北海道の冬は凍死できるほど寒い。アルコールを浴びるように飲んで雪の中、酒の瓶を手にしたまま彼は冷たくなっていた。それを始発電車に乗ろうとした出勤途中の若い女性が発見したそうだ。
僕の幼なじみだった岸間裕也君という青年は25年の歴史を閉じて忽然と魂を肉体か

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MrALDH

MrALDH

「お電話ありがとうございます。かぐら亭でございます。」
「すいません。二週間先の月初一日(げっしょいっぴ)に4名で予約を取りたいんですけど。」
「申し訳ございません。その日は予約でいっぱいでして。」
はぁ…しかたがない。顧客の第一希望はこれで消えたな。第二希望に電話をかけてみるか。
俺の名は匠純也(たくみじゅんや)。営業先のお客さんを接待するための飲食店に予約の電話を仕事の合間にかけているところだ

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スマホ葬儀

スマホ葬儀

長年連れ添った相棒を亡くした。7年も一緒にいたのに。

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スペアヘッド

スペアヘッド


1.乾いた音の正体

真夜中に電話が鳴った。友達がいない自分の電話の向こう側はだいたい把握している。我空だ。面倒だが出た。
「俺だよ。今何してんの。」
「何してんのじゃねーよ。何時だと思ってんだよ。」
半分眠りかけていたのもあってオレは少し語調を荒げた。その時何か引き摺る音に気がついた。
カラカラカラカラ
「我空?」
カラカラカラ…カラ…
「ああ、今1人やっつけてきたんだよ。」
金属バットを引き

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ラーメンと静寂

ラーメンと静寂

静寂に飢えた俺は街に飛び出した。自宅に篭りっきりで洗面台の水滴の音と冷蔵庫のモーターの音を聴きながら長編の小説なんかを書いていると発狂していつか虎になりそうな気がする。
腹の音が激しく生きている証明を訴えるので、丸一日何も食べていなかった俺はラーメン屋の暖簾(のれん)を押して中に入りテーブルについた。
そこで異様な光景を目にした。
男がひとり号泣しながら丼ぶりに喰らい付いている。
額(ひたい)には

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廃屋敷と歩く椅子

廃屋敷と歩く椅子

同じ夢を繰り返し見る。古びた洋館の中に俺はいた。声だけが部屋に響く。いない。いない。いない。そう呟くのは人ではなく椅子だった。
椅子が四本足で歩きながら廃墟で帰らぬ主人を待ち続けていた。

1.プロローグ

廃墟が大好きだ。
あの時が止まったような置き去りにされたままの、建物の残骸。佇まいが訴えてくる、退廃的な魅力が僕の心を捉えて離さない。
心霊とか恐怖を煽ったりして視聴率狙いでホラーテイストにし

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絶望缶と希望缶(絶望編)

絶望缶と希望缶(絶望編)

1.不思議な自動販売機

ホットコーヒーを買おうと100円で買える自販機を探す。最近はコンビニの缶コーヒーも高いからな。そう思いながら俺は寒空のもとを歩いて100円自販機を探していた。嫌な出来事があって苛々が募っていた。こんな時に限って見つからない。ふと見ると目の前に自販機が現れた。紫色の自動販売機で、全面の目立つ所に「お店の主人が趣味でやっている100円占い缶」という素人くさいコピーが書かれてい

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judgement

judgement

俺。名前は宇宙人(そらと)
年齢はわからない。
性別は多分男であるだろうと思っているので俺という一人称を使って語っている。誰に?って言われても特定はできない。というよりわからない。
今はっきり認識できていることは、神殿の敷地内にいるってことと、多分この世ではなくて、夢の世界か向こう側かまたは別の次元にいるのだということだ。
どこもかしこも白く光り輝いていて、音もなく寒くもなく暑くもない。
安らかで

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砥石

砥石

玲於奈の毎朝は痛みで始まる。眠る時以外は全身、特に頭の中心部が切られるように痛む。1日に一回は号泣して、それが1時間に一回になり、今はもう10分ごとになって床には池が出来てしまった。

痛い!耳が痛い!

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