古着屋の友人

窓から差し込む光がお昼ご飯を食べた頃よりも弱くなっていた。
今から外に出てもいいが、このまま家の中で本でも読んでいようかとキッチンと居間を往復しながら考える。

不意に最近客入りが悪いんだよと嘆いていた古着屋で働く高谷の顔が思い浮かぶ。ここはイッパツ冷やかしに行ってやろうと床に落ちた靴下を履き上着を羽織る。
4月後半に差し掛かるが夕方は半袖で出かけると冷気が肌を撫でくしゃみが止まらなくなる。

家を出てイヤホンをしながら階段を降りる。最近お気に入りの音楽を再生し、いつも向かう最寄りの駅とは反対方向へ歩いていく。

途中でコンビニに寄って適当に選んだ缶チューハイを2本買う。

古着屋がある通りに近づき、缶チューハイを一本開ける。新発売と銘打って棚に並んでいた缶はあまり美味しくなく、これを渡して新しい方を飲もうと考えながら店の前に着く。

ガラス張りで服がレイアウトされている隙間から中の様子を伺うと談笑する声が聞こえてきた。

店にはお客さんが3人と高谷と談笑する男性がいた。

僕は開けてない方の缶を入り口横にあるベンチに置いて元来た道を帰ってゆく。

意外と外は暖かく春の陽気を感じた。

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