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2021

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#詩

黄金の大晦日

黄金の大晦日

富士山を臨む夕映えの丘には

溢れる光が金色に輝いている

凛とした冷たい風に吹かれて

背筋を伸ばし白き霊峰を仰ぐ

行く歳は

大変なことも色々あったけど

こうして迎えた静かな大晦日

ご加護を賜った氏神様に感謝

ご厚情を賜った皆々様に感謝

豊かな大地と森の恵みに感謝

積み重ねた日々の営みに喝采

そして願う

来る歳もまた

穏やかでこころ豊かな日常を

編み上げてゆけますようにと

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冬の朝 -12月の星々-

冬の朝 -12月の星々-

ファンヒーターがタイマーで動き出す。

すっぽりと首まで毛布にくるまって部屋が暖まるのを待つ。

この30分のたまらない贅沢にほくそ笑む。

窓から差し込む朝の光が結露に乱反射してオレンジ色に染まる。

1日で一番寒い時間。そして1日で一番美しい時間。

世界の片隅でなんでもない日がなんでもなく始まる。

小さな森のX‘mas

小さな森のX‘mas

もみの若木に

松ぼっくりと小さな赤い実

森の枯れ葉の絨毯の上

まるで互いに寄り添うように

静かに奏でる聖夜曲

たとえ小さくても

どんなにささやかでも

大地に根ざしたその声は

きっとあなたを暖める

どうか ひととき

穏やかに 健やかに

暖かい時を過ごせますように

田舎の片隅の小さな森から

心を込めて

メリー・メリー・クリスマス

晴天好日。

晴天好日。

畑周りもすっかり片付けて

落ち葉集めも一段落したし

さして忙しくもないくせに

忙しい気分になっていて可笑しい

庭先で冷たい風に当たりながら

ふと空を見上げたら

すっかり葉を落とした木々の間に

冬の高い青空が思いのほか広い

ふうっと深呼吸しながら

いい一年を過ごせたなあと独言つ

森と畑と鳥と土と緑と赤と春夏秋冬を思い

来年もまたいい一年にと願うひととき

師走もここまで来れば

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残り色

残り色

西に傾いた弱い日差しの逆光に

散り残った紅葉を透かしてみると

それはステンドグラスのように

鮮やかな色彩のハーモニーを奏でた

雪虫がちらちらと飛び交い

ひよどりの甲高い声が響く

森を満たす冷たく乾いた空気

記憶の片隅を暖かい紅が染めて

色のない季節が深くなっていく 

晩秋の森にて -11月の星々-

晩秋の森にて -11月の星々-

書いておこうと思った。

たとえば、敷き詰められた落ち葉のほんのりとした暖かさを

たとえば、木々の年輪にくっきりと刻まれる厳しい寒さを

たとえば、冬枯れの枝に始まる新しい芽吹きを

たとえば、沈黙した森に響く陽射しが降り注ぐ音を

せめて、言葉を超えたものがあるということを

明日も覚えておくために

期間限定・菜飯定食

期間限定・菜飯定食

お待たせいたしました菜飯定食でございます。

ご飯は麦飯。

千切りにした生姜をたっぷりいれて

白だしにちょいと醤油を加えて炊き込んで

炊き上がったら塩揉みしたかぶの茎を混ぜ込みます。

お味噌汁は豚汁。

畑でとれた里芋、蕪、人参、長葱と豆腐に椎茸。

切れ端の豚肉の油がいいお出汁。

仕上げに蕪の葉っぱを散らして。

付け合わせには

菊芋の甘酢づけと白菜の漬物。

どちらも柚子の香りがい

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静けさの森

静けさの森

森の中を通り抜ける晩秋の風

ほんのかすかなそよぎにも

木の葉はさらさら舞い落ちる

かさかさと乾いた音が降り積もる

あとからあとから降り積もり

見る間に大地を埋めつくす

落ち葉に埋もれた木の実を探し

あちらこちらで小鳥の地鳴き

のぞき見る窓越しにあたたかなこもれび

一年の生命のにぎわいのその後

穏やかに来る森の静寂

やがてくる厳しい寒さに凍てつく前に

暖かな毛布で包み込むよう

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キッチンガーデンの夢

キッチンガーデンの夢

食べる分だけをちょっとずつ。

そんなふうに野菜を畑から摘んでくる。

今日の収穫は

菊芋3個とカブ2つ小松菜と水菜をふた株ずつ。

それとネギとにんじん2本ずつ。

小さな畑にいろんな野菜を少しずつ育てて

食べる分だけをちょっとずつ。

形が悪くても、ちょっと虫が喰っていても、

自分で食べるなら問題なし。

そんなふうに

みんなが小さな畑で

自分で食べる野菜を育てたら

きっともっと食

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秋の田んぼとSDGs

秋の田んぼとSDGs

毎一日の氏神詣の帰り道

澄み渡る空を見上げて散歩道

水路沿いを歩いて出会ったのは

昔ながらの田んぼの景色

たわわに実った稲を根本から刈りとって

田んぼに建てた竹竿に袈裟懸け天日干し

お日様と秋風を受けて十分に乾いたら

実の部分だけを千歯扱きで梳きとって、

籾殻付きの美味しいお米へ

実を取って残った部分も捨てることなく有効利用

稲藁は家畜の餌や畑の優れた保温保湿材として

精米し

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生姜の掘り起こし

生姜の掘り起こし

若葉の頃に植え付けてから

春夏秋をじっくり育った生姜の子

ピンと伸びた緑葉が枯れて

いよいよ そろそろ収穫のサイン

土くれの中の立派な塊をイメージし

そろりそろりと掘り出せば

鼻先に感じる爽やかないい香り

薄紅の根本が現れてその先に連なる新生姜

さらにその先にお馴染みの根生姜が顔を出す

煮物に焼き物に炒め物

和食に中華に洋食

どんな料理も引き立てる名脇役は

身体を芯から温め

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秋の風景

秋の風景

冬越し野菜の植え付けを終えて

あれこれ芋掘り作業もひと段落で

今日は畑をひと休み

好天に誘われて近所を散歩

秋ど真ん中をからだに浴びる

見上げれば、天高く遥かに浮かぶ銀の翼

緩やかな川の流れには染め始めの紅と青空、そして白い雲

社の紅葉は陽の当たる場所から染まり始めてグラデーション

銀杏葉は黄色く、桜葉は茶色く

足元の枯葉の間には鮮やかな藍色の竜胆

畑に続く畦の坂道には菊の花

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菊芋の収穫

菊芋の収穫

初めて育てた菊芋4株

背高のっぽの黄色い花が

根元にたくさんのみのりをこしらえた

背高のっぽを支えるために

四方に張り巡らせた根っこの先の

あちらこちらでみのらせたので

小芋まで残さず掘るのは大変そう

なるほどそれが彼らの生き残り策

掘り残しから次の芽が

新しい命をつないでゆく

芋と言いつつシャキシャキで

百合根のような舌触り

甘味もホクホク感も少ないけれど

高血圧に効く

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キアゲハの子

キアゲハの子

晴れ渡る空 少し冷たい風

病明けの身体を慣らしながら

陽だまりで久しぶりの土弄り

ニンジンの畝で野の草退治 その最中

目に飛び込んで来たキアゲハの子

この親にしてこの子ありの美形

葉茎を喰らい ムチムチのマルマル

ニンジン色のドットが可愛らしい

が よく見れば 周りに仲間もいるし

放置すれば 畝ごと全部丸裸の予兆

ひとさま分の青果を確保するには

心を鬼に虫退治やむなしか

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