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小説無題 #16 行方知れず
柳の弁護士である奥村唯人は頭を抱えていた。
実際のところ仕事用のデスクに座って肘をつき、左の拳を眉間に押し当てているだけなので物理的には頭を抱えていない事になる。『頭を抱えていた』というのはつまり奥村にとって吐き気がするような出来事が起こったという意味である。
奥村弁護士の個人事務所は高田馬場にあり、一階に焼き肉屋を構えているビル三階の、八畳ワンルームのオフィスだ。
現在オフィス内に居
柳の弁護士である奥村唯人は頭を抱えていた。
実際のところ仕事用のデスクに座って肘をつき、左の拳を眉間に押し当てているだけなので物理的には頭を抱えていない事になる。『頭を抱えていた』というのはつまり奥村にとって吐き気がするような出来事が起こったという意味である。
奥村弁護士の個人事務所は高田馬場にあり、一階に焼き肉屋を構えているビル三階の、八畳ワンルームのオフィスだ。
現在オフィス内に居