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【将棋】藤井三冠、竜王奪取し四冠に!

竜王戦第四局は形勢が最大で▲豊島竜王72%ー▽藤井三冠28%まで開き、終盤の持ち時間も▲約2時間半ー▽約10分と不利な状況から藤井三冠が大逆転勝利し、4連勝で竜王を獲得した。結果はストレートでの決着になってしまったものの、いずれの局もハイレベルでどちらが勝利してもおかしくはなかった。それだけに、最短で終わってしまったのがとても悔やまれるシリーズとなった。

豊島竜王は竜王らしく、挑戦者・藤井三冠の得意戦法(角換わりと相がかり)を避けて勝負しなかったことにその矜恃を感じさせてくれた。印象的だったのは、第1局の ”気づいたら大逆転” だろう。いつの間に逆転したのか、どうやって逆転したのかさっぱり分からなかったので、自分は今までで一番藤井将棋を恐ろしく感じた。

さて、ここからはちょっと違う話をしよう。「りゅうおうのおしごと!」という将棋ラノベ作品が2015年にスタートした。同作は、17歳で竜王2期を持つキャラクターが登場するという当時の棋界常識からすればありえない設定で書かれていた。しかし、2016年に藤井四段が最年少でプロデビューするとその ”ありえない” が俄に現実味を帯び始めるのだった。形容しようがない程の意味不明な強さ、劇的な大逆転勝利、止まらない連勝……。

デビュー戦からいきなり連勝記録を29に更新すると、数年後に最年少タイトル獲得記録を更新。次いでタイトル3期獲得による最年少九段昇段と最年少三冠獲得、そして年間勝率8割超え(羽生九段が七冠を独占した1996年の年間勝率とほぼ同じ)4年連続と、それまで将棋界に輝いていた歴代の記録をぽんぽんと塗り替えていく。そして今日、藤井三冠は竜王を獲得し、同時に最年少四冠獲得記録を更新した。

「りゅうおうのおしごと!」で予言され、”ありえない” とされた10代での竜王保持者は6年足らずで現実のものとなってしまった。事実はラノベより奇なり、といったところか。”竜王” というタイトルは実はアマチュアでも毎年獲得できるチャンスがある。ただ、それは「可能性はゼロじゃない」という意味で、プロ相手に10連勝して竜王挑戦権決定三番勝負に手が届くかどうかのレベルなのだ。はじめから全勝で竜王を奪取した藤井四冠くらいの強さが無ければ、優勝賞金4400万円など夢のまた夢だろう。

夢と言えば、藤井四冠はこれで棋界(八大タイトル)の半分を手中に収めたことになる。こうなると嫌でも夢の続き――八冠独占――を見たくなってしまう。むしろそれくらいのものでなければ、素人の予想などすぐに超えられてしまうだろう。果たして、そんな日は近いうちに来るのだろうか。

追記:本日は藤井四冠の師匠、杉本昌隆八段のお誕生日でもありました。おめでとうございました。

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