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身近な人間で100歳まで生きた人はいない

〇月〇日
 
「大いなる未来に向かって、みたいなタイトルの小説があったよね? ずっと文庫化されなかったけれど、ようやっと文庫化されたやつ 」
 と妻くんが言った。
「『百年の孤独』? じゃないよね?」と私。
「思い出した! 『失われた時を求めて』!」
「それ、未来に向かっていないから。過去に向かっているから」
 

〇月〇日

 メディアなどで人生100年時代が到達した。だから日本人は、100歳まで生きることを前提に生き方を変えていかなくてはならない、というような言い方をよく聞くが、本当にみんな100歳まで生きるのだろうか。
 身近な人間で100歳まで生きた人はいない。有名なところで、坂本龍一さんは71歳だし、高橋幸宏さんは70歳。
 人間の生死などは個人的ことだし、一般化できないといえばそのとおりだが、メディアはそれらを無視して、みんな人生100年時代突入だと喧伝している。
 100年時代の根拠を調べてみると、こうあった。

 人生100年時代は、米国カリフォルニア大学とドイツのマックス・プランク研究所が実施した調査で、日本で2007年に生まれた子供の寿命が107歳と推測されたことが根拠とされています。

 2007年に生まれた日本人は、107歳まで生きるということだそうだ。どういう調査をすれば、日本人の100年後の寿命がわかるのかわからないが、もし仮にそのとおりだとして、1960年に生まれた日本人はどうなのだろうか?
 1970年に生まれた日本人は?

 メディアは、すべての日本人が100歳まで生きるように喧伝しているように思えるが、あれは2007年前後に生まれた若者について言っている、ということなのだろうか。
 


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