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呟き 「才能について」
才能って、綺麗で都合のいいものじゃない。
むしろ、厄介でどうしようのないもの。
見るにも堪えないけど、どうしようもなく突出している。
それが才能。
才能だけを持っている状態は、とても大変。
例えば、音楽がかれば所構わず体を動かしてしまう子。
家でも道でもスーパーでも、音がかかると飛び跳ねずにはいられない。
親が止めても、本人が止めようとしても止まらない。
例えば、想像力がありすぎる子。
目に
短編小説 『いい子』
「那月はいい子だもんね。」
隣を歩く凜子先生は頷きながらにそう言った。私は嬉しそうにはにかんで見せたけど、実は喜んではいなかった。
それはつい1週間くらい前、心地よい風の吹く秋の日の夕方のこと。本を返すためにオフィスに寄った私を、凜子先生は散歩に連れ出してくれた。建物を出て駐車場を抜けると、キャンパスを一周するように敷かれている道路に出ることができた。そこを歩き始めた私たちは、1時間以上かけてキ