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サイバー・パンクの「先」を読む「スノウ・クラッシュ」

<SF(52歩目)>
古典SF作品を自然体で楽しむ。そして、次のビジネスの作戦の実施に備えてみる。

スノウ・クラッシュ〔新版〕 上
ニール・スティーヴンスン (著), 日暮 雅通 (翻訳)
早川書房

スノウ・クラッシュ〔新版〕 下
ニール・スティーヴンスン (著), 日暮 雅通 (翻訳)
早川書房

「52歩目」は、サイバー・パンクの「先」を読む作品。この作品が1992年(つまり30年前)に刊行されたことの意義を考える作品です。「SF作品が、お堅い銀行員も精読する時代に」なった最初の一歩の作品です。

作者のニール・スティーヴンスンさんは、出す作品がすべてベストセラーになる人気作家ですが、間違いなくこの「スノウ・クラッシュ」が出世作です。

イスラエル人の友人から93年に教えてもらい、原書読後すぐにコンピュータを購入しました。当時、50万円を超えた高い買い物になった。(痛)
現在のコンピュータの性能の数百分の1レベルの機械がとても高かった。。。これではまだ普及しないなぁと思いました。その後、Dellが出てきて、コンピュータの値段が大きく下がって現在につながっています。

この作品が日本語訳になり、刊行されたのが98年。ここでこの作品は、コンピュータによる未来を余すことなく訴えた作品であり、当時は技術者・金融機関(私の当時の職場で大ベストセラー)を中心にベストセラーになった。

特に、金融機関でもかなり読まれていたし、「時代の先取り」だと感じる起業家も多く、ITバブルの日本ではかなりの読者がいたと思う。

この邦訳の後の、2003年にリリースされたVRの世界の「Second life(セカンドライフ=リンデンラボ)」には、金融機関はリンデンラボ等への投資に走る。日本でも、多くの人がVRの世界に入っていった。

私の相棒の男は、そのちょうど前にまだ回線スピードがADSLで遅いにもかかわらず、動画配信に乗り出した。(まさに早すぎ!)私も、セカンドライフ内の不動産会社を始めた。(当時のCPUで処理しきれなかった・・・10数年早すぎ)これは多くの討ち死にを生んだ。(笑)

結果として、動画配信は2005年スタートのYouTubeが成功(スゴイ、完璧なタイミングと大量資金のラットレースに勝利した!)。セカンドライフは、結果としてエロ勢が勝ち(処理スピードが遅くても、エロ目的の人には関係なし!(笑)=VTRの規格成功の原因がエロですが、エロは多少の問題点を凌駕する強いニーズあり!ここをスルーしてしまった平澤はボンクラですね!)、セカンドライフはアンダーグラウンドの世界になり、VRの世界は20年後まで持ち越しになった。

当時のVRに走った技術者の多くは、エロ等の起業請負(CTOで参加)で糊口をしのぐ時代が続いた。
(現在も「スゴイ」エロサイトの技術力は、日本の大手企業をはるかにしのぐ。その原因は、超優秀な技術者が流れた先だったから・・・この流れた先がちょっと違っていただけで、日本のITは遅れなくて済んだかも!?わずか20年前ですが、当時の日本の人材流動化は絵物語で、出て行った社員を受け入れる仕組みはなく、結果としてアンダーグラウンドな業界が受け入れしていた・・・)

※決定打はこの「スノウ・クラッシュ」にも描かれているが、ファイル共有等の技術。2002年の東大初の「winnyの開発」に携わった金子さんを日本の有識者が潰した(犯罪者として取り締まった。結果は「無罪」だが、10年近く裁判に携わらせて、日本のITの芽を潰した・・・)ことが、IT敗戦国を決定づけたとは思う。

久しぶりに再読してみると、1992年のスノウ・クラッシュでの「アツい職業」である「ピザ配達員」は、沢山の先行者の討ち死にの後で、遅れること22年目の2014年スタートのUberが実現させた。
VRの世界も、沢山の先行者の討ち死にの後で、現在はMetaがメタバースとしてやっているが、どこまで行くのか???
ということで、この「スノウ・クラッシュ」は「30年も前」の作品ながら、やっとこさ時代が追いついてきている。その意味で、特にVR等について新しい動きがある時にまた読まれる作品だと思います。

リスクを取る若者がどんどん参入すると、またオモシロイ世界になるとは思う。それまでは、「耐えがたきを忍び・・・」がまだ当分続くとは思う。

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