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2021年7月の記事一覧

人工知能は新しい芸術を生み出せない、それができるのは「生きている機械」

人工知能は新しい芸術を生み出せない、それができるのは「生きている機械」

人工知能がどれだけ進歩しても新しい芸術を生み出すことはできない。

少なくとも人工知能がコンピュータとして存在する限り百年先も千年先も芸術を生み出すことはできない。とれだけ演算速度が向上し情報処理の能力が向上してもそれは叶わない。もちろん、量子コンピュータであろうが、千年先のスーパー・コンピュータであろうが、それはできない。そうしたことにその理由があるわけではない。

情報をどんなに素早く巧妙に処

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変わってはいけない

変わってはいけない

私は 何年間も ノイローゼでした。
私は 心配し 落胆し 自分のことしか考えませんでした。
皆が 私に 変わるようにと 言い続けました。
皆が 私は ノイローゼだと 言い続けました。

そして 私は 皆を 恨みました。
彼らを もっともだと 思いました。
そして 変わりたいと 願いました。

でも 変わる事が 出来ませんでした。
どんなに 変わろうと 努力しても。

私を 何よりも 傷つけたのは 

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最果ての陽だまり

最果ての陽だまり

 こんな夢を見た、と碧依が言っていた。
 彼女の死体には綺麗な笑みが硬直し、貼りついていた。
 さっきまで私を讃えてくれていた表情だ。瞼が半分降ろされ、優しい眼差しをくれている。さっきよりも口角は下がっているが、笑みとしては保たれている。健康的な白い歯が覗いていた。彼女の瞳の中に私を探すが、虚空を映すばかりで、私の姿は判然としない。

 私の問題は全て解決したので、死のうと思います。

 そう言っ

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Cadd9 #11 「愛される夢」

Cadd9 #11 「愛される夢」

ナスノ家の縁側は日当たりも風通しもよく、とても居心地のよい場所だった。そこで昼寝をするたびに、樹はいつも、年寄りの膝の上で眠る年老いた猫のような気分になる。その猫は長生きをしすぎていて、一日中眠ってばかりいるのだ。

縁側の色褪せた板敷きの床に枕を置き、日の光を浴びながらうとうとしていると、樹はじつにさまざまな夢を見た。どれも永遠のように長く、そして光に溢れたまぶしい夢だった。しかしそれらは目が覚

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しーんとするとき

しーんとするとき

二年前の秋に、母方の祖母が亡くなった。体調を崩して入院し、その後肺炎が悪化して、帰らぬ人となった。祖母は小柄で静かな人だった。でも話し出すと面白い人だった。

入院中、祖母はよく病室をぼんやりと見回しながら「変なものが見える」と話していた。「変なものって、なにが見えるの?」とたずねると、「うまく言えない」と言う。

そして亡くなる少し前に、ベッドの上で何か手作業をしていたところ、祖母ははっと後ろを

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