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【読書感想】再読不可避!天才・村上春樹の処女作


あらすじ

1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。

感想

天才・村上春樹のデビュー作はやはり難解だった!!

分かってはいた。うん。分かってはいたけどこれ程とは、、


note投稿一発目がこの難攻不落の作品で大丈夫なのかと思ったが、好きな作品だから良しとしよう。笑

完璧に理解してないやつが偉そうに感想書くなよ!とお思いになられた方は、本当に申し訳ございません。。
許してください、、、!

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完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。





この書き出しで始まる本作は、

東京から帰省中の「僕」
友人である「鼠」
「片手の指が4本しかない女」

という名前(作中でも括弧内の呼び方)の3人の曖昧な関係を描いた青春小説。

約160ページととてもページ数が少ないながらも、村上春樹色が強く、大きな特徴というか奇妙な部分がたくさんありました。中でも3つ挙げるとすれば、

①舞台は日本なのに全てがアメリカン
②40という多すぎる章
③登場人物の名前が1人も明かされない


①舞台は日本なのに全てがアメリカン

村上春樹といえば、海外の小説を翻訳したような調子の文章が特徴的ですが、デビュー作の本作でもその色合いが濃かったと思います。

この部分が結構村上春樹の評価が別れるところだと思うんですけど、自分は海外小説もよく読むので、村上春樹の好きな部分でもあります。

村上春樹は小さい頃からアメリカ文学しか読んだことがないらしいので、自然とそういう文体になってしまうんですかね、

また、文体だけじゃなくて会話中に出てくる全てのものがアメリカン🇺🇸

ジョン・F・ケネディ、カリフォルニア・ガールズ、フィアット600、ピーナツ、などなど

俺って今、日本の小説読んでるんだよね??

ってなります、必ず。

②40という多すぎる章

160ページで40の章となると、4ページで1章ということになります。

小分けにされてる分、色々メリットデメリットが考えられると思うんですけど、個人的には読みにくかったです。笑

時間もかかりましたし、なんと言っても1章1章で場面が違うので、今どこで誰が喋ってるのかを把握するのに苦労しました💦

③登場人物の名前が1人も明かされない

作中ではずっと、「僕」と「鼠」と「片手の指が4本しかない女」という呼び方しかされないので、この
作品の大きな特徴だと言えると思います。

登場人物の名前を一切明かさず、誰がどこで何をしたかを明示しないことで、物語のミステリー性や奥深さ、儚さを表現したかったんだと私は勝手に解釈しました。


この3つの特徴を携えた本作のテーマは、作中のこの文章に現れていると思います。

「あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。
僕たちはそんな風にして生きている。」



バーで酒を飲み、多くの人と出会い、語り合い、恋をし、ラジオを聞き、レコードを聴き、そんな退屈な毎日を過ごしていくうちに、人生というものは風のように走り去っていくものなんだと村上春樹はこの作品で表現したかったのではないでしょうか。

この村上春樹が読者に伝えたかったことを意識してまた読んでみると、今まで見えなかったこの作品の素晴らしい所を見つけられる気がします。


まぁとにかく!

多くの伏線を張り巡らし、思わせぶりな態度をとりながら進むこの作品はほんとに嫌らしいほど素晴らしい作品です!!

みなさんもぜひ読んでみてください!!

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