文芸やってます

16

マラソンランナー型と循環型の再会 (短編小説─過去記事マガジンおまけ記事vol.4)

扇谷悟はロックンローラーだった。

いや、今でもやり続けている。

本名ではなく、その世界ではミッシー・森を名乗っている。

若い頃は、そこそこ名の知れたロックバンドのギタリストだった。

そのバンドは、ボーカルKATSUの艶やかな容姿とカリスマ性で持ってるようなものだった。

自分に酔いしれてしまっているKATSUの要求にだんだん違和を感じるようになり、いよいよバンドがこれからだというときにミッ

もっとみる
好リアクションは嬉しいです。
2

昭和の面影を見つけて(過去記事マガジンおまけ記事vol.3)

派遣バイトで、夕方6時過ぎにある大きめのターミナル駅に着いた。

自分はアラフィフで会社を辞めて、派遣バイトなんかをやっている。

その日は、夜7時から朝にかけての仕事だった。

夕方だから沢山の人が行きかっている(例の騒ぎより前のはなしです)

やっぱり腹ごしらえをする必要がある。

この界隈だと選択肢は結構あるのだが、通りのはずれにある牛丼店が脳裏を掠め、結局そこに落ち着いた。

その街は、あ

もっとみる
好リアクションは嬉しいです。
6

金持ちは意外と金がかからない生活をしている(ようだ)

僕のまわりには、そんなに金持ちというほどの人もいない。

ビンボー人ばかりというわけでもないのだが、でも、かなり金持ちな人が知り合いにいたこともある。

困窮している人のはなしは、どれも似たかよったかであることも多い。

たとえば、胃潰瘍だが医者に看てもらう金がないみたいな…おおよその見当がつくはなしだったりすることが多い。

今日は、かなり金持ちだった人のはなしである。

スーパーに勤めていた頃

もっとみる
この記事書いてよかったです(うれしい)
7

そんなに売れるというわけでもない商いにも意味がないわけではない─2000字小説

ニューヨークのスラムというほどではないが、やや錆びれた裏通りといっても差し支えないストリートにあるアパートの入口に老人は腰を下ろしていた。
老人は商いをしているようだった。
痩せさらばえたその老人の斜め下を見下げるような眼差しはやや険しかった。
老人は黙りこくっている。

四つ向こうのストリートにはタクシーや人の往来がはげしく、ニューヨーカーといわれる人たちが速足ですり抜けていた。

その大通りか

もっとみる
好きな記事はあなたの財産。
6

「大草原でSNSがバズる」-(心境小説的散文詩③)

平生、大自然に縁がない私は、ひょんなことから大学の仲間に

連れられ、キャンピングカーに乗って、某県にある大草原に

来ている

こんな自然の中に来てまで私はスマホを手放せない

絵になりそうな風景を見つけると、すかさず

スマホのシャッターを押し、加工アプリを駆使して

即座に、ここには来ていないリアルの知人に向けて

SNSにアップする。

こんな大自然の中でまで私はなんと忙しいことだろう

もっとみる
好きな記事はあなたの財産。
1

「特急列車」-(心境小説的散文詩②)

駅のホームをものすごい速さで、電車が通過していく

三十をすぎたのに所帯はおろか、彼女すらいない僕は

時たま、会社の帰りに特急列車に飛び込んでしまうんじゃないかという

不安に襲われる。

平生、僕はそれでも様々な常識的考えで

汗ばんだ手を握って、変な衝動に必死に牽制をかけている

十代のころ「生きたいと望んでも生きられなかった人が沢山いるのだから自殺はよくない」という考えを本か雑誌で読んだ

もっとみる
好きな記事はあなたの財産。
2

「四十惑に吹くすきま風」ー(心境小説的散文詩①)

四十を過ぎれば

自分の不甲斐なさに肩を落とす機会は増える一方だ。

昨日は「君たちには失望した」と

まだ十代の革命家に恫喝されたりした。

若い革命家は「世界は変わるはず」

「やればできるはず」「傍観は罪」

というメッセージを与え、同世代の人や

倍以上離れた、ひょっとすると、私より

上の世代にも希望を与えていた。

私はと言えば、そのさらに前日、

会社にいる私のはなしを聞いてくれそう

もっとみる
好きな記事はあなたの財産。
1

夏祭り(神輿祭り)の思い出…

扇風機しかない私の部屋に賑やかな囃子の音が聞こえてくる。

どんどこ、どんどこ、どんひゃらら、トンっ、

どんどこ、どんどこ、どんひゃらら、トンっ、

神輿祭りをやっているようだ。

夏っぽい風情のその定型文っぽいいつもの感じが不思議な安堵を催す。

もっとも、ストレスいっぱいの個人がいれば、ひょっとすると今日ではこういった夏の風物詩もただうるさいと感じる個人がいても不思議ではない。

団地の部屋

もっとみる
好リアクションは嬉しいです。
7

短編小説「バレリーナたちの青春―前編」(使い捨てコンテンツと芸術の狭間で)

東京神田にTYGというバレリーナ養成学校がある。

今日もわたしはそこへ通う。

わたしがそれを望んだというより、よくあるはなしだが親にその道を歩まされてるにすぎない。

それほど才能があるというわけでもないということにだんだん気づきはじめたわたしにはこうして学校に通うことにもちろん少し迷いが生じている。

しかし幼少の頃から続けているバレエとその練習がどうやらそんなに嫌いでもないらしい。

練習

もっとみる
この記事書いてよかったです(うれしい)
3