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夫に政治家への転身をすすめられたフリーランス主婦。


昨日、リビングでぽたぽた焼をかじりながらテレビのニュース番組を見ていたら、夫がわたしに妙なことを言ってきた。

「政治家になったら?」


先にお風呂入ったら?みたいなカジュアルなテンションで言われた。わかった!そうするね。ってなるかい。わたしが?政治家に?意味がわからない。人生の中で一度も選択肢に上がったことがない職業。


念のため夫に理由を聞くと、こう言われた。

「ひまがあるし、責任感と正義感が強くて、お金に執着がないから、いい政治家になれそう」


こんなにも、けなされているのかほめられているのかわからないセリフもなかなかない。でもたしかにわたしは今ひまがあるし、むだに強い責任感と正義感を持て余してきたし、賄賂には飛びつかない自信がある。

夫は、「この責任感を日本のために!」って旗掲げて演説したらいい、演説の場所はあの駅の南側がいいと思うと具体的な提案をしてくる。夫はわたしにクリーンな政治を期待しているらしい。

わたしはとても単純な生き物で、「向いてる」とか「適性がある」と言われると、それがどんなことでも悪い気はしない。もしかして、政治家、向いているのか…?


せっかくなので、政治家になったわたしを少しばかり妄想してみようではないか(ひま)。

政策とか自分が作りたい社会とかを考えてみればいいのかもしれないけれど、浮かんできた妄想は、「やじとか飛ばされたら即心折れそう」「討論番組で話してるときに割り込まれたら何も言い返せなくて黙って相手の話を聞いてしまうだろうなあ」「街頭演説でみんなにスルーされたら泣きそう」「せっかく自分に投票してくれた人のためと思って働いて体壊すだろうなあ」…。そんな場面ばかり。妄想ではなく心配か。HSP気質がここぞとばかりに発揮される。



わかっていたけど、向いてないわ。やってみないと向いてるかなんてわからない、という可能性もないくらい向いてないと思う。

人とぶつかることがきらいなわたしには討論なんてできないし、自分の人生でいっぱいいっぱいな人間が国を背負うなんてむり。そもそも政治家は完全在宅ワークというわけにはいかない(意地でも外で働きたくない)。政治家になろうというメンタルってすごいなあ、などと思う。

それにしてもnoteのおかげで、こんな、きっとひと月後には忘れてしまうであろう夫婦の会話を、掬うことができた。くだらない会話が、かけがえのない場面のように思えてくる。そんな日曜の午後のこと。


おわり

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