選挙供託金制度 『真摯な候補者が1,000カナダドルの供託金という財政的理由によって立候補が妨げられている』 2017.10.25 カナダ 『憲法15条1項が保障する基本的人権である被選挙権を侵害するものである』 日本弁護士連合会 2022.11.16 選挙 日本 20230909

 総務省は、『町村の選挙における公営拡大と供託金導入について』の中で、町村議会議員選挙における供託金制度導入を告知しています。

https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/senkyo/seiken_housou/142213.html
総務省|町村の選挙における公営拡大と供託金導入について
町村の選挙における公営拡大と供託金導入について
 令和2年6月、公職選挙法の一部を改正する法律が成立し、公布されました。
今回の法改正は、町村の選挙における立候補に係る環境の改善のため、選挙公営の対象を市と同様のものに拡大することと併せ、町村議会議員選挙においても、ビラ頒布を解禁するとともに、公営対象拡大に伴う措置として供託金制度を導入することを目的として行われました。

 総務省は、『供託は、当選を争う意思のない人が売名などの理由で無責任に立候補することを防ぐための制度です』としています。
 総務省は、『供託』は、『売名』行為を防ぐための制度としていますが、その一方で、『供託金が支払い可能であれば、売名行為が可能、もしくは、公的に許可する制度』であると判断されます。
 以上から、総務省は、選挙における『売名』行為を防ぐとする建前があれば、国民の基本的人権である被選挙権の侵害が可能であると考えているものと判断されます。
 民主主義の法治国家として根幹となる制度のひとつである選挙制度において、総務省が国民の権利を否定していることから、日本が国民の基本的人権を尊重する民主主義の法治国家として機能していないものと判断されます。

https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo14.html
総務省|立候補
6.供託
 立候補の届出では、すべての選挙において、候補者ごとに一定額の現金または国債証書を法務局に預け、その証明書を提出しなければなりません。これを「供託」といいます。供託は、当選を争う意思のない人が売名などの理由で無責任に立候補することを防ぐための制度です。ですから、その候補者や政党等の得票数が規定の数に達しなかった場合や、候補者が立候補を辞退した場合には、供託された現金や国債証書は全額(衆議院・参議院の比例代表選挙では全額または一定の額)没収され、国や都道府県、市区町村に納められます。

 公職選挙法第92条において、『公職の候補者の届出をしようとするものは、公職の候補者一人につき、次の各号の区分による金額又はこれに相当する額面の国債証書(その権利の帰属が社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるものを含む。以下この条において同じ。)を供託しなければならない。』としています。
 選挙における供託金導入の公職選挙法改正によって、日本における公職選挙法は、ある特定の資金力のある政党する個人や、財産、収入が高い個人のみが立候補を可能とする制度となっています。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC1000000100
公職選挙法 | e-Gov法令検索
(供託)
第九十二条 第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項又は第八十六条の四第一項、第二項、第五項、第六項若しくは第八項の規定により公職の候補者の届出をしようとするものは、公職の候補者一人につき、次の各号の区分による金額又はこれに相当する額面の国債証書(その権利の帰属が社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるものを含む。以下この条において同じ。)を供託しなければならない。
一 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙 三百万円
二 参議院(選挙区選出)議員の選挙 三百万円
三 都道府県の議会の議員の選挙 六十万円
四 都道府県知事の選挙 三百万円
五 指定都市の議会の議員の選挙 五十万円
六 指定都市の長の選挙 二百四十万円
七 指定都市以外の市の議会の議員の選挙 三十万円
八 指定都市以外の市の長の選挙 百万円
九 町村の議会の議員の選挙 十五万円
十 町村長の選挙 五十万円
2 第八十六条の二第一項の規定により届出をしようとする政党その他の政治団体は、選挙区ごとに、当該衆議院名簿の衆議院名簿登載者一人につき、六百万円(当該衆議院名簿登載者が当該衆議院比例代表選出議員の選挙と同時に行われる衆議院小選挙区選出議員の選挙における候補者(候補者となるべき者を含む。)である場合にあつては、三百万円)又はこれに相当する額面の国債証書を供託しなければならない。
3 第八十六条の三第一項の規定により届出をしようとする政党その他の政治団体は、当該参議院名簿の参議院名簿登載者一人につき、六百万円又はこれに相当する額面の国債証書を供託しなければならない。

 2014年の衆議院選挙で、供託金300万円を用意できず立候補が認められなかった男性が供託金制度は違憲だとして、国に慰謝料など300万円を求め国家賠償請求訴訟を起こしています。
 2019.05.24東京地方裁判所(杜下弘記裁判長)は、男性の請求を棄却しています。

https://www.bengo4.com/c_23/n_9682/
選挙の供託金「世界一高くても合憲」 男性の請求棄却、東京地裁 - 弁護士ドットコム

https://www.asahi.com/articles/ASQ6R4TWWQ6NUHBI03V.html
立候補だけで300万円 「乱立防ぐ」高額な供託金、なぜ日本だけ? [参院選2022]:朝日新聞デジタル

 国立国会図書館調査及び立法考査局 政治議会課は、『2021 年 8 月末現在、選挙供託制度は、イギリスを始めとする諸外国・地域においても採用されている。国政レベルの議会選挙においては、少なくとも 66 の国及び地域で選挙供託制度が採用されている。なお、OECD 諸国では、38 か国中 13 か国が採用』としています。
 カナダでは、2015年の連邦下院選挙において、1,000カナダドルを供託していないことを理由として立候補届を選挙管理官によって拒絶された立候補者が、選挙供託制度は憲法に違反するとしてアルバータ州上級裁判所に提訴しています。
 2017.10.25アルバータ州上級裁判所において、『真摯な候補者が 1,000 カナダドルの供託金という財政的理由によって立候補が妨げられている』として、選挙供託制度は憲法に違反しており、供託金を求める条文は効力がないとしています。
 2018.12.13選挙近代化法の女王裁可により供託金に関する条文は削除されています。

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11884866_po_085106.pdf?contentNo=1
PDF
国立国会図書館 調査及び立法考査局
Research and Legislative Reference Bureau
National Diet Library
論題
選挙供託制度(資料)
著者 / 所属
Author(s)
藤原 佑記(FUJIWARA Yuki) / 国立国会図書館調査及び
立法考査局 政治議会課
刊行日
2021-11-20
p.153
 2015 年の連邦下院選挙に無所属候補として立候補しようとしたキーラン氏(Kieran Szuchewycz)は、1,000 カナダドルを供託していないこと等を理由として立候補届を選挙管理官によって拒絶された。これに対し、同氏は、選挙供託制度は憲法に反すること等を理由としてアルバータ州上級裁判所に提訴した。この訴えに対して、2017 年 10 月 25 日、同裁判所は、選挙供託制度は憲法に反し、供託金を求める条文は効力がないと判示した(74)。そして、被告であるカナダ司法長官が控訴しなかったため、上級裁判所の判決が確定した。
 判決の理由として同裁判所は、真摯な候補者が 1,000 カナダドルの供託金という財政的理由によって立候補が妨げられていることを指摘し、また、無所属候補の選挙費用が 5,000 カナダドル以下であることも考慮すると、選挙供託制度は立候補に対する重大な制限に該当し、カナダの全ての市民が議員になる資格を得る権利がある旨を規定する憲法に反するとした(75)。
 この判決を受け連邦選挙庁は、国政選挙における供託金に関する条項の即時適用停止を宣言し、それ以降、立候補の際に供託金を支払う必要がないとする声明を発表した(76)。そして、2018 年 12 月 13 日、選挙近代化法(Elections Modernization Act (S.C. 2018, c. 31))の女王裁可により供託金に関する条文は削除された(77)。

 2022.11.16日本弁護士連合会は、『公職選挙における選挙供託金制度のうち、国政選挙についてのものは、立候補しようとする者に対して大きな負担となり、憲法15条1項が保障する基本的人権である被選挙権を侵害するものである。したがって、現在の国政選挙における供託金制度は、供託金額を大幅に減額するか廃止するなど、抜本的に見直されるべきである。』としています。

https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2022/221116_2.pdf
PDF
国政選挙における選挙供託金制度について、供託金額の大幅
減額又は制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める意見書
2022年(令和4年)11月16日
日本弁護士連合会

http://www.f.waseda.jp/katagi/touben200417.pdf
PDF
選挙供託金制度の違憲性について
~東京地裁判決(2019 年 5 月 24 日)の問題点~

http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2019/08/24/utsunomiya-7/
立候補の供託金は合憲か | 週刊金曜日オンライン

https://iss.ndl.go.jp/books?any=供託+選挙&op_id=1
供託 選挙|国立国会図書館サーチ

https://iss.ndl.go.jp/books?any=供託+憲法&op_id=1
供託 憲法|国立国会図書館サーチ

 日本国憲法第15条において、『公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。』としています。
 日本国憲法第44条において、『両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。』としています。
 以上から、選挙における供託金制度は、憲法違反であると判断されます。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
日本国憲法 | e-Gov法令検索
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm
日本国憲法
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
日本国憲法 | e-Gov法令検索
第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm
日本国憲法
〔議員及び選挙人の資格〕
第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

 ローレンス・ブリットは、『ファシズムの14の初期警報』として、『人権の重要性の蔑視』をあげています。

https://hbol.jp/pc/164831/2/
「いま日本は、ファシズムの入り口に立っている」 | ハーバー・ビジネス・オンライン
【ファシズムの14の初期警報】
ローレンス・ブリット
1)強大で執拗な国家主義の宣伝
2)人権の重要性の蔑視
3)団結のための敵/スケープゴートづくり
4)軍隊の優位性/熱烈な軍国主義
5)性差別の蔓延
6)マスメディアの統制
7)国家の治安への執着
8)宗教と支配層エリートの癒着
9)企業権力の保護
10)労働者の力の抑圧もしくは排除
11)知性と芸術の軽視と抑圧
12)犯罪取り締まりと刑罰への執着
13)縁故主義と汚職の蔓延
14)不正選挙

https://www.youtube.com/watch?v=gskQJZXK970
新人は82歳!?議員が足りない…地方議会の危機に打開策はあるのか?【テレメンタリー2023】 - YouTube
Sep 9, 2023 #欠員議会 #議員不足 #82歳の新人
「ひまわりのまち」として知られる北海道北竜町。その明るいイメージとは裏腹に、町議会には暗雲が立ち込めている。
今年2月の選挙で、町政史上初めて「定員割れ」となったのだ。深刻化する地方議員のなり手不足。
4月の統一地方選で改選となった道内100町村のうち、無投票は約半数の48。このうち定員割れは11町村を占めた。
地方の議会に、いま何が起きているのか?
番組では、北竜町で無投票当選した82歳の新人議員に密着。地方自治の危機的な状況を浮き彫りにする。

http://www.town.hokuryu.hokkaido.jp/content/kurashi48.php
北竜町
議員名簿

https://www.google.com/maps/place/北海道雨竜郡北竜町/@43.8026528,141.7852665,10z/data=!4m6!3m5!1s0x5f0c881c53c22679:0xd7c1e39a919bd02f!8m2!3d43.7315055!4d141.8792542!16zL20vMDUxYmY2?entry=ttu
北竜町 - Google マップ

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記事を読んでいただきありがとうございます。 様々な現象を取り上げ、その現象がどのように連鎖反応を誘発し、その影響がいかに波及するかを検証、分析していきます。 皆様のお役に立てればと考えております。 応援のほど、よろしくお願いいたします。