緒 真坂 itoguchi masaka

新刊は「通り雨のように/ミッキーの薬屋」他全13冊。NIIKEI文学賞ライトノベル部門…

緒 真坂 itoguchi masaka

新刊は「通り雨のように/ミッキーの薬屋」他全13冊。NIIKEI文学賞ライトノベル部門審査員特別賞。USEN朗読文学大賞奨励賞受賞。ネットでは、amazon、めがね書林。リアルでは、中野ブロードウェイ3F、タコシェ。渋谷ヒカリエ8F、〇〇書店にてめがね書林にて販売。

記事一覧

「初めて会うのが病院とはね」

〇月〇日    部屋で、スイングジャズのCDを聴いていた。その楽団の名前を知っているかと思い、 「ジャズで、デュークが付くのは?」  と妻くんに聞いてみた。 「デュー…

通勤時、羊文学のアルバムをずっと聴いている

〇月〇日  渋谷○○書店、めがね書林の棚で、自分(緒真坂)の本と古本を売っている。古本は自分(含妻くん)が買った本だ。  めがね書林の棚で、1年間ずっと売れない古…

私は釘崎野薔薇のファンだ(「呪術廻戦」のネタバレあり)

〇月〇日  「少年ジャンプ」誌上で連載している「呪術廻戦」の最終回が近い。「ジャンプ」は読んでいない。コミックスを買って読んでいる。アニメは、もちろんすべて観て…

レコード屋でかかっていると、すごくよく聞こえて、アルバム名を調べて、実際にCDを買って家で再生してみると、何というのだろう…

〇月〇日  レコード屋でかかっていると、すごくよく聞こえて、アルバム名を調べて、実際にCDを買って家で再生してみると、何というのだろう、空気感が微妙に違って、あれ…

ここ数年、思うのだが、新刊本については、ブックオフより、古書店のほうが安いのではないか

〇月〇日 「葬送のフリーレン」のフランメの中の人、田中敦子さんが逝ってしまった。合掌。  写真は「葬送のフリーレン」第1期のオープニングテーマ、YOASOBI「勇者」…

85年と91年のころの「私という存在」を思い出させる

 KOKAMI@network公演「朝日のような夕日をつれて2024」を観た(@紀伊国屋ホール)  本当に、久しぶりに紀伊国屋ホールに入った。前回がいつだったか、思い出せない…

妻くんの好きな洋楽は…、とあれこれ考えているうちに、妻くんの誕生日は過ぎた

〇月〇日  時間に余裕があるとき、ピーター・バラカンのラジオ「バラカンビート」を聴いている。  その番組は、近日開催のおすすめライヴ、イベント、音楽映画の情報な…

「石の上に乗って、甲羅干しをしていた」と言うこともある

〇月〇日  近所に、赤い盥を玄関の前に置いて、大きな亀と魚を飼っている家がある。  妻くんは通るたびに覗き込んで、 「亀、いた」  とうれしそうに私に報告する。 「…

百年に一度貸出される本

〇月〇日 「111年目の中原淳一展」に行ってきた(@松濤美術館)。中原淳一は、私にとって「それいゆ」の人。  中原淳一は、イラストレイターだけじゃなく、画家、編集者…

私が観ているのは、宮藤官九郎脚本「新宿野戦病院」で、いや~、毎回本当に面白いよ、と返事を返した

〇月〇日  友だちからNHK大河ドラマ「光る君へ」がすごく面白いとメールがきた。残念ながら、私は「光る君へ」は観ていない。私が観ているのは、宮藤官九郎脚本「新宿野…

8月10日(土)、渋谷ヒカリエ8F、渋谷○○書店にて、12時~15時までめがね書林が店番をします

〇月〇日  8月10日(土)、渋谷ヒカリエ8F、渋谷○○書店にて、12時~15時までめがね書林が店番をします。いつものとおり、私も出かけて、サインをします。  2…

めだかが全滅しちゃった

 私の母は91歳。実家にいる。年齢のわりに元気だが、思ったことをそのまま口にする。配慮がない。  その母から電話がかかってきた。 「めだかが全滅しちゃった」と母。…

フジロックにクラフトワークがきているというニュースを見て、観たかったなと残念に思ったが、フジロックの出演者リストをチェッ…

〇月〇日  フジロックにクラフトワークがきているというニュースを見て、観たかったなと残念に思ったが、フジロックの出演者リストをチェックしていなくて、クラフトワー…

「現金でのお支払いはできません」のお店が増える中、現金払いのみのお店もまだまだある

〇月〇日 「現金でのお支払いができません」というお店が増えてきた。新しく開店したお店は特に多いような気がする。  〇月〇日 「現金でのお支払いはできません」のお…

外国文学の新刊が置いてあった平台の場所がいつの間にか、絵本のグッズ売り場になっていた

〇月〇日  池袋ジュンク堂の3階、外国文学の新刊が置いてあった平台の場所がいつの間にか、絵本のグッズ売り場になっていた。 〇月〇日  野田秀樹作・演出「正三角関…

身近な人間で100歳まで生きた人はいない

〇月〇日   「大いなる未来に向かって、みたいなタイトルの小説があったよね? ずっと文庫化されなかったけれど、ようやっと文庫化されたやつ 」  と妻くんが言った。 「…

「初めて会うのが病院とはね」

「初めて会うのが病院とはね」

〇月〇日
 
 部屋で、スイングジャズのCDを聴いていた。その楽団の名前を知っているかと思い、
「ジャズで、デュークが付くのは?」
 と妻くんに聞いてみた。
「デューク西郷」
 と妻くんは言った。二つの意味で間違っている。デューク西郷ではなく、東郷。ゴルゴ13。殺し屋だ。そしてジャズ・ミュージシャンではない。
 いまさらデューク・エリントンの名前を出す気にもなれず、質問はやめて、私はそのCDを聴き

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通勤時、羊文学のアルバムをずっと聴いている

通勤時、羊文学のアルバムをずっと聴いている

〇月〇日

 渋谷○○書店、めがね書林の棚で、自分(緒真坂)の本と古本を売っている。古本は自分(含妻くん)が買った本だ。
 めがね書林の棚で、1年間ずっと売れない古本がある。改めて見ると、けっこう傷んでいる。
 いい本だからと思って残しているが、棚の本は、こまめに変えなければだめだなと思った。

〇月〇日

 通勤時、羊文学のアルバムをずっと聴いている。

〇月〇日

 アニメ「ハイスコアガール」

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私は釘崎野薔薇のファンだ(「呪術廻戦」のネタバレあり)

私は釘崎野薔薇のファンだ(「呪術廻戦」のネタバレあり)

〇月〇日

 「少年ジャンプ」誌上で連載している「呪術廻戦」の最終回が近い。「ジャンプ」は読んでいない。コミックスを買って読んでいる。アニメは、もちろんすべて観ている。
 私は釘崎野薔薇のファンだ。渋谷事変で真人(呪霊)にやられてから音沙汰がなかった釘崎野薔薇がどうなったかずっと気になっていて、情報を集めていた。
 野薔薇復活! の情報を得、久々に「ジャンプ」本誌を買った。
 ちなみにその前に「ジ

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レコード屋でかかっていると、すごくよく聞こえて、アルバム名を調べて、実際にCDを買って家で再生してみると、何というのだろう、空気感が微妙に違って、あれ? となることがたまにある。

レコード屋でかかっていると、すごくよく聞こえて、アルバム名を調べて、実際にCDを買って家で再生してみると、何というのだろう、空気感が微妙に違って、あれ? となることがたまにある。

〇月〇日

 レコード屋でかかっていると、すごくよく聞こえて、アルバム名を調べて、実際にCDを買って家で再生してみると、何というのだろう、空気感が微妙に違って、あれ? となることがたまにある。
 レコード屋でかかっているほうが、絶対によく聞こえる。
 あれは何なのだろう。 

〇月〇日

 人通りの少ない交差点。赤信号で、ぽつねんと停車しているフードデリバリーを見た。
 スマホをいじっていた。

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ここ数年、思うのだが、新刊本については、ブックオフより、古書店のほうが安いのではないか

ここ数年、思うのだが、新刊本については、ブックオフより、古書店のほうが安いのではないか

〇月〇日

「葬送のフリーレン」のフランメの中の人、田中敦子さんが逝ってしまった。合掌。
 写真は「葬送のフリーレン」第1期のオープニングテーマ、YOASOBI「勇者」のCD。ボックスセット。

〇月〇日

 吉祥寺の某古本屋に行って、本を購入。
「左川ちか全集」「ナボコフ夫人を訪ねて」「友人が語るポール・ボウルズ」など。
 左川ちか全集は、伊藤整関係で、探していた本である。
 ここ数年、思う

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85年と91年のころの「私という存在」を思い出させる

85年と91年のころの「私という存在」を思い出させる

 KOKAMI@network公演「朝日のような夕日をつれて2024」を観た(@紀伊国屋ホール)
 本当に、久しぶりに紀伊国屋ホールに入った。前回がいつだったか、思い出せないくらいだ。自転車キンクリートだったか?
 演劇はそれなりに観続けていたので、私が観る劇団が、紀伊国屋ホールを使わなくなっていったということだろう。
 この芝居については、過去、第三舞台で二度観ている。1回目は紀伊国屋ホール、初

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妻くんの好きな洋楽は…、とあれこれ考えているうちに、妻くんの誕生日は過ぎた

妻くんの好きな洋楽は…、とあれこれ考えているうちに、妻くんの誕生日は過ぎた

〇月〇日

 時間に余裕があるとき、ピーター・バラカンのラジオ「バラカンビート」を聴いている。
 その番組は、近日開催のおすすめライヴ、イベント、音楽映画の情報などの他に、リスナーからのリクエストが流れる。妻(夫)の誕生日や結婚記念日のメッセージが添えられていることがままある。
 たとえばそれは、妻(夫)の好きな曲、〇〇の「××××」のリクエストをお願いします、と紹介される。
 妻くんの誕生日が近

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「石の上に乗って、甲羅干しをしていた」と言うこともある

「石の上に乗って、甲羅干しをしていた」と言うこともある

〇月〇日

 近所に、赤い盥を玄関の前に置いて、大きな亀と魚を飼っている家がある。
 妻くんは通るたびに覗き込んで、
「亀、いた」
 とうれしそうに私に報告する。
「石の上に乗って、甲羅干しをしていた」
 と言うこともある。

 もしその亀が盗まれたら、真っ先に妻くんが疑われるのではないかと思い、私はひやひやする。

〇月〇日

 台風が接近した日。たまたま休み。
 軽く頭痛がするので、だらだらと

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百年に一度貸出される本

百年に一度貸出される本

〇月〇日

「111年目の中原淳一展」に行ってきた(@松濤美術館)。中原淳一は、私にとって「それいゆ」の人。
 中原淳一は、イラストレイターだけじゃなく、画家、編集者、ファッションデザイナー、人形作家もしていた。
 (そして展覧会の中ではアナウンスはなかったが、ゲイ。宝塚の男役トップ女優と結婚しているが、あの時代の周囲からの圧力を考えると、身がすくむ)

〇月〇日

「近ごろの公共図書館は、全集も

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私が観ているのは、宮藤官九郎脚本「新宿野戦病院」で、いや~、毎回本当に面白いよ、と返事を返した

私が観ているのは、宮藤官九郎脚本「新宿野戦病院」で、いや~、毎回本当に面白いよ、と返事を返した

〇月〇日

 友だちからNHK大河ドラマ「光る君へ」がすごく面白いとメールがきた。残念ながら、私は「光る君へ」は観ていない。私が観ているのは、宮藤官九郎脚本「新宿野戦病院」で、いや~、毎回本当に面白いよ、と返事を返した。
 その後、返信はない。

〇月〇日

 繁華街の横断歩道で、黙れ! 黙れ! と叫びながら走っている人を見かけた。スマホに向かってしゃべっているのかと思ったが、そうではないようだっ

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8月10日(土)、渋谷ヒカリエ8F、渋谷○○書店にて、12時~15時までめがね書林が店番をします

8月10日(土)、渋谷ヒカリエ8F、渋谷○○書店にて、12時~15時までめがね書林が店番をします

〇月〇日

 8月10日(土)、渋谷ヒカリエ8F、渋谷○○書店にて、12時~15時までめがね書林が店番をします。いつものとおり、私も出かけて、サインをします。
 2冊ご購入の方には、例によってプレゼントを差し上げます。
 渋谷にお越しの方はぜひ!

〇月〇日

 少しだけついていない日。
 書店の正面に自転車をとめた。書店に入り、出てくると、中年男性が私の自転車の横に立って、煙草を吸っていた。

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めだかが全滅しちゃった

めだかが全滅しちゃった

 私の母は91歳。実家にいる。年齢のわりに元気だが、思ったことをそのまま口にする。配慮がない。
 その母から電話がかかってきた。
「めだかが全滅しちゃった」と母。
「えーっ。どうして?」と私。
「水槽の水が濁っていたから、きれいにした。そしたら時間をかけて、少しずつ死んでいった」
 そして誰もいなくなったみたいに言わないでほしい。
「水をいっぺんに入れ替えたわけじゃないんでしょ?」と私。
 けっこ

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フジロックにクラフトワークがきているというニュースを見て、観たかったなと残念に思ったが、フジロックの出演者リストをチェックしていなくて、クラフトワークがくることも知らなかった。残念がる資格もないような気がする

フジロックにクラフトワークがきているというニュースを見て、観たかったなと残念に思ったが、フジロックの出演者リストをチェックしていなくて、クラフトワークがくることも知らなかった。残念がる資格もないような気がする

〇月〇日

 フジロックにクラフトワークがきているというニュースを見て、観たかったなと残念に思ったが、フジロックの出演者リストをチェックしていなくて、クラフトワークがくることも知らなかった。残念がる資格もないような気がする。
 フジロックの生配信をアマプラでやっている。たまたまつけたら、最終日でオアシスの曲が流れてきた。あれと思ったら、ノエル・ギャラガーだった。
 ノエル・ギャラガーがきていること

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「現金でのお支払いはできません」のお店が増える中、現金払いのみのお店もまだまだある

「現金でのお支払いはできません」のお店が増える中、現金払いのみのお店もまだまだある

〇月〇日

「現金でのお支払いができません」というお店が増えてきた。新しく開店したお店は特に多いような気がする。 

〇月〇日

「現金でのお支払いはできません」のお店が増える中、お支払いは現金のみとなります、のお店もまだまだある。
 洋食、キッチンABC(@池袋)もその一つ。
 昭和の香り。

 そういえば、渋谷○○書店も現金のみ。ご注意ください。

〇月〇日

 チッと舌打ちして、中年の女性が

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外国文学の新刊が置いてあった平台の場所がいつの間にか、絵本のグッズ売り場になっていた

外国文学の新刊が置いてあった平台の場所がいつの間にか、絵本のグッズ売り場になっていた

〇月〇日

 池袋ジュンク堂の3階、外国文学の新刊が置いてあった平台の場所がいつの間にか、絵本のグッズ売り場になっていた。

〇月〇日

 野田秀樹作・演出「正三角関係」(@東京芸術劇場)鑑賞。
「カラマーゾフの兄弟」を唐松族に置き換え、野田流に料理した舞台。拍手鳴り止まず。
 出演は、松本潤、長澤まさみ、永山瑛太、竹中直人他。
 舞台上、小うるさくはしゃぐ、池谷のぶえさんがよかった、と奥さんは言

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身近な人間で100歳まで生きた人はいない

身近な人間で100歳まで生きた人はいない

〇月〇日
 
「大いなる未来に向かって、みたいなタイトルの小説があったよね? ずっと文庫化されなかったけれど、ようやっと文庫化されたやつ 」
 と妻くんが言った。
「『百年の孤独』? じゃないよね?」と私。
「思い出した! 『失われた時を求めて』!」
「それ、未来に向かっていないから。過去に向かっているから」
 

〇月〇日

 メディアなどで人生100年時代が到達した。だから日本人は、100歳ま

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