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『鉛の時代』:その後のイタリアを変えた55日間、時代の深層に刻み込まれたアルド・モーロとその理想 Part1.
8月9日からBunkamura ル・シネマ渋谷宮下を皮切りに、全国で順次公開される「Esterno notteー夜の外側 イタリアを震撼させた55日間」は、イタリアの人々の深層心理に横たわる、共有された悲劇としての「アルド・モーロ誘拐・殺害事件」が再構成された、巨匠マルコ・ベロッキオ監督の最高傑作です。
1978年から46年もの間、根気よく、細部にわたって緻密に調査され続けてもなお秘密が漂う「モ
『鉛の時代』: イタリアのもっとも長い1日、アルド・モーロが連れ去られ、ブラックホールとなった1978年3月16日とその背景
「夜よ、こんにちわ」から約20年を経て、再び「アルド・モーロ誘拐・殺害事件」をテーマとした、イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ監督の最高傑作、「Esterno notteー夜の外側 イタリアを震撼させた55日間」の著しく複雑な背景を探ります。
そもそもベロッキオ監督は、現在に至るまで営々と続く、事件を巡る、終わりが見えない夥しい数の調査、捜査という「神経症的なストーリーには興味がなかった。新しい形
ラッキー・ルチアーノ PartⅡ: 第2次世界大戦における「アンダーワールド作戦」とそれからのイタリア
1931年、全米犯罪シンジケートの頂点に「コミッション」と呼ばれる一種の議会を設立し、「コーザ・ノストラ」を誕生させた「暗黒街の実業家」ラッキー・ルチアーノは、シンボリックな意味で1秒に100万ドルを稼ぐ男となっていました。リトル・イタリーのストリートで万引きや窃盗を繰り返していたイタリア系移民の少年は、20年ほどの間に、最高級のオーダーメイドのスーツを纏い、ウォルドーフ・アストリアホテルのスイー
もっとみるラッキー・ルチアーノ Part Ⅰ : 「禁酒法」を経て、暗黒街の分岐点となった「コーザ・ノストラ」の誕生
ニューヨーク、ロウアー・イースト・サイドのストリート。徒党を組んで万引きや窃盗を繰り返していた、イタリア系移民のタフな少年サルヴァトーレ・ルカーニアが、巨万の富を誇るチャールズ・ルチアーノ、「ラッキー・ルチアーノ」としてその名を轟かすには、さほど時間はかかりませんでした。このルチアーノに関しては、単なるギャングというよりも、当時の米国に跋扈する、シチリア・マフィアの旧態依然としたシステムを一気にイ
もっとみる1900年前後 :「コーザ・ノストラ」黎明期「マーノ・ネーラ(黒い手)」とジョセフ・ペトロシーノ
今から100年以上昔の米国で繰り広げられた、現在「マフィア」と総称される犯罪ネットワークのひとつ、「コーザ・ノストラ」黎明期の物語は、多くの書籍や映画のテーマとなっているので、おぼろげにイメージしてはいても、われわれが住む世界とはかけ離れた別世界の物語という印象でした。しかし今回、資料として選んだ本を読んだり、映画を観るうちに、われわれが住む世界も、犯罪ネットワークの世界も、構造的にはよく似ている
もっとみる1943年:日本での壮絶な2年間を描いたダーチャ・マライーニの新刊「Vita mia(わが人生)」
「いつかは書かなければ、と思いながら、その記憶を辿ることが、あまりにも辛く苦しく、途中で何度も休まなければなりませんでした。しかし世界中に、あらゆる形の暴力と憎悪が再び溢れる今、それを証言しなければならないと思ったのです」プレゼンテーションでそう語った、ダーチャ・マライーニの新刊「Vita mia(わが人生/Rizzoli、2023)」には、当時6歳だった少女が、両親、ふたりの妹とともに連行された
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