森潤也|文芸編集者

本に関わるお仕事をしています。 本作りへの想いや、創作にまつわるあれこれなど、本をより…

森潤也|文芸編集者

本に関わるお仕事をしています。 本作りへの想いや、創作にまつわるあれこれなど、本をより楽しめる記事をお届けしていきます。 本好きの人はお気軽にフォローしてください。 発言は個人の見解です。 ※Amazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。

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  • 鍵付き思い出日記

    過去の思い出をつらつらと書いています。鍵付きの日記なので、基本的に有料です。興味ある人だけ読んでくれればいい記事です

  • 酒場の創作論

    「本」に関わる人たちと本音トークを繰り広げるコーナーです。できれば居酒屋で収録したいという願いを込めて……。

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    大きく変わりつつ世界の中で、これからの「紙の本」はどうなっていくのでしょうか。製作部のフジクラさんとともに、考えていくコーナーです。

  • 「これからの本」を考えるために、いろんな人と本の話をします

    迷えるモリが「これからの本」を考えるために、いろんな人と本の話をするコーナーです ※「ポプラ社一般書通信」掲載内容と同じものです

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固定された記事

自己紹介と履歴書(2024/03/05)

はじめまして、森潤也です。 自分自身の振り返りも兼ねて、これまでやってきたお仕事をまとめてみました。 お仕事関係のご依頼やご相談があれば、ページ下部の「クリエイ…

本の感想を書くのが苦手です

本の感想を書くのが苦手です。 編集者なので、作家さんに著作の感想を送ったりしますが、それは仕事ですし。 そうではなく、プライベートで読書の感想を書くのが苦手なの…

編集者として「著者」にはじめて会う。その時かけてもらった言葉に、今も支えられている

僕が編集者としてはじめて手掛けた本は、やなせたかしさんの『わたしが正義について語るなら』。 その本についての想いは、以前に記事を書きました。 『わたしが正義につ…

本の装丁にやたら箔を押したがる編集者が「アルミ蒸着」で特別カバーを作っちゃった話

まずはこの動画を見てくださいな。 (※すいません、動画を直接埋め込めなかったのでXのリンク先で…) すごくないですか、このシルクのような光沢。そしてキラリと銀に輝…

社長と著者を載せた車で事故る(青春びんびん失敗録)

恥の多い人生でした。 社会人になって15年。 やらかしたことを数え上げればキリがありません。まだバレてないやらかしも含めれば星の数です。 よく「しっかりしてそう」…

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編集者の「はじまりの一冊」は、帯コピーが全ボツに終わりました

「そんな帯じゃだめだ。書き直せ!」 それが、はじめて編集した本の思い出です。 ※※※ 誰にも「はじめて」があります。 はじめて学校へ行ったこと。はじめて問題が解け…

本の表紙で透明トレカを作ってみました

Xでこんな投稿を見かけました。 やばい。 めっちゃええやん。 やってみたい。 自分の担当作でこんなん欲しい。 … …… ほな、やってみるか!! そう思い立って、僕も作…

新人賞に応募するときの参考noteふりかえり

6月になると、新人賞の季節がやってきたなあ……と思います。 そうです。ポプラ社小説新人賞の締め切りは6月30日。 毎年この時期になると膨大な原稿がドドドっと届き…

運を持っていること

さだまさしの名曲「無縁坂」にこんな歌詞がありますが、「運」は存在します。 人生だってそうです。親ガチャという言葉は好きではありませんが、生まれ育ちの運はたしかに…

読書が宗教にならないように

本が好きです。 とりわけ「文芸」と呼ばれる小説のジャンルが好きです。 本を読むのは楽しいし、生きる糧になる。学びにもなる。 読書離れと言いますが、少しでも多くの人…

本の装丁にやたら箔を押したがる編集者が「箔押し印刷」への愛を語る話

あえて言いましょう。 箔押しは、正義!! まあ、まずは見てくださいよ、この新刊 クリームソーダや猫の目が緑に光って、めちゃくちゃかわいくないですか? この本は、…

【結果大公開!】タイトルってどうやって付けてますかアンケート

創作物のタイトルを決めるのって、めちゃくちゃ難しいですよね。 小説にマンガ・音楽にゲーム。 何かを産み出すときに必ず必要なもの、それがタイトル。 創作物自体に込め…

自宅にある本のタイトルで「しりとり」をしてみたら、えらく続いてしまった話

GWだし、くだらないことをしたい。 唐突にそう思った僕は、ひらめきました。 そうだ、家にある本で「しりとり」をしよう! なんでしりとりなのかって?  そこに理由なん…

クリエイターのみなさん教えて! タイトルってどうやって付けてますかアンケート(締め切りました)

タイトル決めるのって、めちゃくちゃ難しくないですか? その作品の「顔」であり「象徴」であり「看板」でもあるわけで、最もセンスが問われます。 小説、マンガ、音楽、…

青春びんびん失敗録、怒涛の3連発①

(▲前回記事はこちら) 恥の多い人生でした。 社会人になって15年。 やらかしたことを数え上げればキリがありません。まだバレてないやらかしも含めれば星の数です。 …

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映像化されやすい小説を作るべきなのか

IP化の時代だと言われます。 IPとは「知的財産」を意味するIntellectual Propertyの略で、自社のIPを様々な形で広げていくことがIPビジネスです。 映像化・コミカライズ化…

自己紹介と履歴書(2024/03/05)

自己紹介と履歴書(2024/03/05)

はじめまして、森潤也です。

自分自身の振り返りも兼ねて、これまでやってきたお仕事をまとめてみました。
お仕事関係のご依頼やご相談があれば、ページ下部の「クリエイターへのお問い合わせ」欄よりご連絡ください。
小説(文芸・時代小説・文芸誌)の編集に関する相談、新人賞の運営、小説のコミュニティやサブスク運営、SNSの運用などに関しては経験があります。デジタル広告による本の広げ方なども。
・ファンベース

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本の感想を書くのが苦手です

本の感想を書くのが苦手です

本の感想を書くのが苦手です。

編集者なので、作家さんに著作の感想を送ったりしますが、それは仕事ですし。
そうではなく、プライベートで読書の感想を書くのが苦手なのです。

あくまで個人的な印象ですが、本…とりわけ小説の感想って、「ちゃんと書かないといけない」感があります。
下手なことを書いちゃうと、「こいつわかってない」と思われそうだし、しっかり読み込んできちんとした感想を書かなきゃいけない、みた

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編集者として「著者」にはじめて会う。その時かけてもらった言葉に、今も支えられている

編集者として「著者」にはじめて会う。その時かけてもらった言葉に、今も支えられている

僕が編集者としてはじめて手掛けた本は、やなせたかしさんの『わたしが正義について語るなら』。
その本についての想いは、以前に記事を書きました。

『わたしが正義について語るなら』という本は、既に刊行されていたYAを新書で出しなおす企画なので、ゼロから立ち上げた本ではありません。やなせさんもお亡くなりになっており、著者に企画を打診してゼロから作る、という本ではなかったのです。

僕がはじめて企画を依頼

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本の装丁にやたら箔を押したがる編集者が「アルミ蒸着」で特別カバーを作っちゃった話

本の装丁にやたら箔を押したがる編集者が「アルミ蒸着」で特別カバーを作っちゃった話

まずはこの動画を見てくださいな。
(※すいません、動画を直接埋め込めなかったのでXのリンク先で…)

すごくないですか、このシルクのような光沢。そしてキラリと銀に輝くタイトル。よく見ると全体がもやっとしているようですが、これはモアレではなくカバーにうっすら入っている模様です。この模様が粒のような輝きをまとわせていて、かつ手触り感にもつながっていて、なんていうかもう控えめに言って最高じゃないですかね

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社長と著者を載せた車で事故る(青春びんびん失敗録)

社長と著者を載せた車で事故る(青春びんびん失敗録)

恥の多い人生でした。

社会人になって15年。
やらかしたことを数え上げればキリがありません。まだバレてないやらかしも含めれば星の数です。

よく「しっかりしてそう」と言われるのですが、それは堅物そうなメガネをかけているからです。残念ながらしっかりしてはおらず、いろんなトラブルやミスを起こし、そのたびに謝って生きてきました。本当にすいません。
特に若いころは己の未熟さで迷惑をかけることも多く、今思

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編集者の「はじまりの一冊」は、帯コピーが全ボツに終わりました

編集者の「はじまりの一冊」は、帯コピーが全ボツに終わりました

「そんな帯じゃだめだ。書き直せ!」
それが、はじめて編集した本の思い出です。

※※※

誰にも「はじめて」があります。
はじめて学校へ行ったこと。はじめて問題が解けたこと。はじめて注文をとったこと。はじめて苦手なものが食べられたこと……

創作においても「はじめて」があり、作家さんにデビュー作が存在するように、編集者にも「はじめて編集担当した本」が存在します。

僕は昔から小説……特にエンタメが

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本の表紙で透明トレカを作ってみました

本の表紙で透明トレカを作ってみました

Xでこんな投稿を見かけました。

やばい。
めっちゃええやん。
やってみたい。
自分の担当作でこんなん欲しい。


……
ほな、やってみるか!!

そう思い立って、僕も作ってみることにしました。
ヒマなん?とか言わないでください。ヒマなんです。

※※※

書かれている通り「透明トレカ」で検索してみると、いろいろ出てきました。
オタ活グッズの一つで、アイドルなど推しの写真をトレカにするのだそうな

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新人賞に応募するときの参考noteふりかえり

新人賞に応募するときの参考noteふりかえり

6月になると、新人賞の季節がやってきたなあ……と思います。

そうです。ポプラ社小説新人賞の締め切りは6月30日。
毎年この時期になると膨大な原稿がドドドっと届き、たくさんの期待とちょっぴりのビビりと(下読みがね…大変なんです…)、いろんな想いが胸に押し寄せてくるものでした。

僕はもう編集部から籍が外れているので(本は作ってるけどね)、かかわるのは最終選考のみですが、数年前まで小説新人賞の事務局

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運を持っていること

運を持っていること

さだまさしの名曲「無縁坂」にこんな歌詞がありますが、「運」は存在します。
人生だってそうです。親ガチャという言葉は好きではありませんが、生まれ育ちの運はたしかにあります。体の強さの運や時代の運や選択の運もあります。
昨今の就活市場は超売り手だそうですが、僕は就活の前年にリーマンショックが起きて絶望した記憶しかありません。努力だけではどうにもならないものも、この世には存在するのです。

それは、創作

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読書が宗教にならないように

読書が宗教にならないように

本が好きです。
とりわけ「文芸」と呼ばれる小説のジャンルが好きです。

本を読むのは楽しいし、生きる糧になる。学びにもなる。
読書離れと言いますが、少しでも多くの人に本の面白さを知ってほしいし、もとから本好きの人にはもっと本のことを好きになってほしい。

そう思って、僕も「本っていいよね」といろんなところで発信してきました。
本の魅力を伝える行為は、みんながやればいいと思っています。
出版に関わる

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本の装丁にやたら箔を押したがる編集者が「箔押し印刷」への愛を語る話

本の装丁にやたら箔を押したがる編集者が「箔押し印刷」への愛を語る話

あえて言いましょう。

箔押しは、正義!!

まあ、まずは見てくださいよ、この新刊
クリームソーダや猫の目が緑に光って、めちゃくちゃかわいくないですか?

この本は、発売になったばかりの文庫『夕闇通り商店街 純喫茶またたび』(栗栖ひよ子さん)。
箔押しが使われることで、装丁のデザイン性の高さとおしゃれさが際立っています。この「夕闇通り商店街」シリーズは、文庫にもかかわらずカバーに箔押しを使っていて

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【結果大公開!】タイトルってどうやって付けてますかアンケート

【結果大公開!】タイトルってどうやって付けてますかアンケート

創作物のタイトルを決めるのって、めちゃくちゃ難しいですよね。

小説にマンガ・音楽にゲーム。
何かを産み出すときに必ず必要なもの、それがタイトル。
創作物自体に込めた想いを伝えつつ、受け手にとって魅力的でないといけない。しかも長くなりすぎてもいけない。
創作物を生かすも殺すもタイトル次第と言って過言ではなく、いろんなクリエイターさんが日々悩まれています。

そんなタイトルって、みんなどうやって決め

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自宅にある本のタイトルで「しりとり」をしてみたら、えらく続いてしまった話

自宅にある本のタイトルで「しりとり」をしてみたら、えらく続いてしまった話

GWだし、くだらないことをしたい。
唐突にそう思った僕は、ひらめきました。

そうだ、家にある本で「しりとり」をしよう!

なんでしりとりなのかって? 
そこに理由なんてありません。いろんな現実から全力で逃避し、なんの生産性もない無駄な時間を過ごしたい。それこそが休日ってもんじゃあないですか!

そんなわけでブックしりとりです。
ルールはいたって簡単。

どこまでいけるかわかりませんが、さっそくス

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クリエイターのみなさん教えて! タイトルってどうやって付けてますかアンケート(締め切りました)

クリエイターのみなさん教えて! タイトルってどうやって付けてますかアンケート(締め切りました)

タイトル決めるのって、めちゃくちゃ難しくないですか?

その作品の「顔」であり「象徴」であり「看板」でもあるわけで、最もセンスが問われます。

小説、マンガ、音楽、映像……
すべての創作において一番難しい作業、それは「タイトルを決めること」と言っても過言ではないくらいです。



つい先日も、ある作家さんと打ち合わせをしていた時に「タイトルって難しいですよね」という話になりました。

僕が知る限

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青春びんびん失敗録、怒涛の3連発①

青春びんびん失敗録、怒涛の3連発①

(▲前回記事はこちら)

恥の多い人生でした。

社会人になって15年。
やらかしたことを数え上げればキリがありません。まだバレてないやらかしも含めれば星の数です。

よく「しっかりしてそう」と言われるのですが、それは堅物そうなメガネをかけているからです。残念ながらしっかりしてはおらず、いろんなトラブルやミスを起こし、そのたびに謝って生きてきました。本当にすいません。
特に若いころは己の未熟さで迷

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映像化されやすい小説を作るべきなのか

映像化されやすい小説を作るべきなのか

IP化の時代だと言われます。

IPとは「知的財産」を意味するIntellectual Propertyの略で、自社のIPを様々な形で広げていくことがIPビジネスです。
映像化・コミカライズ化・舞台化などのメディアミックスや、グッズ化することがIPビジネスにあたります。

コミック業界はアニメをうまく使ったIP展開が主流となっていますが、小説においても同様です。
ラノベやライト文芸ならばコミカライ

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