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中二物理学

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これこそが狂気のマッドサイエンティストとしての真髄……
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音と光の交錯と発明家たちの狂騒

音と光の交錯と発明家たちの狂騒

さっきから何やらアルベルトが解説してくれてるようだが、

必死に走る岩砕の耳にはまるで入っていないようだった。

そしてアルベルトがとどめとばかりに、

至近距離で狙い撃ちしようと手を伸ばしたその時だった。

「今度は何だありゃ!?

鳥か? 飛行機か? いや…………

……爆弾だ‼︎」

なぜか上空から無数のダイナマイトが雨アラレと降って来た。

それらは空中で爆発したものの、

爆風を受けた送

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演算子たちの協奏曲

演算子たちの協奏曲

その頃、

互いに対峙したまま動かないオリバーとプランク。

二人の間には吹きすさぶ風の音しか聞こえない。

だがここでオリバーはその風の音をよく聴いてみると、

次第にある周期性に従って鳴っているのに気付いてしまった。

「…………まさか、

この風切り音はエオルス音っ?

さっきから電柱の周りの電線をもムチのように操り、

モールス信号みたいに送っていたという事か!?」

しかもオリバーは直ち

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近代科学者バトルロワイヤル

近代科学者バトルロワイヤル

「おっと、オリバーさん

いくらあの若者が期待の教え子だからって……

余所見してはいけません……………………

よッ!!……と……!」

間髪入れずにプランクはムチを御李婆に目がけて振るう。 

確実に相手の一瞬の意識の隙を突いたつもりだった。

だがなんと、御李婆はこちらの攻撃を見もせずにヒラリとかわした。

「っと?!」

逆にプランクの放ったムチは踏んで押さえつけられ、

御李婆の反撃から

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科学者たちの邂逅

科学者たちの邂逅



山を降りて長江を渡る橋のある町に

レールの向こうから轟音を立てて

ものすごい勢いでトロッコが突っ込んでくる。 

御李婆は岩砕を鎖でグルグル巻きにして

人力トロッコを電磁気力で動く

モーターカーに改造していた。

替わりに柱に括り付けられた岩砕が

大回転させられ続けている様子は

さながら地獄絵図だった。

があああああああああああああ・・・!!

案の定、無茶な運転を続けていたトロ

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プランクとアインシュタイン

プランクとアインシュタイン



「あらら

丸焦げじゃないの」

焼け跡に到着するなり、臆する事もなく言い捨てた青年は

トレンチコートにハンチング帽を被ったドイツ人のようだった。

その帽子には特許局のマークがついている。

「まぁ、キレーな

鉄筋は残ってんだから

たいしたもんだよね。

この土地の鉄は」

丸焦げとなった製鉄所の塔を見上げて

皮肉っぽく呟く。

「お言葉ですが、

この大火の中では生存者など絶望

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岩砕<いわくだき>と蛇砕土<ヘビサイド>(第一章)

岩砕<いわくだき>と蛇砕土<ヘビサイド>(第一章)

そしてあの事件から8年が経過した1908年、

ここ中国の湖北省に位置する

鉄鉱資源の豊富な大冶鉄山(だいやてつざん )では

1900年の義和団の乱後にドイツ帝国によって不正占拠されたあと

その八年後までに秘密裏に製鉄所が建設されていた。

この大冶《だいや》製鉄所はすでに不気味な音と蒸気を伴いながら高炉は稼働を始めていたのだが、

ここであるトンでもない事件が発生する。

「グワァああああ

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「TexTL」<テフタイル>; 物理学徒たちの戦場(序章)

「TexTL」<テフタイル>; 物理学徒たちの戦場(序章)



1900年 、義和団事件。

日清戦争にも負け、近代化に乗り遅れた清国は列強諸国らに喰い物にされる。

中国の鉄道や土地は外国に割譲され放題になり、その現状に不満のたまった民衆は義和団を結成して北京で反旗をひるがえした。

だが、これ幸いとばかりにロシア・イギリス・フランス・ドイツ・日本などの近代国家は鎮圧名義で連合軍を組んで義和団アジトの制圧に乗り出す。

「アチョーっ!!!」

「ホエーっ

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トンでも学説。

トンでも学説。

科学史を持ち出して、自分をガリレオとかに例えるトンデモ論者ほど滑稽な姿は無いだろう。
だがかつて新説が受け入れられなかった逆転劇ばかりが語り継がれるのは、宗教とか情報インフラの問題ばかりのせいではないような気がする。
昔の人は馬鹿だったからというのは説明にならない、人類は今も昔も大して変わらない。
スマホ持った現代人が一番賢くて、一番進んだ正しい道だというのは思い上がりでしかない。昔の人だって相当

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人生とは臨機応変が全てだ。といえば聞こえはいいが、
保守も改革も全部含めて言っているならこの命題には意味が無い。
それはゴマかしという名の行為で積み上げた刹那主義である。
こんな哲学なんぞで真理がわかるというのならば、みんな臨機応変と言っときゃいいだろう?
全ての解答→臨機応変。

人生の主人公は自分だなんてのは幻想だ。
現実は物語とは違う。
用意された仲間もいなければ伏線も無い。
それでもただの偶然を運命だと信じてすがらなければどこにも進めやしないだろう?
たとえそれが前か後ろなのかわからなくなったとしても…………

現実なんてフラグがバッキバキに折れてくもんよ。
その中で掴めるのはほんの一握りあるかないかだ。
大抵のものに意味なんて無い。