見出し画像

生存確認こそ、愛。

残業のため帰りが遅くなっているわたしに、
小学4年生の息子から電話があった。

「もしもし?元気?」

何言ってるの?と一瞬思ったけれど、
お母さんが元気かどうかは、子どもにとって重要なのだ。
どこかで倒れてたら大変!
死んじゃったら大変!

息子は特に心配している感じでも切羽詰まった様子でもなかったけれど、
ただ「元気?」と聞かれたのが、
わたしにとっては嬉しかった。

もし、逆の立場だったら
「もしもし今どこ?なんでこんなに遅いの?」
「こっちが心配する前に電話してよ!」
と、詰め寄ってしまいそう。

わたしたちは、近くにいるとついつい余計なことまで求めてしまう。

しかし、
遠く離れた年老いた親に、
何年も会っていないかつての恋人に、
外国で暮らす会えない友人に、
そして、いつか巣立った子どもたちに、
思うことはひとつ「生きてる?」ということ。

「元気?」にも「生きてる?」というニュアンスが含まれているよね。
正確には生きていることが分かった後の、もう一つ上の確認だ。
別に、元気じゃなくてもいい。
生きてればいい。
そういう視点を持つと、力強い愛が湧き出てくる。

生存確認こそ、愛なのだ。

とはいえ、
わたしは父を早く亡くしているので、
生きてることがすべてだとは思わない。
死んでしまっても、心に思い浮かべれば
それはじゅうぶんに生存確認だ。

ただし、せっかく生きているなら、
声と言葉を使って伝えるべきだと思う。

そんな訳で、
息子の大きな愛を感じたことで元気が出た。

たぶん、周りの家庭に比べると
我が家は子どもにかけている時間は少ない。
でも、お互いお腹いっぱいになりすぎない
程よい距離があるからこそ、
生きてるだけで、ありがとう。
そう素直に思えているのかもしれない。

よし、やがて来る思春期まで
このことは覚えておこう。

#エッセイ #コラム #育児 #家族 #愛




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?