塩崎

映像写真企画お酒

塩崎

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記事一覧

コンビニ

福岡に出てきた時驚いたことはコンビニの外国人店員さんの多さだった。 当たり前に田舎ではその地元の人や高校生しか働いていないので、初の一人暮らし拙い日本語を話しな…

塩崎
5か月前
3

verandah

薄明かりの中、目を擦りながら身体を起こす。 隣で寝ている彼女に毛布を掛け直し目を細めて置き時計を見るが数字がぼやけてよく見えない。 枕元を物色しメガネをかけ時間を…

塩崎
6か月前
1

ひとつ大人になる

僕は自分の運用するInstagramのIDをここ一年くらい"ochinchinsamurai"や"samuraiochinchin"にしてました。 そして僕は昨日ついにIDを"nao_shiosaki"にしました。 遍歴を詳…

塩崎
7か月前
2

運命

新卒で入社した会社はタクシーが乗り放題だった。 と書くと語弊があるかもしれないが、20歳の僕に仮払い経費を100万渡すくらいにはイカれた会社で毎日汗を流していた(冬で…

塩崎
7か月前
3

昔から犬が嫌いです。 明確な理由は自分でもわかっていて、そこまで好きではない親戚が実家に遊びに来るときに連れてくるあのちっこい犬。 あいつには本当に手を焼いた。 …

塩崎
8か月前
1

ぼやき

2500円くらいの会計の時、財布を開くと千円札が1枚。小銭が500円ほど。急いで携帯を開くけどPayPayの残高も1700円くらい。 どうしたものかというタイミングでもスマートに…

塩崎
8か月前
1

もう一つの家族

僕には顔も名前も知らない父親がいた。 名前がわかったのは20歳になった時母親に聞いたから。 漢字がわかったのは今住んでいる東京の部屋に遺産相続の権利書が届いたから。…

塩崎
10か月前
1

苛立ち

昔からすぐイライラしてしまう。 注文の遅い人、物の受け渡しが下手な人、前を歩くのが遅い人、人の話をすぐ聞き返す人。 挙げるとキリがないけど毎日小さい怒りを感じな…

塩崎
10か月前
3

日々徒然

何か自分の名を残したいと ぼんやりとした夢がある 時々作品を作ったりして 悦に浸り、そこで終わる 勝手な自分の理想を妄想し そこから先に進めない 映画や小説、音楽…

塩崎
1年前
2

昼寝

昼寝 君は今どんな夢を見てるのかな。 閉じた瞼の中で動く眼球、普段そんな動き方をしない鼻の動きに、よく見ると耳まで動いている。 でも心なしか笑顔で時々ん〜といつも…

塩崎
1年前
2

古着屋の友人

窓から差し込む光がお昼ご飯を食べた頃よりも弱くなっていた。 今から外に出てもいいが、このまま家の中で本でも読んでいようかとキッチンと居間を往復しながら考える。 …

塩崎
1年前
3

OT

奥田民生が好きだった。 あの気だるげな感じ、 ジーンズとTシャツでキマる感じ、 歌声にメロディと歌詞 全てが完璧だった。 奥田民生になりたかった。 高校生になったら、…

塩崎
1年前
3

横顔

「この写真めちゃくちゃ怖くない?」 昼食に選んだカレーを一口頬張ろうとした時、向かいに座る吉田さんに話しかけられた私はスプーンを口に運ぶ動作のまま視線を彼女の持…

塩崎
2年前
3

高い高い

目が覚めると外が騒がしい。 ドアを開けてアパートの廊下に出ると僕の住む406号室の隣に荷物が運び込まれているのが見えた。 新しく住む家族に一瞥し部屋に戻る。 子供の…

塩崎
2年前
3

手紙

"お久しぶりです。 元気ですか? 地元に帰って3ヶ月が経ちました。 やっとこちらでの生活も慣れて少し東京での生活が懐かしく思います。 考えてみればもう2年くらい会わず…

塩崎
2年前
3

東京おすすめのお店を教えてください

もしもう一度だけ会うことができたら待ち合わせは新宿東口で、思い出横丁に行って中華を食べよう、岐阜屋で瓶ビールとチャーハンと餃子とザーサイを食べて乾杯。 2軒目は高…

塩崎
2年前
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コンビニ

コンビニ

福岡に出てきた時驚いたことはコンビニの外国人店員さんの多さだった。
当たり前に田舎ではその地元の人や高校生しか働いていないので、初の一人暮らし拙い日本語を話しながら接客してくる姿に戸惑いを覚えた18の春を過ごした。

東京に出てきて荷解きもひと段落し、ご飯を食べに行こうか迷ったけれど、夜からの友達の予定に備えてお腹は満たさないでおこうと決めた僕は部屋から徒歩1分のところにあるファミマに向かった。

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verandah

verandah

薄明かりの中、目を擦りながら身体を起こす。
隣で寝ている彼女に毛布を掛け直し目を細めて置き時計を見るが数字がぼやけてよく見えない。
枕元を物色しメガネをかけ時間を確認する。
時計は4:15と表示があり、3月も終わりかけといっても少し寒さが遠のいたくらいで肌寒く太陽はまだ顔を覗かしていなかった。
ベッドの淵に座り床に落ちたカーディガンを羽織る。
サイドテーブルに置いてあったハイライトをポケットに入れ

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ひとつ大人になる

ひとつ大人になる

僕は自分の運用するInstagramのIDをここ一年くらい"ochinchinsamurai"や"samuraiochinchin"にしてました。
そして僕は昨日ついにIDを"nao_shiosaki"にしました。

遍歴を詳しく書くならまず僕はずっとIDを"shionao0105"に統一していました。
自分の名前の略+誕生日です。
これにしておく効果は実はとても大きく、名前を覚えられやすい(例:

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運命

運命

新卒で入社した会社はタクシーが乗り放題だった。
と書くと語弊があるかもしれないが、20歳の僕に仮払い経費を100万渡すくらいにはイカれた会社で毎日汗を流していた(冬でも)。

タクシーの運転手さんとは結構喋る方だと思う。周りのみんなに聞いてみると意外と「話しかけられてうざい」という意見が大多数を占めていた。申し訳ないがそういう運転手さんが生まれるのは僕みたいな人間がいるからなのも一つの理由だろう。

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犬

昔から犬が嫌いです。
明確な理由は自分でもわかっていて、そこまで好きではない親戚が実家に遊びに来るときに連れてくるあのちっこい犬。
あいつには本当に手を焼いた。

名前は多分チョコだったと思う。あの犬はもう家中を勝手に歩き回るし少し臭いし最悪なのは僕の自室にうんこをし、それを僕が素足で踏みつけると言う事件が起こった夜。

それ以来本当に犬が嫌いになった。
その割になぜか今までの人生、動物に好かれる

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ぼやき

ぼやき

2500円くらいの会計の時、財布を開くと千円札が1枚。小銭が500円ほど。急いで携帯を開くけどPayPayの残高も1700円くらい。
どうしたものかというタイミングでもスマートに店員さんに「Suicaで」と言い、ピッと音がして払えるくらいの財力が欲しいなと思った。

21歳の時、仕事辞める直前に上司と飲みに行った帰りのタクシーで「QUICPayで」と言い、支払いを済ます姿を見てからずっとスマホでの

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もう一つの家族

もう一つの家族

僕には顔も名前も知らない父親がいた。
名前がわかったのは20歳になった時母親に聞いたから。
漢字がわかったのは今住んでいる東京の部屋に遺産相続の権利書が届いたから。

その権利書が届いてから1週間ほどは心が落ち着かなかった。苗字安東って言うんだ。実家は隣町だったんだ。まさかの自転車屋さんだったんだ。

権利書は僕の祖父にあたる方が亡くなり、その遺産相続の権利の大部分が僕にあるということ。
嫌な予感

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苛立ち

昔からすぐイライラしてしまう。
注文の遅い人、物の受け渡しが下手な人、前を歩くのが遅い人、人の話をすぐ聞き返す人。

挙げるとキリがないけど毎日小さい怒りを感じながら過ごしていることに大人になって気がついた。

逆に自分は相手を怒らせないように自分が苛立つことだけは相手にしないようにしていた。
相手の歩幅に合わせて歩く。注文で自分のところで止まらない、みんなが盛り上がっていたら笑っている。人の話が

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日々徒然

何か自分の名を残したいと
ぼんやりとした夢がある

時々作品を作ったりして
悦に浸り、そこで終わる

勝手な自分の理想を妄想し
そこから先に進めない

映画や小説、音楽を鑑賞し
また気持ちを昂らせて
机に向かうが何も書けない

時々何もやる気がなくなって
1日を床に寝そべって終わらせる

こんな人生でいいのかと
不意に考えてしまう

そう過ごしてると急に
好きな作家の新作が発表される

それが発売

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昼寝

昼寝

昼寝

君は今どんな夢を見てるのかな。
閉じた瞼の中で動く眼球、普段そんな動き方をしない鼻の動きに、よく見ると耳まで動いている。
でも心なしか笑顔で時々ん〜といつもより少し高い声で鳴いている君の顔を見ながら痺れてきた左腕を抜こうとするともぞもぞと胸の中に入ってこようとする。

日曜日の昼さがり。久しぶりに遠出でもしようと話していると、君がちょっとだけ寝たいと言ったからちょっとだけねとアラームをかけ

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古着屋の友人

窓から差し込む光がお昼ご飯を食べた頃よりも弱くなっていた。
今から外に出てもいいが、このまま家の中で本でも読んでいようかとキッチンと居間を往復しながら考える。

不意に最近客入りが悪いんだよと嘆いていた古着屋で働く高谷の顔が思い浮かぶ。ここはイッパツ冷やかしに行ってやろうと床に落ちた靴下を履き上着を羽織る。
4月後半に差し掛かるが夕方は半袖で出かけると冷気が肌を撫でくしゃみが止まらなくなる。

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OT

奥田民生が好きだった。
あの気だるげな感じ、
ジーンズとTシャツでキマる感じ、
歌声にメロディと歌詞
全てが完璧だった。

奥田民生になりたかった。
高校生になったら、放送室から勝手に彼の曲をかけたかった。
そして、"何かが変わると思ったけど変わらなかった"とか言ってみたかった。
放送室が無かった。

奥田民生になれなかった。
ギターを練習し、歌を歌った。
バンドをやる友人がいなくて、
気がついた

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横顔

「この写真めちゃくちゃ怖くない?」
昼食に選んだカレーを一口頬張ろうとした時、向かいに座る吉田さんに話しかけられた私はスプーンを口に運ぶ動作のまま視線を彼女の持つ右手のスマートフォンに移した。
「どこが怖いの?」軽くあしらいながらカレーを口に運ぶ。「ここ、なんか隙間に横顔見えない?」
スプーンを皿に置きスマートフォンを受け取り、その写真は夕焼けを写した帰り道のようなよくある一枚だったが吉田さんが言

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高い高い

高い高い

目が覚めると外が騒がしい。

ドアを開けてアパートの廊下に出ると僕の住む406号室の隣に荷物が運び込まれているのが見えた。
新しく住む家族に一瞥し部屋に戻る。
子供の声が聞こえてきて3人家族なのかなと想像しながら朝ご飯を作る。

ぼーっと過ごしているとチャイムがなった。宅配便を受け取ろうと玄関を少し開けると隣の子だろうか、外で柵に捕まり柵の間に顔を押し当てて外を見ようとしていた。

子供の背丈だと

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手紙

手紙

"お久しぶりです。
元気ですか?
地元に帰って3ヶ月が経ちました。
やっとこちらでの生活も慣れて少し東京での生活が懐かしく思います。
考えてみればもう2年くらい会わずじまいだったけど、君と知り合ってよくお酒を飲んでいたあの1年間は僕の中では素敵な思い出です。でも今後会うことはない気がしています。なんとなく。
君に教えてもらったお店は今でも時々顔を出しています。
いつか、居たらなんて思ったり。
まだ

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東京おすすめのお店を教えてください

東京おすすめのお店を教えてください

もしもう一度だけ会うことができたら待ち合わせは新宿東口で、思い出横丁に行って中華を食べよう、岐阜屋で瓶ビールとチャーハンと餃子とザーサイを食べて乾杯。
2軒目は高円寺の大将。外の席で友達と集まって知らない人と飲もう。マスクはしっかり着けていようね。今はね。
終電で武蔵境の家に行って猫と戯れながら缶チューハイとウイスキーを空けよう。
角瓶とワインがあればいくらでも行けるし無くなったら近くのコンビニま

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