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【読書感想文】ロバート・A・ハインライン「夏への扉」

こんばんは!
SFには夢と知恵とロマンがある!小栗義樹です!

本日は読書感想文ですね!
そろそろ漫画とかライトノベルを題材にしてもいいかなぁと考えていたのですけど、あ、SFやってない!と気づき、今回はSF小説です(笑)

夏への扉の感想を述べます!

ロバート・A・ハインラインという作家、皆様はご存じでしょうか?1960年代にアメリカで活躍したSF作家なのですが、今読んでも面白いです。というか、時代的な側面だけでお話すれば、最近やっと、テクノロジーや人の価値観がハインラインに追いついたと言ってもいいのではないかと思っています。だから、今ハインラインを読むということは、もはやリアルなのではないかなと。

そうです。今SFを楽しむという行為は、今一番のリアルを小説で楽しむ事とほぼ同義なのです。今一番リアルを味わえる小説が、60年~70年前にすでに書き終わっているというのも不思議な話ですが、読めば読むほどそう思わざるをえません。

SFは好き嫌いがはっきりしているなんて言葉を聞いたことがありますけど、嫌いな人って食わず嫌いか、そもそも理解できていないだけなのではないかなと思っています。ちゃんと読んだのち、解説サイトなどを調べれば、これほどリアルで勉強になる本は無いと思うのです。

今日はそんなSF小説の中でも、僕が一番好きな「夏への扉」を題材にします。どうなんでしょう?僕が知っている限り、SF小説の中では最も有名な作品だと思っているのですが、SFガチ勢からすると違うのでしょうか?(笑)誰かコメント欄で教えてください(笑)

ハインラインは、機動戦士ガンダムの元ネタともなった「宇宙の戦士」や、新しい思想・価値観を提起した「月は無慈悲な夜の女王」などの代表作を持っています。知っている限りでこれらの作品は、当時のSFマニアの間で注目され、たびたび論争になったと言われているそうです。そう、あくまでマニアの間で論争になったと。

夏への扉はハインラインの作品の中では、最も親しまれた作品なのではないでしょうか?宇宙の戦士や月は無慈悲な夜の女王などと比べると、マニア以外の幅広い層にも読まれた作品だと思います。映画化もされてますしね!

どうして僕が、SF小説感想文の1発目を夏への扉にしたかというと、僕のSFデビューも夏への扉だからです。デビューといっても、最初に読んだわけではありません。あくまで、SFという世界の面白さに気づいたのという意味でのデビューです。(最初に読んだのは、アーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」でした。これも好きです!(笑))

夏への扉を最初に読んだのは中学3年生の時でした。当時は、存在しない架空の世界くらいの認識でしたけど、その夢のある世界観に惹かれ、むさぼるように読んだのを覚えています。

少し話は逸れますが、僕のSFの楽しみ方をご紹介します。僕は、科学技術やロボットなどにはあまり興奮しません。作家によってはかなり細かく説明してくれるんですけど、生々しいものが好きな僕は、架空の設定にテンションが上がるという癖が無いのです。僕がSFで面白いと思う部分は人間の変化です。その技術、発明、規格を手にした人間が、どのように価値観や感覚を変化させていくのか?ここにすごく興奮を覚えます。

あれ?割と王道の楽しみ方かもしれませんね(笑) SF好きな人の話を聞くと、今書いたような部分に楽しみを見出している人が多いような気がします。ただ僕は、いうても半分くらいしか楽しめていないのかもしれません。本当にSFが好きな人は、科学理論や技術理論もこみこみで楽しんでいる印象があります。僕はそこまでハマれなかった、というか、それを理解する頭を持ち合わせていなかったんです(笑)

だから僕は、SFの中でも人間社会・構造などを利用したデストピア系を好みます。いずれ感想を書きますが、ジョージ・オーウェルの1984年なんかはドンピシャです。素晴らしい作品だと思います。

そんな僕が満遍なく楽しめた、科学技術系SF小説、それが「夏への扉」です。人間関係に失敗し、会社や発明品をすべて奪われた主人公が、コールドスリープという技術を使った保険制度を駆使して未来に行きます。未来の技術を沢山学んだ彼は、その時代ではすでに研究されていなかったタイムマシンの技術を使い、元いた時代に一度帰って・・・というようなお話です。

ざっくりしていますが、こうしたあらすじの中に、人間関係のドロドロ・猫との絆・自分を慕ってくれた女の子との約束・技術を1から身に着けるという挑戦心・人を信用できるか否かという普遍的なお話など、様々な要素が詰まっています。

夏への扉は、登場する技術がとても分かりやすいです。どちらかというと、人間関係にフォーカスされています。これが今の時代にめちゃくちゃハマっている気がしてなりません。最後がハッピーエンドなのもいいです。分かりやすい着地と、爽快な伏線回収があって、読む人の心をしっかり掴んで離さないんだろうなぁと感じます。

ハインラインの凄いところは、没入感ではないでしょうか?夏への扉は一人称で語られるのですが、いたるところに世界観へ入り込める、キッカケとなる文章があります。冒頭でその仕掛けにハマり、あとは一気に読み切るだけ。それくらい文章がキマっています。

僕、あんまり小説の主人公に共感することがないんですけど、夏への扉の主人公には珍しくめちゃくちゃ共感しました。不器用で、好きなことを突き詰めようとする感じが、僕の中にも確かにあって、それが原因で生まれる周囲との軋轢もよく分かります。

未来の世界を見たい、未来の世界にある本を読んでみたいと思う僕にとって、夏への扉に抱く願望は計り知れません。僕の中では、立体的で手触り感のある夢が沢山詰まった作品です。

まだ読んだことがない方がいたら、それはとても羨ましいことです。あの没入感、夢、手触り感を、初体験出来るわけですから。

夏への扉に関わらず、SF小説には教養が詰まっています。人類の進歩、技術発展、人、思想、価値観など、あらゆる情報が信じられないボリュームで内包されています。アメリカのメガテック企業でCEOを務めるような人間は、みんなSFを読んでいるそうです。どうりで発想が、技術屋のそれを飛び越えているわけです。技術ではなく、技術を利用した人が見えているからこそ、世界的な成功を納めているのでしょう。

今からだって遅くはないのではないでしょうか?

これを機にSFの世界に足を踏み入れてみてほしいです。最初の一冊はそう、夏への扉で決まり!

古本屋さんで探してみてください!

よろしくお願いします!



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