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エッセイのようなもの

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エッセイと呼んで良いのだろうか?
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#フリーランス

夫がホワイトデーを忘れていますように。

夫がホワイトデーを忘れていますように。

現在、3月14日の夕方。わたしは今、とてもドキドキしながら夫の帰りを待っている。夫がホワイトデーのことを覚えているのか、それとも忘れているのか。

どうか忘れていてほしいと願いながら、ドキドキしている。

遡ることたぶん5年。夫はホワイトデーをすっぽかすというミスを起こした。あれ、何もないのかな?そんなはずはないよな?さては23時59分にサプライズだな?と、あれこれ考えながら時間だけが過ぎた。日付

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なんでもエビマヨに換算する夫婦。

なんでもエビマヨに換算する夫婦。

2023年12月23日。あの日を機に、わたしたち夫婦は変わった。

クリスマスを記念した食事を、とあるホテルの見晴らしのよい中華レストランですることにした我らは、ずっしり重いメニュー表を開いてたまげた。

お高い…。ひと皿1万円を超えるメニューもある。せいぜい2500円くらいだろうと思っていた大本命のエビマヨは4500円。ホテルの中華レストランをわたしたちは完全に舐め切っていた。これがぐるナイのゴ

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朝4時、突然の来客。

朝4時、突然の来客。

午前4時。玄関の方からガチャガチャと音がして目を覚ます。

夫か。「今日は忘年会だ!」と大張り切りで出社した夫がこんな時間に帰宅したようだ。しかし声も聞こえる。酔っ払いのひとりごとにしてはずいぶんハキハキと。なぜ?

ベッドから起き上がり、寝室のドアを開け、「おかえりー」と声をかけてみる。すると夫はわたしを見て、ばつの悪そうな顔で「あぁ…起きたか…」とこぼし、「ほんとにごめん!!これは緊急事態なん

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夫にとってわたしは何なのか、わかった。

夫にとってわたしは何なのか、わかった。

なかなか衝撃的なできごとがあった。以前、夫から聞いた中学時代の思い出話の中に、文化祭の準備に不真面目に取り組んでしまったことで女子と大バトルになり謝罪までさせられたという重大事件があり、すこし前に会話の流れからその話を持ち出したところ、「覚えてない。そんなこともあったっけなあ?」と、とぼけた返事が返ってきたのである。

自分で言ってたじゃんかよ。たしか、7年前くらいに言ってた。あなたの口から聞いた

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お題企画受賞を記念して、オムライス弁当を作る。

お題企画受賞を記念して、オムライス弁当を作る。

この度、アイスムさんとnoteさんのコラボで開催されたお題企画「#料理はたのしい」にて、わたしの書いた記事を賞に選んでいただきました!

わたしの記事を読んでくださった方、スキやコメントをしてくださった方、いつも読んでくださっている方、そして選んでくださった方、アイスムさん、noteさん、ほんとうにありがとうございます!とってもうれしくて、このできごとを極太のペンで書き入れたいから、自分の年表でも

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フリーランス主婦、大興奮する。

フリーランス主婦、大興奮する。

最近なんだか日常が物足りず、かといって海外旅行に行くような余裕や気力はなく、狭い家の中でひとり、もんもんとしていた。

非日常が味わいたい。ぜいたくっぽいことをしたい。自分を労いたい。だけど不妊治療が常に頭にちらついて散財する気にならない…そのあたりの思考を周回して二週間くらい。「そうだ ホテルのレストランのオーダービュッフェ、行こう。」というキャッチコピーが舞い降りてきた(コピーのコピー)。

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走れフリーランス主婦

走れフリーランス主婦

先週、事件が起きた。夫が夜に社外の方々との会食があるにもかかわらず、スウェットで会社に行ってしまったのだ。

朝、出勤した夫からLINEが届いた。「今日夕飯いらない。会食だったの忘れてた~服装やばい」。

わたしは衝撃を受ける。ふつう、社外の偉い人たちとの会食という緊張に緊張を重ねるようなシチュエーションが待っていれば、前日からもっとそわそわするものではないか。朝も迷わずスーツを着て、質問や話題を

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フリーランス主婦、やらかす。

フリーランス主婦、やらかす。

朝起きたとき、「今日は一日外に出ない」と決めた。寒いし、今日したいことは家で十分できるから。

ニトリの着る毛布を着て、「まるでこたつソックス」を履いて。うん完璧。この間、「フリーランス主婦が日中ずっと家にいるから電気代が高い」と夫にぼやかれてから、わたしは布をまとうことによって、この電気代が高騰する冬を乗り切ろうとしている。

家事をして、もろもろの作業をして、昼前。いけない、今日の夕飯はカレー

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「平成」をいつまでたっても手放せずにいる。

「平成」をいつまでたっても手放せずにいる。

春だ。断捨離をしようと思っている。過去にも何度かしたことがある。けれど何度試みても、かつて使っていたガラケーを捨てることができない。充電器がないので、電源もつかないのに。手に持ったときの重みや開く感触が、なんだか思い出したいことも思い出したくないこともよみがえらせてくる。

電源を入れればおそらく、元彼とのメールとか、切ない着うたとか、夫と友達だったころのメールとか、無駄にポエミーな日記とか、今よ

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夫に政治家への転身をすすめられたフリーランス主婦。

夫に政治家への転身をすすめられたフリーランス主婦。

昨日、リビングでぽたぽた焼をかじりながらテレビのニュース番組を見ていたら、夫がわたしに妙なことを言ってきた。

「政治家になったら?」

先にお風呂入ったら?みたいなカジュアルなテンションで言われた。わかった!そうするね。ってなるかい。わたしが?政治家に?意味がわからない。人生の中で一度も選択肢に上がったことがない職業。

念のため夫に理由を聞くと、こう言われた。

「ひまがあるし、責任感と正義感

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わたしの大きなコンプレックスが生まれた日。

わたしの大きなコンプレックスが生まれた日。

数年ぶりにジーンズを買おうと思っている。まだしっくりくるものに出会えておらず買えていないけれど、ジーンズ選びで自分の足と向き合っていると、わたしのコンプレックスが生まれた日の記憶が呼び起こされてしまった。

秋になりたての、よく晴れた日。そのときわたしは中学生で、体育祭の練習をしていた。リレーの選手に選ばれたわたしは、とても張り切っていた。盛大に張り切って生きてきた人生序盤だったので、リレーの代表

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お金持ちだと勘違いされて頭を抱えるフリーランス主婦。

お金持ちだと勘違いされて頭を抱えるフリーランス主婦。

よい歯医者探しは、よい仕事探しと同じくらいむずかしいことなのではないだろうか。

数年前、引っ越しを機に歯医者さんを変えた。当時は不妊治療にお金をかなり費やしていた。年間100万円以上。とほほ。(我が家はごく一般的な家庭でぜんっぜんお金持ちじゃない。わたしは半額の肉に直進するタイプの節約主婦。)

不妊治療というのは、とんでもない金銭感覚のバグを引き起こす。

当たりが入っているかどうかわからない

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夫よ、これからも大いに忘れてくれ。

夫よ、これからも大いに忘れてくれ。

そうだ、酢豚を作ろうと思った。酢豚は結婚して同じ家で暮らしはじめたその夜に、わたしが作った思い出の料理。

しばらく作っていなかった。酢豚はめんどうな料理だとインプットされていたから。だけど今、わたしはひま。簡単なことをめんどうにしてしまおうキャンペーンを開催中の身。今だ。

スーパーで豚肉の見るからにおいしそうなやつと、ピーマン、玉ねぎ、にんじんを買って、ネットでレシピを調べて作った。つやっつや

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