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日々の思いを書き留める

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日常生活からの気づきをエッセイとして記します。週2回更新。
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#コラム

感じたままを口にする

感じたままを口にする

「深い香りがして、すごいスパイシーなのに後から優しい甘さを感じる」

これは、今日わたしが口にしたワインの感想だ。

堂々と感想を言うことって、
人によってはものすごくハードルが高い。

わたしはもれなくそのタイプだ。

自分の専門分野ならともかく、
食べ物や飲み物、ワインなんて特に"語られがち"なものだからこそ、ちょっと身構えてしまう。

誰の目の前でそれを言うか、
自分と相手の経験値や知識

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幸福感の作り方

幸福感の作り方

保証された幸福感を得たいと望むなら、
ひとりでいる時に限る。

理由は簡単で、
誰にも邪魔されないからと、
誰の許可もいらないから。

今日は、最近で一番幸せな日かもしれない。
会おうかと思った人ともスケジュールが合わず、迫った締め切りもないので「午後から休み」と決めた。

日本には小学校という素晴らしい義務教育があるので、子供たちは朝からいない。
自分用のお洒落着だけを洗濯して、干す。
キッチン

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ひとつの愛

ひとつの愛

家族みんなが寝静まった深夜、
わたしはある人のことを考えていた。

ふと湧いてきた罪悪感と対峙して、
「あなたを愛している人のことを忘れなければ何をしてもいい」
という言葉が浮かび、心が軽くなった瞬間
その人からメールがきた。

素直に喜んで、顔を存分に使ってニコニコしてみた。
そうだった。好きだと思う気持ちに制限はなかったんだとまた気付く。

大切にしたい人はひとりだけという決まりもないし、家族

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誰かのためなら大胆になれる

誰かのためなら大胆になれる

住宅街を走る小さなコミュニティバスで帰宅中のこと。

停車ボタンが押されたバス停で、降りるはずの人が降りられていない。
その人は、手すりと座席に大きくもたれかかってしまっている。
本人さえも自分の状況が分かっていないようで、運転手さんから「大丈夫ですか?」と聞かれて、はっとした表情をしていた。
年齢は、若く見える70代女性かなと予想した。

その人は、なんとかバスを降りたが、その場に座り込んでしま

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生存確認こそ、愛。

生存確認こそ、愛。

残業のため帰りが遅くなっているわたしに、
小学4年生の息子から電話があった。

「もしもし?元気?」

何言ってるの?と一瞬思ったけれど、
お母さんが元気かどうかは、子どもにとって重要なのだ。
どこかで倒れてたら大変!
死んじゃったら大変!

息子は特に心配している感じでも切羽詰まった様子でもなかったけれど、
ただ「元気?」と聞かれたのが、
わたしにとっては嬉しかった。

もし、逆の立場だったら

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人生を変えた100円

人生を変えた100円

たかが100円で買ったマクロレンズにここまで人生観を変えられるなんて想像もしなかった。

今わたしが魂の奥深くからときめくのは
「自然の細部」だけなのです。

もう、その細部の美しさや繊細さや大胆さ、アイデアやバランスは神秘としか言いようがない。
胸がキュンとなってしまうんです。
まさに、トキメキ。
いつもは客観性しか持っていないわたしが、
こんなに近づいて何かを見つめていることが不思議です。

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人前式の「誓いの言葉」

人前式の「誓いの言葉」

わたしは、ブライダルMCもやっているので数々の結婚式を見ています。
挙式から披露宴という流れが一般的。

挙式の種類には、神前式、キリスト教式、人前式、そして少ないけれど仏前式もあります。

その中で、司会者が進行をするのが「人前式」です。最近は割と多いので、参列したことのある人も多いのでは?

人前式は、
誓いの言葉、指輪の交換、結婚証明書へ署名、披露して承認、というのが軸になっており、そこへ色

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異物との向き合い方

異物との向き合い方

昨年、息子の顔にウイルス性のイボができた。
皮膚科での液体窒素での治療は痛みや回数もかかるので、まめに連れていくことが苦手なわたしは美容皮膚科のドアを叩いた。

そこでは、イボクリームなるものを子供には推奨しており、皮膚を溶かしながら治していくというものだった。

イボというのは、免疫力が上がると突然に治ったりするものなので、それのおかげかは確信していないけれど、息子のイボはキレイに治った。

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子どもが私を自由にする

子どもが私を自由にする

幼い頃の私は、友人関係で毎日憂鬱になっていた。しかも、親に相談するという発想を持てない子供だった。

どうしてあんなに悩んでいたのか分からないけれど、ひとつだけ言えるのは「世界が狭かった」ということ。
狭いという自覚もなかったし、そんな視点さえ持っていなかった。

もしかしたら、親はそんな様なことを伝えてくれていたのかもしれないけれど、
「世界は広い」なんて体感しないと分からない。

その後も、抜

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雪の日の母の杞憂

雪の日の母の杞憂

2018/1/22 大雪の午後

雪がますます降り積もる中、
学校から子供たちが帰ってくるのを待たずに仕事へ向かう。
この少し不安な気持ちは、彼らが何歳になるまで続くのだろう。

少し感傷的な今日。

たった10分の道のりを、転ばずに帰ってこられるかな。
娘はおっちょこちょいだから。
走ったら危ないことは思い出すかな。
「雪合戦したい!」なんてお兄ちゃんは言ってたけど。

前が見え

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公園で食べるチョコレート

公園で食べるチョコレート

7歳の娘は、あまりお出掛けが好きではありません。

今日のように、普段は土日も仕事の私がたまに休みだと、可愛いカフェで一緒にお茶でもしたいなぁと思うのだけれど、たいてい「家にいる」と言います。

今日の午後も、息子がサッカーで数時間いないので、出かけようかな…と考えていたけれど、娘はやはり家で過ごしたい様子。

私も割り切って、普段できない家の片付けをしたり、仕事のメールの返信をしたり、それぞれ自

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伝える

伝える

「好きなものを好きと言えない」
「好きなものが分からない」
という訳ではない。

好きだということを、
外に出すのがこわいだけ。

誰かに伝えることで、
音となり文字となることで、
わたしが感じたものではなくなるから。

(黙ったまま分かり合えたら
黙ったまま伝わったら)

遠い昔、
言葉を持たなかった私は
この世界では、臆病で欲張り。

どこまで行っても、言葉には敵わない。
戦うつもりはない

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リメンバーミーと猫の死に場所

リメンバーミーと猫の死に場所

夫と息子が、映画「リメンバーミー」を観に行き帰ってきたら、家の前に猫がうずくまっていた。よくよく見ると老猫で、ほとんど死にかけているようだった。
食べ物を目の前に差し出しても反応しない。

保健所に電話しようとする祖母を止め、夫と息子はその猫を抱え、坂の下のお寺の近くにある林まで歩いていった。そして、その奥にそっと置いた。
すると、安心したかのように目を閉じたらしい。

リメンバーミーは死者の世界

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「聴くことは、愛すること。」

「聴くことは、愛すること。」

いちばん「わたし」を感じるのは、誰かの話を聴いている時です。私という人間がこの世界に生まれて、
食べたり笑ったり考えたりしていることが
"不思議"と感じる瞬間が多くなりました。
「わたし」なんてものは、ちょっとしたことでいつでも消えてしまうものだと勘付いているからだと思います。

この感覚が強くなるにつれて、
何を使って「わたし」を証明するか?
そのことに注意深くなりました。

どうやらわたしは、

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