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損得勘定だけじゃない!池上彰氏が教える行動経済学の真髄

書籍名:池上彰の行動経済学入門(働く君に伝えたい「本物の教養」)
著者:池上 彰

今回は、池上彰氏の『池上彰の行動経済学入門(働く君に伝えたい「本物の教養」)』をご紹介します。池上氏といえば、わかりやすい解説で有名なジャーナリストですから、この本でも私たちの日常生活に密接に関わる行動経済学について、池上氏独自の視点で分かり易く解説されています。経済学って難しそう、という先入観がある人でも、きっと楽しく読み進められるはずです。

行動経済学とは?

行動経済学って、聞き慣れない言葉かもしれませんが、私たちの日常生活に深く関わっていて簡単に言うと、人間の経済的な意思決定について、心理学的な観点から研究する学問分野なんですね。従来の経済学では、人間は合理的に行動すると仮定されていましたが、実際には感情に流されたり、直感で判断したりすることも多いんですよね。行動経済学では、そうした人間の非合理的な行動についても研究の対象としていて池上氏は、身近な例を交えながら、わかりやすく行動経済学の概要を説明してくれています。

損失回避の傾向

私たちは、得をすることよりも、損をすることを避けようとする傾向が強いんだそうです。これを、行動経済学では「損失回避の傾向」と呼んでいて、例えば1,000円得をすることよりも、1,000円損をすることを避けようとする心理が働くんですね。この傾向が強いと、リスクを取ることを避けて、保守的な判断をしがちになり、時にはリスクを取ることも必要だと池上氏は指摘しています。損失回避の傾向に気づいて、バランスの取れた判断ができるようになることが大切だと教えてくれています。

ヒューリスティックス

私たちは、複雑な問題に直面したとき、簡単な判断基準で決めてしまうことがありますが、行動経済学では「ヒューリスティックス」と呼んでいます。例えば、「値段が高いものは品質も良い」と考えて、高い商品を選ぶ人がいますよね。でも、実際にはそうとは限りません。池上氏は、ヒューリスティックスに頼りすぎないように注意しつつも、うまく活用することも大切だと述べています。簡単な判断基準に頼ることで、素早く意思決定ができるというメリットもあるんですね。

心的会計

私たちは、お金の使い方について、無意識のうちに「心的会計」をしているんだそうです。例えば、「食費」「交際費」「貯金」などの項目に分けて、お金を管理していますよね。でも、実際にはすべてのお金は等価値なので、項目に分ける必要はないんです。池上氏は、心的会計に縛られすぎないように注意しつつも、適度に活用することも大切だと述べています。自分なりのルールを作ることで、計画的にお金を使えるようになるんですね。

フレーミング効果

同じ情報でも、伝え方によって受け取り方が変わることがあります。これを、行動経済学では「フレーミング効果」と呼んでいます。例えば、「半分の確率で1,000円得をする」と「半分の確率で1,000円損をする」では、同じ内容なのに、受け取り方が変わりますよね。池上氏は、フレーミング効果を意識することで、相手に効果的に情報を伝えられると述べています。同時に、自分がフレーミング効果に影響されていないか、注意することも大切だと指摘しています。

選択のパラドックス

選択肢が多すぎると、かえって選びにくくなることがあります。これを、行動経済学では「選択のパラドックス」と呼んでいて、例えば、レストランのメニューが多すぎると、何を注文していいかわからなくなりますよね。池上氏は、選択肢を絞ることで、かえって満足度が上がることがあると述べています。多くの選択肢の中から最適なものを選ぶのは、意外と大変なんですね。時には、選択肢を限定することも大切だと教えてくれています。

社会的規範

私たちは、周りの人の行動に影響されやすい傾向があると思いますが、これを、行動経済学では「社会的規範」と呼んでいます。例えば、周りの人が節電をしていると、自分も節電をしようと思うようになりますよね。池上氏は、社会的規範を意識することで、人々の行動を変えられると述べていて同時に、自分が社会的規範に流されていないか、注意することも大切だと指摘しています。周りに流されすぎないように、自分の価値観に基づいて行動することが大切なんですね。

自制心とは?

目先の誘惑に負けてしまうことがあると思いますが、これは「自制心」が足りないからだと言われています。ダイエット中なのに、ついついお菓子を食べてしまうことがありますよね。池上氏は、自制心を鍛えることの大切さを述べつつ、自制心だけに頼るのは難しいとも指摘しています。自分なりのルールを作ったり、環境を整えたりすることで、自制心をサポートすることが大切だと教えてくれています。

行動経済学の応用

行動経済学の知見は、ビジネスや政策にも応用されています。例えば、販売戦略やマーケティングに活用されることがあります。池上氏は、行動経済学の応用事例をいくつか紹介しつつ、倫理的な問題にも触れていて、行動経済学の知見を悪用することもできてしまうので、注意が必要だと述べています。同時に、行動経済学の知見を活用することで、より良い社会を作ることができると、池上氏は主張しています。

行動経済学の限界

行動経済学は、人間の行動を理解するための有用な学問ですが、限界もあり、文化や価値観の違いによって、人々の行動は変わってくるので、一般化することが難しいんですね。池上氏は、行動経済学の限界を認識しつつ、柔軟に活用することが大切だと述べています。行動経済学の知見は、あくまでも参考程度に捉えて、状況に応じて使い分けることが大切なんです。

まとめ

池上彰氏の『池上彰の行動経済学入門(働く君に伝えたい「本物の教養」)』は、行動経済学という聞き慣れない学問が、私たちの日常生活に深く関わっていることがわかりましたね。損失回避の傾向やヒューリスティックスなど、私たちの意思決定に影響を与える心理的な要因について、池上氏はわかりやすく解説してくれています。そして、行動経済学の知見を活用することで、より良い意思決定ができるようになると述べています。同時に、行動経済学の限界についても触れつつ、柔軟に活用することの大切さを指摘しています。この本を読んで、行動経済学について理解を深めるとともに、自分の意思決定を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。きっと、新たな発見があるはずです。

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