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読書感想

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2021年6月の記事一覧

【読書感想】こんなにも切ない殺人者が、かつていただろうか。。。

【読書感想】こんなにも切ない殺人者が、かつていただろうか。。。


1.『青の炎』貴志祐介出版社:角川文庫
発行年:2002/10/23
文庫本:496ページ
カテゴリー:ミステリー、青春、学園

2000年、第21回吉川英治文学新人賞や第13回山本周五郎賞の候補作に選ばれた作品であり、二宮和也主演で蜷川幸雄が19年ぶりに映画演出をした作品として有名である。

ホラー、ミステリー、SFという幅広いジャンルを描く貴志祐介の代表作であり、「国内倒叙推理小説の最高峰」

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【読書感想】「私」はあのとき何をして何を見た?過去の記憶から残ったものとは。

【読書感想】「私」はあのとき何をして何を見た?過去の記憶から残ったものとは。

1.『一人称単数』村上春樹出版社:文藝春秋
発行年:2020/7/20
単行本:235ページ
カテゴリー:短編小説、青春、恋愛

村上春樹著の本作は、「女のいない男たち」(2014/4/18発行)以来の6年ぶりの短編小説集である。
長編小説の印象が強い村上春樹であるが、短編も長編に違わず面白く、語りや展開に「村上春樹らしさ」が溢れていて、魅力溢れる作品となっている。

それぞれの短編全てに言えるこ

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【読書感想】40年間日本中の誰もが解けなかった謎をあなたは解けますか?

【読書感想】40年間日本中の誰もが解けなかった謎をあなたは解けますか?

1.『占星術殺人事件』島田荘司出版社:講談社
発行年:1981/12/14
文庫本:512ページ
カテゴリー:ミステリー

「歴代最高傑作の国内推理小説はどれか。」
という議論にミステリーファンはこの秀作を挙げないでいられるだろうか。いや、不可能だ。
私としては、五指には必ず入るであろうと信じて疑わない。

また日本国内では当然のこと、台湾や中国、イギリスなどの海外でも評価を得ており、この作品が非

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【読書感想】ほんの小さな綻びが、あなたを恐怖のどん底に陥れる。【ミステリ独立短編集】

【読書感想】ほんの小さな綻びが、あなたを恐怖のどん底に陥れる。【ミステリ独立短編集】

1.『汚れた手をそこで拭かない』芹沢央出版社:文藝春秋
発行年:2020/9/26
単行本:237ページ
カテゴリー:ミステリ、サスペンス

第164回直木賞候補にも選出された、一風変わった独立短編ミステリーです。

著者の芦沢央(あしざわよう)さんは、「許されようとは思いません」(2015)で一躍有名になり、研ぎ澄まされたテクニックと、豊かな発想力を持ち合わせた作家さんです。

私は本作を読むま

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【読書感想】主役は、小学生。敵は、先入観。世界をひっくり返せ。

【読書感想】主役は、小学生。敵は、先入観。世界をひっくり返せ。

1.『逆ソクラテス』伊坂幸太郎出版社:集英社
発行年: 2020年4月24日
単行本: 288ページ
カテゴリー: 学園、青春、短編集

伊坂幸太郎の「逆ソクラテス」(2020)は、2021年本屋大賞にノミネートされ(惜しくも大賞受賞とはならず😭)、第33回柴田錬三郎賞を受賞した作品です。

伊坂幸太郎自身も2020年で作家歴20年目ということで、「デビューして20年、この仕事をしてきた1つの成

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【読書感想】あなたは忘れられない「恋」をしたことがありますか?

【読書感想】あなたは忘れられない「恋」をしたことがありますか?

あらすじ4月、精神科医の藤代のものに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だが藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12か月がはじまる——
なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。

感想新海誠や星野源・あさのあつこなどの多くの著名人が絶賛し、川村元気の全てが詰め込

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【読書感想】結局人間が1番怖い。貴志祐介のヒトコワホラー😱

【読書感想】結局人間が1番怖い。貴志祐介のヒトコワホラー😱

あらすじ若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく、死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに・・・・・・。
恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だかつてない戦慄の境地

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【読書感想】再読不可避!天才・村上春樹の処女作

【読書感想】再読不可避!天才・村上春樹の処女作


あらすじ1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。

感想天才・村上春樹のデビュー作はやはり難解だった!!

分かってはいた。うん。分かってはいたけ

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